アク姉に相談
開拓領域に戻ってきたら、すぐにアク姉がいる事に気付いた。スノウから降りて、ガイアさん達と別れてアク姉の元に向かう。アスタロトは何かリリスに連れて行かれた。『またぁ!?』とか言っていたけど、何か裏でやっているのかな。まぁ、放っておこう。
「アク姉」
「ハクちゃん!」
アク姉の抱きしめ攻撃が私を襲う。容赦がないので若干苦しい。
「アク姉に話があるんだけど。屋敷に来れる?」
「良いよ」
アク姉と手を繋いで屋敷へと移動する。ヘスティアさんが、迎えてくれて頭を撫でてくれる。その後アク姉と二人で自分の部屋に入った。アク姉と話があるって伝えておいたから、ヘスティアさんも自分の部屋に戻った。
「それで、お話って何?」
「リガイアの事なんだけど」
「ハクちゃんが探してる十の存在の一人だったね。見つけたの?」
「うん」
「おぉ、凄い」
アク姉が拍手してくれる。
「それで何か問題があったんだよね?」
アク姉は即座に私の用件を察してくれる。この辺りはフレ姉もだけど、私のお姉ちゃんって感じがする。
「うん。リガイアのクエストのクリア方法が分からないの。取り敢えず、リガイアと話した事を教えるね」
「うん」
アク姉はニコニコしながら私の話を最後まで聞いてくれた。
「う~ん……まぁ、単純に考えるならリガイアよりも早く穢れを取り除く事かな。リガイアは、自分が動かなくて良い事を祈るって言ってたんでしょ?」
「うん。でも、そうなったら普通のプレイヤーはどうやって解決するの?」
「ああ、そういう事。ハクちゃんは全部を開拓領域にすれば、ガイア様を初めとした大地の神様が浄化してくれるけど、普通のプレイヤーは神様との接点なんてないから浄化をする事も難しいって事ね」
アク姉は、私が考えている事をすぐに察してくれる。このクエストが私にしかクリア出来ないとかはないはずなので、一応そのクリア方法はあるけど、もっと簡単で単純なクリア方法があると思う。その相談だ。
「まぁ、そもそも星全体を開拓領域にするのも無理があるしね。そうなると、自然な穢れとかじゃなくて、今現在急速に穢している何かを解決するとかかな。この前の城にある黒い渦。皇帝の残留思念だっけ? あれを解決するのが一番かな。ただ気になるのがクエスト名だよね。『大地を踏みしめよ 彼の者は先達なり』だっけ?」
「うん」
「クエスト名がそのまま関係するとは限らないけど、ヒントが少ないクエストだから、多分ある程度は関係してそうかな。恐らくは浄化の方法」
「浄化の? 四股とか?」
大地を踏みしめよの部分で地面を踏んで浄化するって方法が思い付く。それに関係するものを考えた時、出て来たのはお相撲の四股だ。多分、何かそういう意味合いがあったし。リガイアがどういう存在なのかを知った時にも思った事だ。
「そんな感じかな。何かしらの方法があると思うけど、彼の者は先達なりってところ。これがリガイアがやっているような方法がクエストのクリア方法だっていう事を示唆しているのかもしれないよ」
「でも、私が歩いても浄化は出来ないよ? いや、やろうと思えば出来るかもだけど、浄化出来る範囲は凄い狭いと思う」
「歩法……圧力……う~ん……あり得なくはないんだけどなぁ。もうちょっと何かある気がする……穢れの元を断つ……いや、うん。浄化するという事自体がクエスト名からのヒントなのかな。そもそもクエストが始まる条件が穢れが一定値に達するとかで、穢れをどうにかするクエスト。穢れが生まれる原因は、リリィルーナちゃんが帰ってくるか十の存在が一定数攻略される事。あの黒い渦がラスボスだとしたら、リガイアのクエストは最終クエストになるのかな。う~ん……会話の内容からすると、時間制限のあるクエストに思えてくるけど……」
アク姉はかなり考察してくれている。浄化がクエストクリアの方法だとして、星全体を完全浄化するのは難しい。それこそ全てのプレイヤーが私と同じような状態になっていないと無理だ。
さすがに、私はイレギュラーな存在過ぎるので、運営も基準としては考えていないはず。
