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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女と邪神?

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セレファイスの主神

 それから平日の間は、一時間ログインして状況を確認しつつ、ホームズさんが携わる事件を手伝う日々となった。事件現場からホームズさんがわかり得ない情報を見つけるのが私の仕事って感じだ。まぁ、基本的にそんなものはないのだけど。

 そうする事で、色々な情報を知る事が出来る。まず知ったのは、ロンドンの住人達も既に自分が歳を取らなくなっているという事に気付いたという点。成長していたとしても、十八から二十歳の間で時間が止まる。そんな状況に困惑する人達が多かったらしい。

 その期間は、丁度私達が学校に行っている間に過ぎたみたいで、私がログインした頃には大分落ち着いていた。まぁ、知らない国が隣にあったり、あるはずの地域がなくなっていたりするので、情報量が多くなり思考をやめて受け入れる方向に落ち着いた感じらしい。

 後はセレファイスの住人達もロンドンの住人達に好意的に接しているという事が分かった。最初から大きな問題に直面しないっていうのは、大分有り難い話だと思う。

 そんなこんなで、土曜日。アカリと一緒にログインをする。平日の間に学校とかで今後の予定をどうするかは決めておいた。船での移動は道中にログアウトする事が確実なため、道中のトラブルに巻き込まれた場合が怖いのと船の乗組員達に申し訳ないという事で、私が抱えて空を飛ぶ事にした。あまり高くを飛ばなければ、そこまで目立たないだろうと考えて決めた事だ。

 この事はクラネスさんにも共有してある。そうじゃないと、船の準備をしてしまうかもしれないから。

 ログインした後は、下宿の契約を切っておく。


「さてと、ホームズさん達に挨拶をしてから行こうか」

「うん」


 お世話になったから、ホームズさん達には最後の挨拶をしてから出発する。そうして訪れると、丁度ワトスンさんもいた。


「こんにちは」

「ん? 君達か。二人揃っているところを見るに、そろそろ出立するというところか」

「むっ、そうなのか?」

「はい。今日出ます。お二人にはお世話になったので、最後にご挨拶をと思いまして」

「どちらかと言えば、こちらが世話になったくらいのものなんだが」


 ワトスンさんは苦笑いしながらそう言った。私達が霧を解決したからというのが大きいのかな。でも、そもそも色々な情報を貰わなかったら、こんなに早く解決出来なかったかもしれない。そこを考えてお世話になったと私達は考えていた。


「これから先、何かしらの事件があれば、またこちらに来ると良い。本来は現場に赴きたいところだが、話だけでも力になろう」

「ありがとうございます」


 こっちに自由に来られるか分からないけど、ホームズさんの厚意は嬉しかったし頼もしいと思った。

 そんな事を感じていると、私とアカリの前にウィンドウが出て来る。


『一定の友好度に達しました。スキル【名探偵の友人】を獲得しました』


────────────────────


【名探偵の友人】:名探偵シャーロック・ホームズ及び助手ジョン・H・ワトスンを自身の近くに召喚する事が出来るようになる。自分の任意でロンドンに送還する事も出来る。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 まさかのホームズさんのところに行くのではなく、ホームズさん達を喚び出すスキルが手に入った。これには内心苦笑いである。


「では、また機会があれば」

「ああ。またな」

「元気でな」


 これでホームズさん達とは別れて、私達はコーンウォールの方に向かう。すると、海岸近くにクラネスさんと一緒に真っ黒な人がいた。金髪に銀色の瞳……いや、瞳というより全部が銀色の目だ。

 あれは人じゃない。その姿に加えて、そこから放たれる気配から察するに神の一人だ。


「ふむ。貴様が件の存在か。確かに異質」

「えっと……?」

「自己紹介をしていなかったな。私はナス=ホルタース。セレファイスの主神だ。貴様らを見ていたが、こちらへの害意や敵意を一切感じなかった。だから、こうして貴様らの前に姿を現した。気になる事もあるからな」


 どうやら本当に神様だったみたい。気になる事は私の中の邪神達の事かな。ここはアカリに任せる訳にはいかないので、私が前に出て会話をする。


「ハクです。こちらはアカリ。私達に気になる事があるんですか?」

「貴様の中に神々だ。特にナイアルラトホテプが、何故そこにいるのか」

「何か勝手に入ってきましたが。それからは全然出て来ません。こちらの問いにも答えません」


 取り敢えず、中にいるのがナイアルラトホテプという点は間違いないらしい。ここで確定したのは有り難いかもしれない。


「カダスを目指す訳では無いようだが、だから、何もしないのか。私の問いには答えても良いのではないか?」


 ナス=ホルタースさんがこう言うけど、私の中から邪神の声はしてこない。


「ふむ。人間がいる場では姿を現さないつもりか? すまないが、クラネスとそちらの人間は、ここから離れてくれ」


 アカリは少し心配そうにしていたけど、私が頷いたら大人しく離れてくれた。私達が見えないような位置に入ると、ナス=ホルタースさんが改めて声を掛ける。


「これで周りに人間はいない。姿は現さずとも会話をしても良いだろう。お前達は、この娘に何をさせようとしている場合によっては……」


 ナス=ホルタースさんがそう言って、こちらに圧を掛けてくる。アカリが居なくて良かった。私は色々と馬鹿みたいな身体から耐えられるけど、普通の人間が耐えられるものとは限らない。レメゲトンがあるとはいえ、下手すれば状態異常に陥る。

 そんな圧を掛けられて、ようやく邪神が声を出す。


『奴等』『来る』『力』『集める』『同時空』『可能』


 そんな言葉を言った。やっぱり何かが来るからそれに対抗するために備えているらしい。


「馬鹿な……次元の壁を突破してくるという事か……その娘の身体は、全員が共存しながら移動出来る船という訳だな。まさか……こちらに来たのは……そんな事が可能なのか?」


『問題無し』『器』『優秀』


「正気を保てるとは思えん……いや、そうか。貴様は人間ではなかったな。その点が可能とするものという事か……それなら認めざるを得ないだろう」


 何か納得させられた。相変わらず、私は置いてけぼりだけど、内容的に私の中に邪神を集めて、何かの襲撃に対抗するという事で合っているみたいだけど。


「私から一つ助言を出そう」

「あ、はい」


 邪神との会話を終えて、今度は私と向き合う。


「自分を見失うな。例え何があっても、真っ直ぐ自分の存在を見ていろ」


 一体どういう事なのか分からないけど、それが必要になるというのは分かる。これから先そういうで出来事があるという事だ。ゲームでそんな事をさせるようなイベントがあるというのも珍しい気がする。


「ではな」


 そう言ってナス=ホルタースさんは消えていった。私の中には入らないらしい。まぁ、セレファイスの主神だし当たり前なのかな。

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