「使徒」独占インタビュー記事〈使徒の活動について(その2)〉
◇では次に。日々の戦いは辛いものもあると思いますが、そういう時は何かをモチベーションにしているとか、心が折れそうになった時の魔法の言葉など、ありますか?
ユダ「モチベーションを保つ方法は、やっぱり、人々の平穏を考えることですね。私たち使徒は、悪魔に日常を脅かされた人々の平穏を守ることが使、命ですから」
ヨハネ「戦えるのは僕たちしかいないので、どんなに強い敵だとしても、敵愾心を燃やして、自分の身体に鞭打って立ち向かいます」
◇ですが。みなさんにしか果たすことができない使命でも、やはり精神的に辛いと思うこともあるんじゃないんですか?
ヤコブ「正直。激ヤバの時は、俺らにできるのかって不安になることもあります。でも、一人じゃないんで不安も吹き飛びます」
シモン「ボクたちは、〈バンデ〉の絆を深めることで強くなれます。ヤコブが隣にいるだけで、折れそうになった気持ちも持ち直すし、勇気が溢れてきて、どんなに強い敵が相手でも奮起できるんです」
ペトロ「きっと誰もが、側にいてくれると安心する家族や友達がいるように、オレたちにも心を支えてくれる唯一無二の相棒がいます。オレが弱音を吐きそうになるとユダが励ましてくれて、逆にユダが不安になってるとオレが背中を支えるんです。苛烈な戦いの中でも立っていられるのは、そんな大切な相棒が隣にいてくれるからです」
◇使徒になられたばかりのアンデレさんにも、頼れる唯一無二の相棒はいるんですか?
アンデレ「はい! おれはヨハネさんと〈バンデ〉なので、仲良くなれるように日々努力してます!」
◇ヨハネさん。新人のアンデレさんは、頼れる相棒になれそうですか?
ヨハネ「不安です。不安と心配しかありません」
アンデレ「ヨハネさん! 真顔で本心を言わないでくださいよー! 嘘でもいいから、期待してる頑張れよ、くらい言ってくださいよー!」
ヨハネ「期待はこれからする。だから、僕が愛想を尽かなさいように頑張れよ」
アンデレ「頑張ります! ヨハネさんに愛想を尽かされて別れを切り出されないように、根性で頑張りますっ!」
ヨハネ「そこは普通に、期待に応えられるように頑張るでいいんだよ! なんでお前は毎度、変な言い回しをするんだ!」
◇アンデレさんが、頼れる相棒になるといいですね。ヨハネさん。(にこっ)
ヨハネ「ほら! インタビュアーさんが、なんかものすごく勘違いした微笑みしたぞ!」
アンデレ「おれは、間違ったこと言ってないですよ。ヨハネさんの唯一無二の相棒は、おれしかいないんですから」
ヨハネ「いや。それはそうなんだけど」
アンデレ「ヨハネさんは、おれのものです(真剣)」
ヨハネ「…………っ」
◇…………!?(ドキドキッ)
シモン「あれ。ヨハネ、また顔赤い?」
ヨハネ「なってない!」
ヤコブ「やっと、ボッチ卒業できてよかったな」
ヨハネ「そっちの意味のボッチ卒業じゃない!」
ペトロ「ヨハネ。オレの親友をよろしくな」
ヨハネ「特別な意味の、贈る言葉に聞こえるんだけど!」
ユダ「(にこにこ)」
ヨハネ「ユダは微笑んでないで、インタビュアーさんの誤解を解いてください!」
◇大丈夫です、ヨハネさん。わたしは誤解なんてしていませんよ。
ヨハネ「だったら、ニヤつくのやめてください!」
(※少々、現場が混乱しましたので、内容を割愛致します。)
◇落ち着いたところで、少し真面目な質問をさせて頂きます。去年の秋頃から悪魔が出現し始めて、約一年が経とうとしています。使徒のみなさんのおかげもあり、早々に事態は収拾すると思われていましたが、未だに脅かされる日々が続いております。悪魔はいつ、いなくなるんでしょうか。
ユダ「この街に住むみなさんが、気になっていることですよね。毎日のように悪魔が現れ、しかも、いつ誰に憑依し実体化するのかという不安がこんなに続くとは、私たちも全く想像していませんでした。残念ながら、悪魔との戦いがいつまで続くのかは、私たちにもわかりません」
◇街の方の話やSNSによると、激戦のあとのような姿のみなさんを見かけて、驚いている方が多くいらっしゃるんですが。みなさんが戦っているのは、普通の悪魔だけではないんですか?
ヤコブ「ほとんどは、憑依して実体化した悪魔との戦いですけど。時々、俺らが予想してなかった敵が現れるんです。街の人たちが見て驚いてるのは、そいつらと戦ったあとの俺らの姿ですね」
◇では。悪魔だけではなく、それとはまた別の敵とも戦っていらっしゃるんですね。それは、一体どんな……。
ペトロ「ヤバいやつです」
シモン「ヤバいやつです」
ヨハネ「ヤバいやつです」
アンデレ「ヤバいやつです!」
◇なぜ、誤魔化すんですか?
ユダ「誤魔化しているわけではないんです。その時々相手にする敵は、本当に一筋縄ではいかない敵なので、あまり詳細をお話すると、みなさんの不安を煽ってしまうので」
ヨハネ「その敵の正体は、みなさんが聞くとショックを受けるかもしれません。ユダの言う通り、一筋縄ではいかない敵なのも、間違いありません」
◇その敵のせいで、戦いが長引いているのですか?
ユダ「そうかもしれません。としか、お答えできませんが」
◇それでは。現在、戦いの終焉は見えているんでしょうか。
ユダ「正直に申し上げると。私たちにも、この戦いがいつ終わるのかわかりません。ですが。一日も早く終わらせられるよう、一つの戦いが終われば一歩平穏へと近付くと信じて戦っています」
ペトロ「オレたちが、いつ終わるかわからないなんて言ったら、みんなの不安は増してしまうかもしれない。だけど、オレたちは戦いが終わるまで諦めない。自分を信じて、仲間や相棒を信じて、一歩ずつ日常へ戻れていることを信じてます」
ヤコブ「だな。俺らが諦めない限り、日常は必ず戻って来る。ていうか、諦めるつもりで戦ってないし、必ず望む未来は来ます」
シモン「ペトロも言ってたけど、自分を信じることが大事だよね。自分じゃなきゃできないって使命感が、戦う原動力にもなってるし」
アンデレ「それわかる! おれも、最初のガチ戦闘ビビったけど、自分がやりたいことが使徒になってできるようになったから、自分で勇気を湧かせて奮戦した! 仲間がいるってのもすごい心強いけど、自分の気持ちが一番大事だなって思う!」
ヨハネ「敵に力の差を見せ付けられて、無理だと諦めたら、そこで全て終わりです。それを自覚しても、敵に悟られても、その気持ちを嘘にして戦う。それが、僕たち使徒です」
◇終焉は見えないと聞いて、漠然とした不安が大きくなりかけましたが、みなさんの戦いに対する強い意志や覚悟を聞いて、安心してきました。
アンデレ「安心して、おれたちを信じてください!」




