表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イア;メメント モリ─宿世相対─  作者: 円野 燈
第5章 Verschwinden─裏表─

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

251/263

67話 企図



 マタイとフィリポはシェオル界に戻り、広間で同士と顔を合わせていた。躾で落とされたフィリポの両腕は、右腕だけは既に元に戻っている。


「マタイ。何でフィリポに力を貸さなかったのよ。貴方ならあんな子達、一瞬で終わらせられるじゃない」

「そうだ。何故そうしなかった」


 本当にフィリポを回収しに行っただけでどうするんだと、マタイの行動にマティアとバルトロマイは不服を表した。


「俺様が今後も活躍出来る機会を、作ったんだよな!」

()れは絶対違うと思うー」


 タデウスからだらけながら言われると、フィリポは「ああん?」と睨んだ。タデウスの言う通り絶対にそんなわけがないと、マティアたちも心の中で同意した。

 不服を言われたマタイは、統括でありながら不信を抱かれては今後の計画遂行に支障が出ると判断し、初めて彼らに本心を口にする。


「俺には、手を出す動機が無かったからだ」

「動機が無いだと?」

「どう言う事だ」

「マタイは、使徒を敵だと思ってないの?」


 当然のごとく、バルトロマイたちは訝った。


「そう言う訳ではない。使徒は、『ホーローカウスト』の遂行に邪魔な存在だ。だが、興味が無いんだ」

「敵なのに、興味が無いのー? おれと同じで、どうでも良いって事?」

「奴等をボコる理由が無いなら、作れば良いだろが! ストレス発散でも退屈凌ぎでも、何でも良いじゃねーか!」

「マタイは、そんな理由で人間を痛めつけないよ」

「きみとは違って、理性的だからねー」


 トマスとタデウスに侮辱されて、二人を睨むフィリポ。ビビッたトマスは、「ひやっ!」と机の下に隠れた。


「俺は、使徒は一人を除いてどうでも良い。だから、奴等と戦う事はお前達に任せる」


 本心を正直に明かしたが、それでも不服なマティアは眉をひそめる。


「何よ其れ。其れでもアタシ達の統括なの? 使徒に興味無いとか、本当に萎えるわ」

「だが。『ホーローカウスト』はやる気ではあるんだな?」

「其れは勿論だ。人間への復讐が、俺が存在する意味だからな」

「其れを聞いて安心したぜ! 何たって、メインイベントだからな!」

「其の(ため)にも、あの木の生育スピードをもう少し早めたい」

「負のエネルギーがまだ足りないの? 使徒からも貰ってるわよね」

「貯蓄分を分けて与えているからな」


 人間だけでなく使徒からも回収した負のエネルギーは、城の裏の丘に横たわる巨大な黒い十字架に蓄積されている。その『ホーローカウスト』のためのエネルギーを養分として、あの植物は成長していた。


「だから。今までと少し趣向を変えた方策を、実行しようと思う」

「違う戦闘ってことか! 面白そうじゃねーか!」

「そこで。タデウスとトマスには、別働隊としてやって欲しい事が有る」

「えー。また何かやらされるのー?」

「ええ……。何やるの? 怖い事は嫌だよ?」


 タデウスとトマスは、それぞれ別の心境で眉をハの字にする。


「怖くは無いし、難しい事でも無い。一度に多くの負のエネルギーを回収する為の、良い策だ」


 退屈だと嘆いているフィリポたちの暇潰しにもなり、おまけに人間を暗い驚怖の穴に落とすこともできる。

 一石三鳥の画策に、マタイは自身の本懐が叶う日が来るのを想像し、不敵な笑みを浮かべた。




第5章を読んでくださり、ありがとうございました。


急展開な終わり方となった第5章、いかがだったでしょうか。

もう、ペトロが心配でならないです。バンデだったユダの名前も消え、一人になったペトロは、これからどうするのか、円野も心配です(自分でそういう展開にしたんですが)


次章は、死徒にはこれまでとちょっと趣向を変えた攻め方をさせます。普通に戦わせるのは飽きたので(笑)

バンデの絆が試される展開になる予定です。だけど、ペトロのバンデはいない。どうする!?


さて。

おまけエピソードはありませんが、この次は、また閑話をご用意しました。

こんな展開のあとにこのエピソードをぶち込むのかと、読者の皆さまの心を抉るようでちょっと心が痛みますが。


「誕生日の夜の恋人たち」シリーズ第1弾、ユダ×ペトロをお送りします。

人格入れ替わりが起きる前のイチャイチャする幸せな二人を想像しながら、読んであげてください。


よろしかったら、ペトロくんへの応援のお星さまもあげてください(´- `*)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