だから、他の方法が絶対にある。そこからアク姉が考えたのは、黒い渦の浄化。出現したあれをリガイアよりも先に浄化する事がクエストのクリア条件という考えだ。
ただしあれは現状どうしようもない。消し飛ばす事も出来ないし、プレイヤーが何かする事も出来ない。ただただ拒み阻まれるだけだ。
そして、あれが皇帝の残留思念だとすると、古代文明を崩壊させた張本人という事でラスボスの可能性が出て来る。でも、ここでアク姉の考えには一つ大きな要素が抜けている。
「あれがラスボスとは限らないよ。まだ邪神がいるから」
「あっ、そっか。皇帝が狂った背後には邪神の干渉があり得るんだっけ。その邪神が想像通りの邪神なら、割とそういう風に暗躍して滅びる様を見て楽しんでいる可能性もあるしね。そうなると、今からでも浄化は可能なのかな……浄化するにしても何かしらのヒントが必要になりそうだから、リガイアのクエストはリリィルーナちゃんのクエストみたいに他の十の存在のクエストが鍵になってる可能性があるね」
「これまでのクエストは特に関わりがあるわけじゃないから、他の十の存在かな。そうなると、ヒストリアかマールムかな」
「そう思った理由は?」
「ヒストリアは、リガイアの話に出て来た亡国の女王の霊体の可能性があるから。マールムはリガイアと同じように大地が関係していそうだから。創世のマールムって名前だし、遙か昔から生きてるし、植物って話だし」
「うん。繋がりとしては申し分ないね。それじゃあ、最初は手掛かりがある程度集まってるマールム探しからかな?」
「うん。そこは予定通り変わらないね。ヒストリアは、まず滅んだ王国の王都を探さないといけないし。後は、他の十の存在がどういう形をしているのかで関わってくる可能性がありそうだけど。何も情報がないのは、後二体かな。ウロスとラクロス」
「スポーツの名前は関係してないよね?」
「ラクロス? さすがにないんじゃない? 正直名前に意味合いがあるのか分からないし」
「シキドウジは多分死の鬼に酒呑童子とかの童子を合わせてる感じかな。ミズチは竜の一種。リリィルーナちゃんは、リリィが百合で花言葉の無垢。ルーナが月で衛星軌道上って感じかな。メイリーンちゃんは分からないな。名前の響きがマーメイドっぽいからかな。マールムはラテン語で林檎の意味合いがあるから樹。リガイアは……大地の再生かな。ヒストリアはそのまま考えれば歴史とか。シュラは……何だろう。玉藻ちゃんと似たような存在なら、妖狐……そこから派生して神使である狐。それがいるのは神社。神社の英語はシュライン。そこからシュラ。ほら、結構考えられると思わない?」
「う~ん……割とこじつけが強い気もするけど。何にしてもスポーツは関係ないと思う」
そんな話をしていると、等々にメッセージが流れた。
『十の存在・鉄鋼兜のラクロスのユニーククエスト『研ぎ澄ませ 心のあるがままに』のクリアされました』
ユニーククエストのクリア表示だ。全体へのお知らせになるとこんな感じで流れるらしい。
「ラクロスのクエストは、どんな感じだったんだろう。討伐されたとしたら、シキドウジみたいに何か抜け殻みたいなのが残ってたりしないのかな?」
「そういえば、ハクちゃんはシキドウジ以外は倒してないから、そこら辺の情報は少ないね」
「うん。ん?」
アク姉とそんな話をしていたら、メッセージが届いた。これはプレイヤーからのメッセージ。ソルさんからだ。
『ラクロス倒したよ。今夜お話出来るかな?』
取り敢えず、大丈夫ですと返事をしておく。
「倒したのソルさんだった」
「あっ、そうなんだ。まぁ、納得かな」
「今夜情報をくれるって。アク姉はどうする?」
「う~ん……夜は別の用事があるから無理そうかな」
「そっか。じゃあ、また会った時に共有するね」
「うん。ありがとうね」
アク姉はそう言って頭を撫で回してくる。
取り敢えず、今夜ソルさんからラクロスの情報を得られるから、これがリガイアに関係しているかが分かると思う。それにしても、ラクロスはどんなのだったのかな。夜にログインするのが待ち遠しい。




