表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【32万PV感謝!】真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます  作者: 難波一
第六章 学園編 ──白銀の婚約者──

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

249/252

第247話 牙を向く迷宮

目の前に広がるのは、闇だった。


落ちている、と頭では理解しているのに、視界がそれを拒否する。

上下の感覚が溶け、体が宙に投げ出されたまま、どこまでも引き延ばされていく。


風の音だけが、やけに大きい。




「……長くない?」




自分の声が、少し遅れて耳に返ってきた。

冗談めかした口調だったけど、内心は全然笑えなかった。


これ、ひょっとして。




「──着地、各自でどうにかしろ系か?」




嫌な予感が、背骨を伝ってぞわりと広がる。

ダンジョンの入口で、わざわざ“落下”を用意する意味。

そして、あのマリーダ教授の性格。

優しい導入演出、なわけがない。




(落下ダメージで死ぬようなら、予選通過する資格なし──とか言い出しそうだよな……)




試しに"飛翔(フライト)"の魔法の発動を試してみる。

──発動、しない。

やっぱりか。ダンジョン内では、使える魔法も限定されるらしい。

まあ、空が飛べると簡単に攻略出来ちゃうフロアとかもあるかもしれないし、それは禁止って事なんだろう。


正直、俺とブリジットちゃんは、このまま落下してもどうとでもなる。

俺は言うまでもないし、ブリジットちゃんも真祖竜の加護が発動していれば、落下程度で致命傷にはならないだろう。


でも。


視線を横にやる。

ジュラ姉は落下中でも余裕そうに髪を押さえているが……彼女は耐久力が化け物っぽいし、大丈夫そうだな。っていうか、魔王軍四天王だし、ティラノサウルスだし。

問題は──




「鬼塚くん……!」




名前を呼ぼうとした、その瞬間だった。

どこか遠く。闇の奥の、さらに奥から。




「ぎゃああああっ!!」




人の悲鳴が、反響しながら届いた。

一つじゃない。

複数だ。


直後、鈍い音。

何かが、何かに叩きつけられたような、嫌な音。


そして。




『──アンディ・チーム、落下ダメージにより四名脱落。失格』




無機質なアナウンスが、やけに冷静に響いた。


……え。


一瞬、思考が止まる。

今のって。

つまり。




「……マジかよ」




喉が、ひくりと鳴った。

俺たちより先に落ちたチームが、何の対処もできずに地面に叩きつけられた。

それだけで、即脱落。




(いやいや、冗談じゃないよ……)




これは演出じゃない。

“試験”だ。


この落下を、処理できないチームは、最初の数十秒でふるい落とされる。

初見殺し。

徹底した、容赦のなさ。


視界の奥が、わずかに明るくなる。

トンネルが終わり、巨大な空間へと繋がっているのが見えた。


床が、見える。




「あっ……!」




ブリジットちゃんの声が、わずかに揺れた。

高度は、かなりある。


このまま落ちれば、普通は──死ぬ。


俺が判断を下そうとした、その刹那。




「──ッ!クソがッ!!」




鬼塚くんの声が、落下音を切り裂いた。


一瞬も迷いがない。

焦りも、躊躇もない。




「"魔装戦士(ストラディアボラス)"……!」




鬼塚くんの身体から、紫色の魔力が噴き上がる。

鎧のように、兵装のように、その身にまとわりつく。




「"紫鋼網(パープル・ネット)"!!」




次の瞬間、魔力が“網”へと変質した。


落下しながら、鬼塚くんは両腕を振り抜く。

紫の光を纏った四本の魔力杭が、四方へと射出された。


ギンッ! ギンッ! ギンッ! ギンッ!


