「使徒」独占インタビュー記事〈モデル活動について(その1)〉
◇では次は、ペトロさん、ヤコブさん、シモンさんの三人に伺います。商品のイメージキャラクターを務めていらっしゃるお三人ですが、街中の方の目に触れる機会が多いと思います。普段から、服装に気を遣っていらっしゃったりするんですか?
ペトロ「いや。人の目なんて、全然気にしてないです」
シモン「ボクも、そんなに気にしてないです」
ヤコブ「俺は、広告の仕事始めて露出するようになってからは、ちょっと気にするようになったな」
◇では。お互いの活躍について、どう思われていますか?
シモン「ボクは、二人ともすごいと思います。ヤコブは一番最初に声を掛けられて、使徒がモデル活動を始めるきっかけになったから、先駆者っていうか」
ヤコブ「先駆者は言い過ぎだろ。さすがに照れるって」
ヨハネ「そう言いながら、鼻が伸びてるぞ」
シモン「でも。ヤコブがやるって言わなければ、ボクもやってなかったと思うし。普通に学校行きながら、使徒やってるだけだったよ」
ペトロ「逆にシモンは、学校も使徒もあるのに、よくやるって言ったな。ヤコブがやり始めたからっていう理由だけじゃないだろ」
シモン「確かに、学校もあるからやるの大変そうだなって思ったんだけど。でも、毎日撮影ってわけじゃないし。やってみると意外と楽しいし。学業にも使徒の使命にも支障が出ないなら、続けてみてもいいかなって」
ペトロ「撮影って、大体平日だろ。普通なら勉強が遅れること心配するのに、使徒もやりながら続けるって決めてるの、何気にすごいよ。シモン」
シモン「みんなの助けがあるからだよ。三足のわらじだから本当は大変だけど、みんなでフォローしてくれてるから、続けられてるんだ」
ペトロ「うん。確かに、それはあるな」
ヤコブ「お前はどうだよ、ペトロ。最初は興味なさげだったけど、少しはやる気になってきたか?」
ペトロ「これを、“やる気”って言っていいのかわからないけど。今は、続けるのも悪くないって思ってるよ」
シモン「ヤコブこそ。最初はペトロのことライバル視してたけど、今はどうなの?」
◇ヤコブさんは、ペトロさんをライバル視してたんですか?
ヨハネ「そうなんです。初対面の自己紹介で、事務所の稼ぎ頭だってマウント取ってました」
ヤコブ「あれはマウントじゃなくて、事実だっただろ」
ユダ「今はすっかり、ペトロが事務所の看板だけど」
ヤコブ「嬉しそうに言うんじゃねぇよ。“ペトロバカ”が」
シモン「とうとう直接言ったね、ヤコブ」
ヨハネ「面と向かって言うのは、やめておけって言ったのに。あんまり気にしないでくださいね。ふざけて言ってるだけなので」
ユダ「全然気にしないよ。私にとっては、寧ろ褒め言葉だよ」
シモン「褒め言葉なんだ……」
ペトロ「少しは否定しろ」
◇話が少し逸れましたが。ヤコブさんは、今もまだペトロさんをライバル視されているんですか?
ヤコブ「いや。今はもう、こいつには敵わないってわかったんで、ライバル視はしてません。普段からジェンダーレスな顔立ちが、カメラに撮られると余計に目を引く顔になるんですよ。悔しいけど、俺にはそこまでのポテンシャルはなくて、自分と商品をよく見せるために考えることくらいしかできない。モデルは、こいつに向いた仕事だと思います」
ペトロ「珍しく、ヤコブにすっげー褒められた……。このあとオレに、盛大なドッキリでも仕掛けてるのか?」
ヤコブ「今まで勝負挑んだりしてきたけど、俺はお前をイジメてたわけじゃねぇからな?」
ペトロ「いろいろ言ってくれたけど、オレは二人の撮影現場に付いて行って教えてもらったこともあるから、感謝してるよ。ありがと」
シモン「感謝をしてるのはこっちだよ。ペトロの活躍に、ボクもヤコブも刺激を受けてるんだ。本業の使徒も、副業のモデル業も、負けてられないなって」
ヤコブ「ああ。お前には人気で勝つのは諦めたが、仕事と使徒への熱は絶対に負けてねぇからな。そんでユダ。めちゃくちゃ嬉しそうな顔はもうやめろ」




