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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
古代文明の謎に迫る吸血少女

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リガイア発見

 リガイアの脱皮した甲羅を辿って、スノウに乗りながら飛んで行く。途中鳥っぽいモンスターがいたけど、ニクスが燃やし尽くしていた。私がしっかりと認識するまえにニクスが倒してしまうから名前は見えなかった。血の味がするから、ちゃんと倒れているのは分かるけど。

 そうしてニクスの護衛の中で、私達はソイルとガイアさんの案内に従って移動していく。


『あっ……お姉ちゃん……あの山……』


 ソイルが真っ直ぐ前の山を指差す。何度か山を越えたけど、ソイルが山そのものを指摘したのは、これが初めてだ。つまり、あの山の中に脱皮した甲羅が層のようになっているという事だ。


「ガイアさんはどうですか?」


 念のためガイアさんにも確認しておく。


「ええ。ソイルと同じよ。あの山の中には層になった甲羅があるわ。なるほどね。もしかしたら脱皮は自分で意図して起こす事も出来るのかもしれないわ」

「どういう事ですか?」

「ソイルも感じるわよね?」

『うん……山の麓にも……甲羅がある……』

「最初に脱皮した甲羅が滑り落ちてるって事ですよね? それが……あっ!」


 それがどうして意図的に脱皮出来るという事に繋がるのかと思ったけど、自分で言って気付いた。


「脱皮した甲羅で自分の周りを覆う事で山に偽装してるって事ですか?」

「恐らくはそうね」

『土も……操れるのかも……』

「盛土みたいなもの?」

『多分……』


 眠る場所を選んで脱皮で周囲を覆い、その上から土を被る。こうして擬態して眠りにつき、また大地が穢れたタイミングで起き上がり穢れを払う。そういう風にしているのかも。


「見つけたのは良いですけど……」

「見たところ起きてはいないわねぇ」


 アスタロトの言うとおり、リガイアはまだ起きていない。首が出て来ていないのが、その証拠だ。取り敢えずは、声を掛けて起こすところから始める。


「お~い! リガイア!」


 大きな声で呼び掛けても返事はない。まぁ、これで返事をするならもっと会話が出来ていた人が増えているはずだしね。


「リガイアの頭ってどっちですか?」

「恐らくは向こうね」

「スノウ」

『ガァ!』


 頭がある位置に飛んで貰う。こっちの方が声が聞こえやすいだろうし。ノマドと同じ状態になっていたかもしれないから、改めて地上で声を掛ける事にする。あまり警戒させたくないから、ここは一人で行く事にした。


「私が一人で地上に降りて声を掛けるので、皆はスノウの上にいて下さい」

「相手が敵か味方か分からない以上、ハクを一人にするのは反対よ」

「それはリガイアも同じです。だから、敵じゃないという事を伝えるために一人が良いんです。アスタロトもだよ」

「えぇ!? レメゲトンに入れてくれればいいじゃなぁい」

「レメゲトンの中身を感じ取られたら困るでしょ。ただでさえ、私自体が化物みたいな感じなんだし、警戒させたくないの。じゃあ、行ってきます」


 私はそう言ってスノウから飛び降りた。ガイアさんが付いてこないという事は、ちゃんと納得してくれたのだと思う。まぁ、私が返事を聞かずに飛び降りたから、追いかけると私の意思を無視するという事になるからっていうのもあるかもしれないけど。

 頭があるであろう場所に降りた私は思いっきり息を吸って大きな声を出す。


「こんにちは~!! 私の名前はハク! リガイアとお話をしに来たの!! この大地の穢れについて知りたいなぁ!!」


 木々が揺れる程の大声を出した。自分でも完全に近所迷惑だなって思うくらいだ。これで返事をしてくれないとなると、一旦諦めるという事になる。

 でも、城跡であの黒い渦が生まれている以上、大地の穢れも増えているはず。あれが皇帝の怨念、残留思念だと考えれば、大地が穢れ始めるという事が考えられるからだ。

 しばらく待っているけど、リガイアからの返事がない。やっぱり無理なのかなと思い始めた頃、頭の中に渋い声が響いてきた。


『穢れを知る者か』

「ううん。情報でしか知らない。リガイアが穢れを浄化するために動いているって事とかね。リリィルーナからも少しだけ話を聞いてる」

『リリィルーナ……あの小娘か。大地から離れたと思っていたが』

「私が連れ戻した。だからなのか分からないけど、帝国の城があった場所に黒い渦が出来たの。それが皇帝の残留思念っぽいんだけど、もしかしたら穢れに繋がるのかなって思ってる」

『ふむ。確かに再び大地が穢されようとしている』


 リガイアも残留思念的なものを感じ取ったみたい。


『加えて、別の場所でも穢れが生じている……これは汝らの仕業か?』

「え? う~ん……どうだろう。住む場所を作るためにある程度木々を伐採して使わせて貰ってるけど」

『逆に穢れが消え去っている場所もある。そちらが汝らか?』

「あっ、そっちは私達かな。神様とかがいて神聖な場所になってるから」


 穢れに心当たりはなかったけど、穢れが消えているという方なら心当たりしかない。ガイアさんを初めとした大地の神々やデメテルさん達豊穣の神々がいるため、私の開拓領域はほぼほぼ神域に近い状態になっている。


「リガイアは、穢れを浄化するためだけに歩くの?」

『その通りだ。それが我に与えられた役目。大地の管理人だ。だが、常に我があるけば、地上から生命が消える』

「足跡は残らないって聞いたけど」

『大地に対してのみ全てのエネルギーが浄化に回される。それ以外には適用されない』


 つまりリガイアに踏み潰されたら、普通に巨大な亀に踏み潰されるのと同じになるみたいだ。


『森の中に一箇所だけ木々が無い場所などもあるだろう』

「ああ、確かにここは日が差すなって場所は時々あるね」

『我が歩いた跡の可能性もある』

「そっか。木も潰されちゃうんだね」


 自然にそうなった場所もあるだろうけど、リガイアが踏み潰して、そのまま木々が生えてこなかった場合もあり得るらしい。そういうところが一応痕跡になり得たみたい。


「リガイアが動く基準は一定以上の穢れ?」

『その通り。場合によっては現地まで向かう』

「別大陸でも?」

『海溝を避ければ可能だ』

「そうなんだ。そうなったら進路上にいる生物は関係なし?」

『汝は蟻を潰した事に気付くのか?』

「気付かないかな……そうなると仕方ないのか……役目だもんね」


 さすがにこれを止めたら、この星が終わる可能性もある。だから、リガイアには動いて貰わなくてはいけない。そこに他のプレイヤーの開拓領域があろうとも。


「リガイアの前に穢れを浄化させたらどうなるの?」

『我は動かん。だが、それは不可能だろう。星全体を常に浄化し続けるのなら可能かもしれんがな』


 つまり星全体を開拓領域にして、ガイアさん達の力で浄化すればリガイアが動く必要はなくなるという事かな。さすがに他のプレイヤー達は認めないだろうし、これは無理だ。

 だから、リガイアが動くのを防ぐ方法はない。だからといって、リガイアを倒すという事はしない。そんな事に意味はないから。


『だが、我が動くのは、まだ先だ。かの皇帝が復活すれば話は別だが』

「皇帝が復活?」


 何やら重要な話な気がする。これはしっかりと聞いた方が良さそうだ。

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