天井の四点に、正確無比に突き刺さる。

信じられない精度だ。


杭と杭を繋ぐように、魔力の網が一気に展開される。

まるで巨大なハンモックだ。




「皆、つかまれッ!!」




言われるより早く、体が沈んだ。


網が、限界までしなった。


ギギギギ……と、嫌な音を立てながら、落下の勢いを必死に殺していく。

衝撃が、網越しに全身へ伝わる。

正直、かなりギリギリだ。


それでも。

地面への激突は、なかった。




「……っ、止まった……?」




ブリジットちゃんの声が、震えながらも安堵を含んでいる。


鬼塚くんは、歯を食いしばったまま叫ぶ。




「今だッ……!」




次の瞬間、"紫鋼網(パープル・ネット)"が霧散した。


ふわり、と。


俺たちは、床へと落ちる。

今度は、ちゃんと“着地”だった。


ドン、という軽い衝撃。

膝を曲げて、難なく受け身を取る。




「……はぁ」




息を吐いた瞬間、遅れて心臓がうるさく鳴り始めた。

落ちてもダメージは無いと頭では分かってるんだけど、やっぱりちょっとドキドキしちゃうんだよね。

ブリジットちゃんが、ぱっと鬼塚くんの方を見る。




「すごいすごい!鬼塚くん、ありがと!助かっちゃったよ!」




満面の笑み。

本心からの感謝だ。

ジュラ姉も、軽く胸に手を当てて微笑む。




「んマッ!!咄嗟の機転が効く男子って、ほんと素敵よッ!鬼塚きゅん!!」




鬼塚くんは、少し視線を逸らしながら、頭を掻いた。




「いや……正直、余計なことだったかもしれないッスけど……」




その瞬間。




『落下トラップ、クリア』




機械的な声が、空間に響いた。




『ブリジット・チーム、50pt獲得』



「……え?」




俺と鬼塚くんが、同時に声を上げた。

ポイント?

今ので?


さらに、追い打ちのように別のアナウンスが重なる。




『イゴール・チーム、落下ダメージにより三名脱落。失格』




空気が、凍りついた。

鬼塚くんが、ゆっくりと目を見開く。




「……今の落下……」




喉が鳴る。




「……これも、トラップの一つだった、って事みたいっスね……」




初見殺し。

文字通りの。


いや、えっぐ。

ダンジョン入った瞬間に落下でゲームオーバーとか、糞ゲーにも程があるでしょ。


このダンジョンは、もう最初から、牙を剥いている訳だ。


俺は鬼塚くんの横顔を見ながら、静かに思った。




(やっぱり、頼りになるね。鬼塚くん)




こうして、俺達ブリジットチームは、鬼塚くんのおかげで幸先の良いスタートを切ることが出来たのだった。




 ◇◆◇




床に足がついた安堵も、長くは続かなかった。




「……来るわねッ」




ジュラ姉の言葉に、空気が変わった。

天井。壁。暗がりの向こう。

ガリ、ガリ、と、外骨格が石を削る、嫌な音が四方から響いてくる。


次の瞬間。

闇の中から、赤黒い影が跳ね出した。


人型の上半身を持つ、蠍。

鋭く反った鋏、節くれだった脚、禍々しい複眼。

それが四体。


さらに、その奥。


一回り……いや、二回りは大きい。

人型部分の筋肉が異様に発達した、重厚な外骨格の蠍型魔物が、天井に張り付いたまま、こちらを見下ろしていた。




「──ッ!?」




鬼塚くんが、反射的に前へ出る。




「ダンジョン入って早々、いきなりかよッ!?」




紫の魔力が、再び彼の身体に集まり始める。

俺も武器を構えようと、足に力を込めた。


……が。

すっと、俺の前を横切る影があった。




「ここは──ギャタシに」




低く、落ち着いた声。

ジュラ姉だった。


一歩。たった一歩、前に出ただけなのに、空気が変わる。




「……任せなさいッ」




その声に、迷いはない。

むしろ──楽しんでいる。


ジュラ姉は、ゆっくりと息を吸い込んだ。


スゥゥゥゥ……。


空気が、引き寄せられる。

まるで、彼女の肺に世界が吸い込まれていくかのように。


次の瞬間。




「"暴君の一喝(タイラント・ハウル)"ッッ!!」




咆哮。

声というより、衝撃波だった。


ジュラ姉の口から放たれた衝撃波が、空間を叩き潰す。

音が、圧が、力そのものが、前方へと解き放たれた。


ドォンッ!!!!


中型の蠍型魔物たちが、正面からそれを受ける。




「──ギィッ!?」




悲鳴とも断末魔ともつかない声。


外骨格が、震える。

内部から、何かが共鳴するように振動し始める。


次の瞬間。


パキィンッ!!


ガラス細工のように、四体の蠍型魔物が同時に砕け散った。

鋏も、脚も、人型の上半身も。

原形を留めることなく、床に崩れ落ちる。




「……うわ」




思わず、そんな声が漏れた。


声だけで、粉砕。

さすがは、強欲四天王って事だね。


残ったのは──大型の一体。


天井に張り付いたまま、一瞬、動きを止めていた。

だが、次の刹那。




「──ギシャアアッ!!」




手下をやられて、怒りの咆哮。

棘だらけの尻尾が、鞭のようにしなり、獲物を狙う。


その“獲物”が、誰かを考える暇はなかった。




「ピコ次郎!“カチカチモード”!!」




澄んだ声が、空間に響いた。

ブリジットちゃんだ。


彼女の手に握られていた巨大なピコピコハンマーが、赤く輝き始める。

可愛らしい外見が、みるみるうちに変形していく。


カチリ。

ゴゴゴ……。


表面が硬質化し、角張り、質量が跳ね上がる。

もはや玩具の面影はない。


──赤く、重く、圧倒的な“破壊の塊”。




(……あ、そういえばそんな機能も付けてたな)




自分で作っておいて、今さら思い出す俺。


ブリジットちゃんは、宙へと跳んだ。

ハンマーを両手で構え、そのまま、くるくると縦回転を加える。

遠心力で、ハンマーが唸りを上げる。


大型の蠍型魔物が、尻尾を突き出す。

毒針が、一直線に迫る。


だが。


ガンッ!!


