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第三十話 交戦

 侵略者からの攻撃。

 それは、予想を超えるものだった。しかし、侵略者が何かをしてくるだろうと予想していたため、それに対しての作戦も考えてはいた。

 そのため、行動は早い。


「アメリア。ララーナ。エルミー。カルラ達のことを頼んだぞ」

「うん。任せて、パパ」

「怪我をしたら、お任せをー!」

「ふふん。どんな攻撃がこようと、エルミーちゃんの盾で防いじゃうもんね!」


 親としては心配であるが、彼女達は立派に戦える。それだけの力がある。

 何があるかわからないため、カルラ達へ同行させることにした。

 そして、俺はというと。


「じゃあ、行ってくる。ティリス。タッカル。留守を頼んだぞ」

「はいはい。あんた達も、頑張りなさいよ」

「相手は侵略者だ。油断すんじゃねぇぞ!」


 勇者将太と聖女ミュレットの二人と共に侵略者マギアーと白騎士ゼーノへと戦う。


「ふふ。久しぶりだね。一緒に戦うの。頑張ろうね、ヤミノ」

「ああ。だけど、無茶だけはしないようにな」

「それ、ヤミノが言う? いつも無茶をしていたのは、誰だったかな?」


 うっ、それを言われると……。


「と、時々だっただろ?」

「あれ? そうだったかな?」

「そ、そうだよ!」


 俺は一度咳払いをし、不満げな表情をしているルビアへと近づく。


「むう……ヤミノと一緒に戦いたかったのに」

「ごめんな、ルビア。だけど、オアシスを守るためだ。エメーラと一緒に、ここに居てくれ」


 全員で行くわけにはいかない。誰かが、オアシスを守らなくちゃならない。そのため、回復役にエメーラを。そして、火力役にルビアを残すことにした。

 俺達が、戦いに赴いている間に侵略者達が襲ってくる可能性だってあるからな。


「僕としては、だらーっとしていられるから良いんだけどさ」


 ルビアの腕の中で、いつも通りにへらと笑うエメーラを見て、任せたぞと言う。

 カルラ達は、本来の目的であるモルドフを倒しに。

 俺は、新たに出現した白騎士ゼーノと侵略者マギア―を倒しに。マギア―が居たところは、カルラ達がなんとなく予想がついているらしい。

 傍に映っていた建造物。それは、大昔にザベラの民達が、太陽神へ祈りを捧げるために作った祭壇らしい。俺は、カルラからその記憶を読み取り、空間転移する準備を整えている。


「くっくっく。あのデカブツをどうしてくれようかの」

「フレッカ。言っておきますが、独断行動は許しませんよ」

「わかっておる! さあ、ヤミノ! ヴィオレット! 敵地へ転移じゃ!!」

「う、うん」

「ミュレット達もこっちに来てくれ」


 ヴィオレットと力を合わせ、俺は転移陣を足元に出現させる。転移先は、祭壇から少し離れた岩場。カルラの記憶から、距離があり、敵から感知されないであろう場所。

 まずは、そこへ転移する。

 

「リムエス。もしもの時は頼んだ」

「お任せください。自分は盾。どのような攻撃がこようと防いでみせます」


 俺達が転移するのを予想して、不意打ちをしてくる可能性はなくはない。その時のために、防御策は用意しておく。


「よし。行こう!」




・・・・



 ヤミノ達と分かれて、モルドフのところへ赴いたアメリア達。

 途中で魔物に襲われるも、彼女達の力により立ち止まることなく進むことができた。


「す、すげぇな。やっぱり」


 光の粒子へと四散していく魔物達を見ながら、シンは声を漏らす。自分達より明らかに、幼い少女達が難なく魔物を倒し前へと進んでいく。


「進め進めー!」

「悪者を成敗にー!」


 今から命のやり取りをしに行くというのに、まるで緊張感がない。だが、それが逆に頼もしく見えてしまう。

 そんな中、カルラとシンは、ヤミノから貰った疑似魔剣を見詰める。


「こいつがあれば」

「ああ。あの武器に対抗できる。……シン」

「おっと。それ以上は言うなよ」


 カルラが何かを言おうとするも、シンはそれを止める。まるで何を言おうとしているのかわかっているかのように。


「言っておくが、俺だってザベラの民だ。確かに、お前よりは弱いかもしれねぇけどさ。二番目ぐらいに強いつもりだぜ?」

「……シン」

「それに、ザベラの民代表としてモルドフの野郎を打ち倒す瞬間を見届けねぇとな」


 前回は、モルドフどころか部下にやられてしまった。相手は未知数の武器を使っていたから、と言い訳はしない。

 負けは負けだ。カルラは、素直にそれを受け入れたうえで……今一度戦いに挑もうとしている。

 自分達の故郷を。居場所を守るために。


「そうか。なら、しっかり見ておくんだな。俺がモルドフを打ち倒すところを」

「おうよ」

「ふふ。男同士の友情、だね」

「うお!? い、居たのか。アメリアちゃん」


 拳と拳を合わせていると、笑顔のアメリアが声をかけてくる。


「すまない。待たせてしまって」

「ううん。気にしないで。だって、これから居場所を守るために戦いに行くんだから。気合いを入れるのは大事だと思うよ」

「ははは。今更ってところもあるけどな。おっしゃ! モルドフ達が居るオアシスはもうちょっとだ! いやぁ、空間転移って本当に便利だな! 普通なら半日はかかる距離なのによ」


 気合いを入れ直したシンは、高笑いをしながら歩を進める。


「ああ。これなら奇襲も容易いはずだ」

「連中、数だけは凄いからな。たく……なんでモルドフに賛同するのか」


 潜入していたシンは、モルドフとその部下達の情報を共有させた。相手の数は軽く五十を超えている。そして、全員がマギア―から武器を授かっている。

 たった一人でさえ、苦戦を強いられた。それが五十人もの数と戦うとなれば、正面からは少しばかり厳しいと言えよう。


「それだけ上に立つ素質があったとかじゃない?」


 首を傾げながらエルミーが呟く。


「かもしれねぇが、あんな奴に支配されるのは、ごめんだ」

「ふふ。だったら、必ず勝たないとだね」

「お? 皆さん! 見えてきましたよ!」


 遠目からだが、どうやらモルドフ達は、まだ準備中と言ったところだ。相手も、これだけ早く。それも少数で攻めてくるとは思ってもいないのだろう。


「よし。それじゃ、頼んだ。アメリア」

「うん。それじゃ……戦闘開始!」


 カルラ、シン、ララーナ、エルミーが突撃すると同時にアメリアは紫炎の矢を転移させ、先制攻撃をする。

 

「ぐあ!?」

「な、なんだ!?」

「お、おい! 見ろ!! カルラだ! カルラが攻めてきたぞ!!」

「……やっぱり攻撃は通るけど、硬い。でも」


 先制攻撃は見事に武器へ当たった。しかし、完全破壊までには至らない。しかし、相手の動揺を促すことはできたと言えよう。

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