表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イア;メメント モリ─宿世相対─  作者: 円野 燈
◆番外編◆「使徒」に独占ロングインタビュー!街のヒーローの素顔と、知られざる戦いの裏側とは!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

261/263

「使徒」独占インタビュー記事〈使徒の活動について(その1)〉




◇それでは次は、使徒の活動について質問させて頂きます。こちらも、答えられる範囲で構いません。───まず。いつも悪魔退治の際は全員揃わず、三人か四人が多いようですが。


 ユダ「ええ。一人は『潜入インフィルトラツィオン』と言って、憑依された人の心の深層に自身の心をシンクロさせ、溢れて制御できなくなった負の感情を軽減させます。そのあいだ、他の仲間は悪魔を弱体化させ、祓魔できるタイミングを見計らいます」


◇先に悪魔を退治しないのは、なぜですか?


 ヨハネ「憑依された人と実体化した悪魔は、鎖で繋がっています。その鎖は、人間で言えば臍の緒のようなもので、悪魔は鎖から人間の負のエネルギーを吸い取っています」

 ヤコブ「鎖を先に断ち切れば戦いやすく思えるかもしれませんけど、繋がっている状態で先に悪魔を祓うと、負のエネルギーの逆流が起きて、憑依された人への負担が掛かる恐れがあるんです。同時に、深層とシンクロさせてる俺らにもその反動が来ます」

 シモン「それと。先に憑依された人の心を軽くしてあげることで、負のエネルギーの供給が少なくなった悪魔が弱って、祓いやすくもなります」


◇なるほど。安全で効率的な、やり方なんですね。出動は、家事のように当番制だったりするんですか?


 ペトロ「いいえ。ユダとヨハネは基本事務所で仕事してますけど、オレたち四人は普段は学校とかアルバイトなんで、悪魔が出現するタイミングによっては、その時行けるやつが行くって感じです」

 ヤコブ「お互いのその日のスケジュールは大体把握してて、悪魔が出た時はグループメールで、自分が行くとか連絡し合ってます」

 アンデレ「へえー。みんな、そうやって連絡取り合いながら戦ってたんだー」

 ペトロ「お前も店飛び出す前に、オレたちとちゃんと連絡取るようにしろよ?」


◇では。憑依された人を助ける人と、悪魔を退治する人で、役割は決まっているんですか?


 シモン「誰が深層潜入して誰が悪魔と戦うかは、その場で決めてるよね」

 ヨハネ「深層潜入は何気に負荷がかかるので、一人が連続でやることにならないようには気を付けてます」


◇その“深層潜入”は、先程もおっしゃっていたように、憑依された人とシンクロ状態となるから、自身への精神的負担となるということですか?


 ユダ「そういうことです」


◇確か。剣などの武器も使っていますよね。あれは何なのか、伺ってもよろしいですか?


 ヨハネ「あれは『ハーツヴンデ』と言って、悪魔を祓う時に使うものです」


◇でもいつも、手ブラで悪魔の出現場所に現れますよね。戦闘を見た人たちは、魔法だとおっしゃっていますが……。


 ヤコブ「魔法だったらよかったんですけどね。実はあれは、俺らの身体から出してるんです」


◇身体から!?


 ペトロ「『ハーツヴンデ』は、オレたちの心に溜まっているエネルギーを具現化したものです。オレは剣、ユダは大鎌、ヨハネは長槍、ヤコブは斧、シモンは弓矢、アンデレは杖です」


◇心に溜まっているエネルギーとは、悪魔への怒りなどですか?


 ユダ「そんな感情ばかりを溜めていては、使徒は務まりません。『ハーツヴンデ』のエネルギーの源は、それぞれに抱えた心の傷です。心の傷は、憑依された人にもあり、みなさんの心にもあるかもしれないものです。それを形にし、自ら手にして戦うことで、心の傷の克服も目的としています」

 ヨハネ「もちろん、憑依された人の救済が最優先なので、自分の心の傷の克服はついでみたいなものです」 


◇まさか、ご自身の心の傷をエネルギーに変えてまで戦っているとは、思いもしませんでした。使徒のみなさんは文字通り、心身を削って私たちのために戦ってくださっているんですね……。


 ユダ「それが、私たちの役目ですから」


◇心から、尊敬致します。……では。身体や精神的なケアなど、日頃から気を付けていることは何かありますか? 例えば、怪我をした時は?


 ヤコブ「傷なら、自分たちで治せるやつなら治してます。ちょっとした治癒能力はあるんで。けど、精神的な負荷があった時は、時間を掛けて自然に落ち着くのを待つしかなかったですね」

 ペトロ「でも今は、アンデレが治癒に特化した力を持ってるんで、怪我したり精神的に辛かった時は癒やしてもらってます」


◇アンデレさんは、治癒と防御に特化してるんですね。できるのは、アンデレさんだけなんですか?


 アンデレ「そうです! おれだけ特別なんですっ!」


◇得意げですね(笑)。でも、普通に戦える力も備えてるんですよね?


 アンデレ「それが。おれは治癒と防御専門なんですよー。ペトロたちみたいに、ドーン! とか、ズバーン! とか、かっこいい活躍ができないんすー……」

 ユダ「派手な活躍ができなくて、がっかりしてるけど。責任感があって、ちゃんと自分の役目を理解してるし。アンデレくんは、使徒の縁の下の力持ちなんだよ」

 ヨハネ「そうだぞ。自分たちで防御しながらって、大変だったんだ。お前がいてくれないと、僕たちはもう安心して戦えない」

 アンデレ「ヨハネさん。おれがいないとダメなんて、こんな公の場でそんな大胆な発言……」

 ヨハネ「ユダの言葉を無視して、僕の言葉を端折るな! だいぶ省略して変な解釈になってる!」

 アンデレ「おれ、ヨハネさんのために床の下で頑張りますね!」

 アンデレ「床下じゃない! そして、みんなのために頑張れ!」


◇アンデレさんがいないとダメなんて。ヨハネさん、結構アンデレさんを心から……(期待の眼差し)


 ヨハネ「頼ってます! 防御と治癒はアンデレに頼ってます! それだけです!」

 シモン「ヨハネ。なんか赤くなってない?」

 ユダ「二人を見てると、微笑ましいね」

 ペトロ「フォローしなくて大丈夫なのかよ、ユダ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