回転するハンマーが、尻尾を真正面から弾き飛ばした。

火花が散り、金属音が響く。




「えいやぁーーっ!!」




可愛らしい気合一閃。


ブリジットちゃんの声と同時に、ハンマーが振り下ろされる。


ドォンッ!!!!


凄まじい衝撃に、床が、僅かに沈んだ。

蠍型魔物の外骨格が、耐えきれずにひび割れ──


次の瞬間、砕け散った。


大型魔物は、断末魔を上げる間もなく、瓦礫と化して床に崩れ落ちる。


静寂。


しばらく、誰も動けなかった。




「……」




鬼塚くんが、ぽつりと呟く。




「……強ぇっスね。二人とも……。」




ジュラ姉は、ふうっと息を吐き、肩を軽く回した。




「準備運動にもならないわねッ」




ブリジットちゃんは、ハンマーを元のピコピコ状態に戻し、にこっと笑う。




「やったね!」




ハンマーで巨大な魔物を叩き潰した直後とは思えぬ可愛さ!


俺は三人を見回して、正直な感想が浮かんだ。




(ブリジットちゃん、ジュラ姉、鬼塚くん……)


(全員、頼もしすぎる)




ダンジョンは始まったばかり。

だが、少なくともこの初動。


俺たちのチームは、間違いなく『最高のチーム』だった。




 ◇◆◇




静寂を破ったのは、感情のこもらない声だった。




『モンスター、5体討伐。ブリジット・チーム、10×5=50ポイント獲得。』




淡々としたアナウンス。

だが、その内容は確かに“成果”を示していた。




「……え?」




一瞬、ブリジットちゃんがきょとんとした顔になる。

次の瞬間。




「やったぁ!!」




ぴょん、と軽く跳ねて、両手を上げた。




「モンスター討伐でも、ちゃんとポイント入るんだねっ!」




無邪気な笑顔。

さっきまで巨大な魔物をハンマーで粉砕していた張本人とは思えない。


その横で、鬼塚くんが小さく息を吐き、身体の前で拳と掌を──


パシッ。




「……ッし」




短く、しかし確かな達成感のこもった声だった。


俺も、内心ほっとしていた。

初動でポイントを取れたのは大きい。

……が。




「……なるほど」




一人だけ、違う空気で立っている人物がいた。

ジュラ姉だ。


モデルのように片足に重心を乗せ、顎に指を添える。

視線は、砕け散った魔物の残骸ではなく、その“数”と“配置”をなぞっている。




「見えてきたわねッ……」




その呟きに、俺は思わず声をかけた。




「何か分かったの?ジュラ姉」




彼女は、ゆっくりとこちらを振り返る。

さっきまでの戦闘時とは違う、完全に“分析者”の目だった。




「今の魔物」




人差し指を立てる。




「小型も大型も、全部──一律10ポイントだったわ」



「……あ」




言われて、気づく。




「つまりね」




ジュラ姉は続ける。




「魔物の“強さ”と“ポイント”は、どうやら無関係みたいなのッ」




周囲を見渡しながら、言葉を噛み砕く。




「──となると、魔物が強くなって数が減る深層階は、ポイント稼ぎには向いてない可能性が高いんじゃないかしら?」



「なるほど……」




思わず、感嘆の声が漏れた。

ジュラ姉、意外と……いや、かなり頭脳派だ。

ティラノサウルスは恐竜の中でも最大の脳を持つと言われてるもんね!


冗談は置いておいて、まあ、そりゃそうか。

ジュラ姉は強欲四天王。要するに管理職だ。

脳筋で務まるポジションじゃない。


そこに、鬼塚くんが腕を組み、顎を引いたまま口を開く。




「だがよ」




視線は、奥へと続く通路。




「深い階層に到達しなきゃ、“深度ボーナス”ってのが貰えねぇんだろ?」


「浅いエリアで雑魚狩りしてるだけじゃ、トップに食い込むのは難しい……っつーか、運任せになるんじゃねぇか?」




彼も、ただのヤンキーじゃないんだよな。

意外と頭もキレるし、現場判断が早い。


ブリジットちゃんは、少し考えるように視線を落とし──




「……となると」




顔を上げる。




「チームを二つに分けて、役割分担するのがいいのかな?」




その言葉に、ジュラ姉の目が輝いた。




「流石ね、ブリジットさん!」




ビシッ、と人差し指を立てる。




「ギャタシも、それが正解だと思うわッ!」




ブリジットちゃんは、少し照れたように、それでも嬉しそうに頷いた。

鬼塚くんが確認するように言う。




「つまり、“深度ボーナス”狙いでひたすら下層を目指す班と、適度に階層を進めながらポイント稼ぎに専念する班に分ける、って事か」


「メンバー編成はどうすんだ? 2-2で分けるか?」




議論が、恐ろしいほどスムーズに進んでいく。

……あれ?俺、ほとんど発言してなくない?

