第三章 第三話 夢の屋敷へ
目を開けると目の前にはつい最近、いや昨日ここで戦闘した屋敷が建っている。
「全員揃った?」
声の方に振り向くと、神代が俺たちを見ている。
「番号でも言うかい?」
「番号?」
「言わねぇよ。神代、全員いるぞ」
「そうみたいね。それじゃ屋敷に入りましょ」
俺たちはそう軽く会話し、屋敷へ向かう。
屋敷には立派な扉がそびえ立っている。
「開けるぞ」
そう亮夜が言った瞬間、扉が勝手に開いた。
開いた扉の奥には燕尾服を着た銀髪オールバックの初老の男、カルロス・スチュアートが立っている。
「皆さま、ようこそいらっしゃいました。こちらへどうぞ」
そう言うと奥のもう一つの扉を開ける。
「今回はお客として入れるよな?」
亮夜は冗談半分に問いかける。
カルロスは優しい笑顔でこう答える。
「勿論でございます。さぁ、お屋敷の中へどうぞ」
そう言い、彼は扉の向こうへ誘う。
「昨日戦った敵は今日の友ってことだね。これほど心強いものはないよ」
それは賛同する。
不安だらけのこの夢の世界で現地の人と仲良くなれるのは凄く心強い。
想像したことはあるだろうか、見知らぬ土地で自分一人の状態の姿を。
自国ならいい。言葉が通じるから。
しかし、海外に行ったらどうだろうか。
言葉は通じない、文化や常識も違う。
そんな世界で知人ができるだけでも状況は変わるものだ。
その人が知ってる知識、常識、文化を理解できるのだから。
そう思いながら俺は「そうだな」と呟き、俺たちは屋敷の中へ入った。
全員広間に入るとカルロスは扉を閉め、こっちに向かってくる。
「部屋を案内します」
そう言い彼は俺たちを先導する。
広間の天井や壁を眺めると治っている。
本当に不思議な世界だ。
「カルロスさん。ノコは大丈夫ですか?」
真吾がカルロスに聞いた。
「ただ今、エルファバ様が地下で修理中でございます。レベッカ様との謁見の後、寄られますか?」
「うん、寄らせてもらうよ」
「私も寄らせてもらうわ。聞きたいことあるし」
「それじゃ全員で行かねぇか」
「うん、行こう」
俺がそう言うと全員が頷いた。
「畏まりました。では謁見後、案内させて頂きます」
そう話していると部屋に着いたようだ。
カルロスは部屋の扉を開け「どうぞ、お入りくださいませ」と俺たちに言う。
部屋に入るとレベッカが優雅に紅茶を飲んでいた。
「ふふっ、ようこそいらしてくださいました。さぁ、椅子にお掛けになって」
あれ? なんかキャラが違う?
「皆さま、どうかされました?」
「いやぁ……なんて言えばいいのか……」
そう俺が言った瞬間、真吾が大声で「カリスマブレイクのレベッカさんはどこですか?」と問いかけた。
「ここにいるわよ! なに? 優雅に紅茶飲んだらいけないの?」
「いやぁ、キャラがちげぇなって思ったからよ」
「キャラってなに? 違うってなに? あたしはあたしよ!! 」
そう言いカップを机に置き、そして立ち上がり、地団駄を踏み始める。
「岩城くん。おふざけのために来たわけじゃないでしょ?」
「そうだった。ついね」
そう言い真吾は真剣な眼差しになる。
「ん? なによ?」
「実はレベッカさんに聞きたいことがあるんだ」
レベッカは真吾の顔を見て軽く頷き、椅子に腰掛ける。
「何を聞きたいの?」
そう言うと真吾は「ここで何が起こったか、だよ」と言い返した。
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