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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女の歩む道

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楽しみな事

 高校生活が始まり、平日は夜しかログイン出来なくなった。そのせいで、スキルレベルは大して上がっていない。


────────────────────────


ハク:【剣Lv30】【短剣Lv26】【格闘Lv17】【魔法才能Lv15】【支援魔法才能Lv15】【吸血鬼Lv13】【夜霧Lv7】【執行者Lv26】【硬質化Lv16】

控え:【HP強化Lv25】【物理攻撃強化Lv23】【速度強化Lv26】【運強化Lv12】【脚力強化Lv34】【言語学Lv7】

SP:48


────────────────────────


 【吸血鬼】【魔法才能】【支援魔法才能】【硬質化】のスキルが大きく上がった。ボス戦のおかげで戦闘系のスキルも上がっているけど、アサルトバードと平原のホワイトラビットとスライムを吸っていたから、ジッとしている間にも使えるスキルが育った。加えて、アサルトバードから何度か【硬質化】を得られたので、他よりも【硬質化】の伸びが大きい。

 ついでに、図書館で少し本を読んで【言語学】も上げておいた。こっちでは、まだ良い情報は集まっていない。絵本とか何かしらの物語を少し読めるくらいだ。

 スキルに関しては、こんな感じで、今日は一ついつもと違う予定が入っている。それは、久しぶりに姉妹水入らずで冒険に出る事だ。そのために、スキル上げをちょっと頑張った。

 アク姉達とは、ウェットタウンの広場で待ち合わせをしている。時間的には、ちょっと早いくらいだけど先に行って待っている事にした。広場の端で待っていれば、どこから来ても分かるだろうと思っていたけど、そんな必要はなかった。


「ハクちゃ~ん!!」


 横からの突撃に耐えきれず、倒れてしまうかと思ったら、そのまま抱えられたので倒れる事はなかった。


「一週間ぶりのハクちゃんは、満たされるものがあるね!」

「そんなヤバイ成分は出てない」

「出てる! 私をメロメロにさせるフェロモンが出てるよ!」


 そのまま広場の端っこまで運ばれていく。その間、頬ずりされ続けているので、さすがに周囲の目線などが気になる。アク姉は、そんな事を気にせずに、私を愛でてくる。

 死んだ目で受け入れていると、アク姉の身体に拳が振り下ろされた。


「目立つ事してんじゃねぇ」

「いったぁ……おかげで、簡単に見つけられたくせに……」

「そんな事してねぇでも、お前達なら見つけられるわ。ハクは、あれから何もなかったか?」

「うん。何も無かったよ」

「そうか。なら、良かった」


 フレ姉はそう言って、少し乱暴に頭を撫でてくる。


「そんじゃあ、行くか。湿地帯のボスを倒しに行くんで良いんだよな?」

「うん。私は、まだ倒せてないから」

「湿地帯のボスかぁ……厄介なんだよね」

「そうなの?」


 湿地帯のボス情報は、まだ持っていないので、どんなボスなのか分かっていない。


「厄介と言えば、厄介だが、こいつがいれば大丈夫だろ。最悪、盾になる」

「任せて! ハクちゃんは、絶対に守るから!」

「私も前衛なんだけどなぁ」

「馬鹿は放っておけ」

「馬鹿じゃないもん! 良い大学行ってるもん!」

「アク姉、怒ってないで、早く外行こう? 私が戦える時間は限られてるから」


 今は夜の時間帯だけど、夜明けは、二、三時間でやってくる。そうしたら、私のステータスは半減してしまうので、なるべくなら万全の状態で行きたい。


「それもそうだね! レッツゴー!!」


 アク姉が私の手を取って街の出口に向かって行く。その後ろを、フレ姉が呆れながら付いてきていた。

 ボスの場所までは、一直線に向かって行く。


「結構離れてるの?」

「ああ。ウェットタウンは、大体湿地帯の中央にあるからな。ボスエリアまでは距離があるぞ」

「ふ~ん」

「ところで、少し気になってんだが、その手どうした?」


 フレ姉が、【硬質化】を使った私の片手を見てそう言った。もう片方の手はアク姉に繋がれているので、【硬質化】は使っていない。だから、余計に【硬質化】を使っている手との違いが分かりやすくなっていた。


「【硬質化】ってスキル。アサルトバードから獲得したスキルだよ。アサルトバードから何回か獲得出来たから、結構育ったよ」

「同じスキルを何度も獲得出来るの?」


 アク姉は、少し驚きながら訊いてきた。


「うん。重複したスキルは、そのスキルの経験値になるよ」

「なるほどな。獲得したものが無駄にならないという点に関しては嬉しいが、新たなスキルが手に入らないってのは、もどかしい感じがするな」

「基本的に新しいスキルが欲しくてやってるからね。でも、これはこれで助かってるよ」


 本心で言えば、新しいスキルが欲しい。でも、今あるスキルのレベルが上がるのは、ちょっと嬉しい。


「だろうな。そういえば、スキル獲得の条件は一体の個体に対して一つのスキルだったな?」

「うん」

「じゃあ、こいつから何回も獲得出来るわけじゃないのか?」


 フレ姉がアク姉に指を向ける。指を指されている事が嫌なのか、アク姉はフレ姉の指に噛み付こうとして、簡単に避けられていた。


「試した事ないから分かんない。でも、プレイヤーがリスポーンしたら、別の個体って言われると怖くない?」

「まぁ、そうだな。そうなると、一人のプレイヤーからは、一つのスキルだけという事か。血の吸い時に迷いそうだな」

「そう? 吸血で倒せるなら、いつでも倒すつもりだったけど」

「相手が欲しいスキルを持っているか分かってからの方が良いんじゃないか? 要らないスキルを貰っても困るだろ?」


 確かに、最初にアク姉から【魔法才能】を獲得した時には、どう扱うか迷った。だから、フレ姉の言っている事も理解は出来る。


「でも、どのみちスキルを選べるわけじゃないし、そういう博打要素も楽しいじゃん」

「まぁ、ハクは、そこら辺も楽しむタイプだったな。私からもやってみるか?」

「倒さないと駄目だろうから、普通に戦う時にやる」

「別にデスペナくらいだったら、構わないけどな」

「一方的に姉さんを倒すチャンスだよ! やっちゃおう!」

「パーティーメンバーになってるから、ダメージはねぇ事を忘れてねぇよな?」


 三人でパーティーを組んでいるので、互いの攻撃はダメージにならない。でも、攻撃の判定自体はあるので、ノックバックなどは受ける事になる。なので、やろうと思えば、フレ姉がアク姉を攻撃する事は出来る。


「ダメージがない事を良い事に妹を虐めるつもり!?」

「馬鹿な事を言わなければ良いんだよ。馬鹿」

「馬鹿って言う方が馬鹿ですぅ!」

「なら、お前も馬鹿だな」

「二人ともうるさい……」


 私を挟んで喧嘩しているので、両方から大きな声が聞こえてくる。挟まれる身にもなってほしい。


「ハクちゃん! ごめんね!」


 アク姉が、私を抱き上げて頬ずりしてくる。それをすれば許されると思っているのかと考えたけど、実際には、ただただ愛でたいだけだと思う。ここで止めると、また面倒くさいので、このままにしておく事にした。抱き上げてくれているから、移動自体は楽だし。

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