今のところ、俺が一番いらない子みたいになってて、内心、ちょっと焦る。

みんな、賢いね!


そんな俺の内心を知ってか知らずか、鬼塚くんを見てジュラ姉がにやりと笑った。




「Exactly!……と、言いたいところだけれど」




人差し指を振る。




「それは“一般的なチーム”の場合の話ねッ」




空気が引き締まる。




「このダンジョン・サバイバルは、4人中3人脱落でチーム失格」


「だから、リスク分散として2-2に分かれるのは理にかなってる」




一拍。




「でもね……」




その視線が、俺に向けられた。




「ウチには、アルドきゅんという『切り札(ジョーカー)』がいるでしょ?」



「……え、俺?」




指を差されて、思わず間の抜けた声が出る。

ジュラ姉は、急に真剣な表情になる。




「この迷宮は、おそらくマリーダ教授のスキルによって構築されたもの」


「領域展開型の能力は、自身のフィールド内に効果を限定することで、通常では考えられない力を発揮するケースも多い」


「それこそ──」




鬼塚くんとブリジットちゃんを見る。




「強欲四天王のギャタシや、神器使いの鬼塚きゅん、強力な加護持ちのブリジットさんですら凌駕するほど、ね」




二人とも、黙って頷いた。

俺も、無言で聞く。




「でもッ!」




ジュラ姉は、勢いよく指を立てる。




「アルドきゅんならッ!」




ビシィッ、と俺を指差す。




「どれだけ妨害されようが、どれだけ強大な魔物が出ようが──止めることはまず不可能なはずよッ!」




まあね。否定はできない。

この迷宮、出ようと思えばいつでも出られるし、その気になれば壊せる。しないけど。




「つまり!」




ジュラ姉は、満面の笑みで宣言した。




「最適解は──アルドきゅんが単身、深度ボーナス狙いでひたすら下層へ!」


「ブリジットさんを中心に、ギャタシと鬼塚きゅんのスリーマンセルで、互いをカバーしつつ適度な階層でポイント稼ぎ!」


「これこそが、ベストッ!!」



「おおーっ!」




ブリジットちゃんが、思わず拍手。

鬼塚くんも、納得したように頷く。




「確かに……アルドさんなら、ソロでも何の心配も無ぇな」




いやー、果たしてそれはどうかな?

俺、意外と一人になるの不安なんだけど!


戦闘はいいよ?

でも、変なトラップとか、判断ミスとか、やらかしそうな予感がすごいのよ。


でも、言えない。

情けないし。


それに──。




「……ブリジットちゃん」




少し、声を落とす。




「俺がいなくても、大丈夫?」




ブリジットちゃんは、一瞬だけ俺を見つめた後──

優しく、微笑んだ。




「心配してくれて、ありがと」




それから、まっすぐな目になる。




「でもね……あたしね。あたしが自分の力で頑張ってるところも、見せなきゃいけないと思うの」


「皆にも……お兄ちゃんにも」




一瞬、言葉を選んで。




「……お父さんと、お母さんにも」




決意が、そこにあった。




「……そっか」




胸の奥が、温かくなる。




「分かった」




俺は、しっかり頷いた。




「ブリジットちゃんを……みんなを信じて、俺は深度ボーナス狙いで、できる限り下層まで突っ走ってみるよ」




ジュラ姉と鬼塚くんを見る。




「二人とも。ブリジットちゃんの事、よろしく頼むね」



「任せてちょうだいッ!」




ジュラ姉は、巻き髪をかきあげる。




「ッス!!」




鬼塚くんは、両拳をガチンと合わせる。




「命にかけても、ブリジットさんは守ってみせますよ!」




命はかけなくていいよ!?

本当に身を投げ出してしまいそうだからな、鬼塚くんは。


俺は三人に手を振り、部屋から伸びる通路の一本へと駆け出した。


スタタタ、と軽い足音。


この時の俺は、まだ気づいていなかった。


俺が背を向けた、その瞬間。

闇の奥から、三人に向けられる──

敵意を孕んだ、幾つもの視線に。


"ダンジョン・サバイバル"は、静かに牙を剥き始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