ここまでのあらすじ
およそ10年前、絵洲市の八川小学校で、同じクラスから2人のウィンガーが現れた。
その後も、そのクラスにゆかりのある生徒がウィンガーとして発現し、担任だった野宮れい子との関わりが取り沙汰された。
実は、そうして登録された以外にも、ウィンガーになった子供は多数いたが、大半は隠れウィンガーとして、翼が現れたことを隠していた。
子供たち自身も野宮を疑っていたが、やがて、彼女は姿を消してしまう。
時が過ぎ、成人となった子供たちの一部は、野宮れい子について調査を続けていたものの、ほとんどは穏やかに生活を送っていた。
その中の1人、水沢凪は、小学校卒業と同時に絵洲市を離れていたが、大学進学を期に、この街へ戻ってきている。
当初は同級生とも関わらず、学生生活を送っていた凪だが、同級生の行方不明事件の相談を受けたことをきっかけに、未登録翼保有者対策室の職員、須藤が、ウィンガーの人身売買に関わっていた事件に首を突っ込んでしまう。
実は凪は、唯一黒い翼を持つウィンガーであり、飛行能力の他に人の心に干渉する力も持っている。
彼女自身はその翼や能力を好ましくは思っておらず、「普通の生活」を望んでいため、同級生たちとも疎遠にしていたのだが、事件をきっかけに、同級生たちと関わりを持つようになっていく。
「将来ウィンガーになる」と、凪の弟、洸に予言された少年、神代翔太、妹について悩みを抱える同級生、室田光など、凪の周囲では不穏な出来事が起きつつあった。
更に、元未登録翼保有者対策室の職員だった渡辺が、凪たち隠れウィンガーの溜まり場となっているジーズ・バーのマスターの正体に気付き、数年前に起きた殺人事件との関連を疑ってくる。
「普通の生活」を望む凪だが、その翼ゆえに部外者ではいられず……
《用語解説》
◎ウィンガー……翼を発現することができる人間。基本的には白い翼。翼を発現していられる時間は5〜10分程度だが、その間は人間離れした運動能力を発揮できる他、記憶力、情報処理能力なども向上する(個人差あり)。だが一方、特に発現した初期は暴力的になり、暴走して死傷者を出す事件も多数。
翼を発現する年齢は12歳から18歳頃が圧倒的に多いが、なぜ翼が現れるのか、誰に現れるかなどは全く不明。
◎アイロウ…… International Registration Organization for Wing holders :翼保有者登録機関。ウィンガーを管理、保護するために作られた国際組織。ウィンガーは発現と同時に登録を義務付けられている。
◎トレーニングセンター……ウィンガーと確認された人間は翼の出し入れ、精神状態のコントロールができるまで、然るべき方法でトレーニングを受けることを義務付けられている。トレーニングセンターには宿泊施設もあり、許可が出るまでは外出もできない。
◎未登録翼保有者対策室……数年前から未登録ウィンガー(隠れウィンガー)の保護件数が増加している絵洲市に設置された部署。スタッフの須藤が立場を利用し、ウィンガーの人身売買に関わっていた事件をきっかけに解散した。




