平原で試行錯誤
日が出て来たところで、熱帯から引き返した。武器がないと厳しいからね。
「【血武器】がもう少し使えればなぁ。【血装術】で強化してもいいかな」
アイテムの血を取り出して、宙に浮かせておく。その間に、【血武器】でナイフを作り出す。そこに、【血装術】を発動すると、血のナイフが血の短剣くらいに成長した。
「えい」
血の短剣で、近くにいたホワイトラビットを斬る。すると、一撃でホワイトラビットを倒す事が出来た。でも、短剣に罅が入っていた。この事から、攻撃力、耐久力が上がっているけど、基準となるのが、元になった血のナイフなので、劇的に化けるという事はないと分かる。
「【血武器】を育てないと、【血装術】を使っても一回多く使えるくらいにしかならないって感じかな」
罅の入った血の短剣を近くにいるスライムの核に投げつける。正確に核を砕いたので、スライムが倒れた。
「正確さが上がってる。これなら【投げ】も早く取っておけばよかったかな。まぁ、投げる物も無かったから、仕方ないよね」
他にも、フレ姉とゲルダさんが持っていた【武闘術】は、【格闘】【拳】【蹴り】、そして【投げ】が関係していると思う。全部の統合かな。フレ姉のスキルには、あったはずのそれらが無かったから。
ここら辺を統合出来れば、装備出来るスキルも増えるので、【投げ】に関しては、取っておいて損は少ないかな。
そのまま平原で、【血武器】【投げ】【吸血鬼】【魔法才能】【支援魔法才能】のレベル上げを行う。ステータスを上げつつ、【血武器】で血のナイフを作って、ホワイトラビットやスライムに向かって投げる。それをしていると、HPがどんどんと減っていくので、時折、ホワイトラビットを捕獲して血を吸い、HPを回復する。これを繰り返していった。
街の入口から離れたところでやっていたのだけど、時々、遠くからこっちを見ているプレイヤーを見つけたけど、無視した。【双剣】だけ隠しておけば、変に絡まれる事はないだろうし。装備的に、見ているのは初心者プレイヤーだと思う。
もしかしたら、私の姿を見て【吸血】に興味を持つプレイヤーもいるかもしれない。
「地獄を歩く人が増えるかな」
私の他に【吸血】を取って、茨の道を歩くプレイヤーが出て来てくれたら、私も目立たなくなるし、有り難いかもしれない。
段々、【血武器】の扱いにも慣れてきた。ナイフを作ってから投げる動作に入るのではなく、投げる動作の中でナイフを作って、即座に投げる。多分、これが一番相手の意表を突ける。何も持っていない手から攻撃が飛んでくるのが、一番怖いだろうし。
それに、二本同時に作って、投げる事も出来るようになった。手札が増えていくのは、正直楽しい。
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ハク:【剣Lv51】【短剣Lv46】【双剣Lv28】【格闘Lv40】【拳Lv25】【蹴りLv36】【投げLv12】【魔法才能Lv38】【支援魔法才能Lv38】【吸血鬼Lv60】【血装術Lv33】【血武器Lv15】【執行者Lv46】【豪腕Lv30】【感知Lv13】
控え:【HP強化Lv43】【物理攻撃強化Lv41】【神脚Lv10】【運強化Lv36】【毒耐性Lv7】【麻痺耐性Lv6】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv5】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv1】【消化促進Lv35】【竜血Lv8】【夜霧Lv15】【登山Lv6】【言語学Lv10】
SP:123
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思ったよりもスキルレベルは上がっている。脚ばっかり使っていたし、ここでは大量の血のナイフも作っていた。だから、集中してレベルが上がったのだと思う。【神脚】に関して言えば、【脚力強化】の側面もあるので、普通に歩いたり、走ったりするだけでも経験値は入る。
だから、今でこそ【血武器】とかの方が、レベルは高いけど、その内、【神脚】の方が伸びると思う。
「そろそろ夕方だし、一旦ログアウトかな」
夕飯も食べないといけないので、一旦ログアウトして、夜にまたログインする事にする。そのくらいの時間には、ワンオンの中も夜になっているので、また熱帯の探索が進められる。その日の夜の探索は、正直得られるものはなかった。マップ埋めがある程度出来たってくらい。まぁ、残りの探索箇所が減ったと考えれば良いかな。
そうして、翌日。昨日と同じ昼にログインした私は、ラングさんのお店に来ていた。改良を頼んでいた武器を取りに来たのだ。
「こんにちは」
「おう。来たな。出来上がってるぞ」
ラングさんは、すぐに私の武器一式をカウンターに並べた。それを見て、私はすぐに装備の変更点に気付いた。
「血刃の双剣が、普通の双剣みたいになってますね」
血刃の双剣は、元々二本のツイストダガーだった。その刃が、まっすぐに直されていた。相手を出血状態にさせて、その血で武器を強化するという事から、出血状態にさせやすい武器の形状になっていたはず。
「使い勝手が悪いという点を受けて、血刃の双剣は、二本のナイフという形にした。短剣よりは短いから、まだ使い勝手は悪いと思うが、扱いやすくはなっているだろう」
「でも、コンセプト的には、大丈夫なんですか?」
「ああ、問題無い。出血の状態異常にはしやすくなっている。刃を見てみろ」
ラングさんに言われて、血刃の双剣の刃をよく見てみる。すると、刃の腹に細かい鱗みたいなのがあるのが分かった。血染めの短剣と見比べると、本当によく見ないと分からないくらいには、分かりにくい違いだ。
「それが、ドラゴンの素材を使った効果だ。【竜鱗】って名前になっている。効果は、刺した相手を状態異常にさせやすくする事だ。これのおかげで、ツイストダガーという形に拘らなくても、確率は変わらなくなっている」
「へぇ~」
私は、武器がどんな風に変わったのか調べる。
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・血染めの短剣:【攻撃力上昇++】【耐久力上昇+】【HP吸収】【霊気】
・ツイストダガー:【状態異常確率上昇(出血)+】【耐久力上昇+】【HP吸収】【霊気】【竜鱗】
・血刃の双剣:【攻撃力上昇++】【状態異常確率上昇(出血)+】【共鳴】【竜鱗】
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血染めの短剣の攻撃力が上がって、さらに【霊気】なんていう追加効果が増えている。ツイストダガーに付いていたもう一つの【状態異常確率上昇(出血)+】が消えて、【霊気】【竜鱗】が付いていた。血刃の双剣に関しては、【HP吸収】と【竜鱗】、【耐久力上昇+】と【攻撃力上昇++】が入れ替わっていた。
「血刃の双剣は、そこまで耐久力が減っていなかった。恐らく、【血装術】で血を纏うから本体にダメージが通りにくいんだろうな。それと【HP吸収】に関しては、【竜鱗】を入れるために削った。【共鳴】を削ろうとしたんだが、無理でな。双剣には、絶対に付いていないといけないらしい」
全く使っていない【共鳴】が、絶対に追加効果に入る事が【双剣】の縛りみたいだ。それだけ、【双剣】が強いという風に考えられるかな。
「この【霊気】というのは何ですか?」
「それは、霊体に攻撃出来るという追加効果だな。同じ追加効果を付けておくよりも、あった方が便利だと思ったんだが、いらなかったか?」
「いえ、正直欲しいと思っていたものなので助かります」
霊体。恐らくシャドウも含まれるだろう。イベントで喉から手が出る程欲しかった力だ。きっとダメージを通らせるだけじゃなくて、ノックバックとかも含めて攻撃出来るみたいな感じだろう。そう信じたい。
「追加効果が変わって、攻撃力が下がると思うだろうが、実際は、前よりも攻撃力は上がっている。そこは心配しなくて良いぞ」
ラングさんがそう言うって事は、本当に攻撃力は上がっているのだと思う。
「後は、自分で確かめてみてくれ。その方が分かりやすいだろう」
「分かりました」
そう返事をしつつ、武器を鞘に納めていく。その間に、ラングさんがメニューを操作して、私に何かを送ってきた。
「取り敢えず、使わなかった素材を返しておくな」
「持っていて頂いても大丈夫ですよ?」
「いや、これは、防具やアクセサリーに付けた方が良いものだ。少なくとも、俺はそう思った」
そう言って、ラングさんが返してくれた素材は、霊峰竜の心臓と霊峰竜の目、霊峰竜の核だった。
「じゃあ、アカリのところに持っていきます。それじゃあ、ありがとうございました」
「おう。またな」
ラングさんに手を振って、お店を出て行き、アカリエに向かった。




