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骸骨魔術師のプレイ日記  作者: 毛熊
第八章 古の廃都
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新装備

 お久しぶりです。


 これからは三日おきに投稿したいと思います。

――――――――――


毒炎亀龍の法衣 品質:優 レア度:S(特別級)

 毒炎亀龍の厚皮から作られた法衣。フード付き。毒と炎に対する耐性を得る。

 裏地に緑風魔狼の皮が用いられており、風属性への耐性も持っている。

 装備効果:【毒耐性】 Lv3

      【火属性耐性】 Lv3

      【風属性耐性】 Lv2

 作成者:アイリス


毒炎亀龍の籠手 品質:優 レア度:S(特別級)

 毒炎亀龍の厚皮から作られた籠手。毒と炎に対する耐性を得る。

 要所に毒炎亀龍の甲羅の断片が張り付けられており、軽く、物理と魔術双方への防御力を両立させている。

 装備効果:【魔術耐性】 Lv2

      【毒耐性】 Lv2

      【火属性耐性】 Lv2

 作成者:アイリス


緑風魔狼の籠手 品質:優 レア度:S(特別級)

 緑風魔狼の毛皮を用いた籠手。黒く染色されている。

 握る武器に若干ながら風属性を付与出来る。

 裏地に劣小蛇龍の皮が用いられており、【風魔術】を少しだけ増幅させる効果を持つ。

 装備効果:【風属性付与】 Lv2

      【風魔術強化】

 作成者:アイリス


森獣亀のベルト 品質:優 レア度:R(希少級)

 森獣亀の皮を用いたベルト。体力の最大値を微増させる。

 右側には小物入れが、左側にはブックホルダーがついており、それぞれを素早く出し入れ可能。容量:5

 装備効果:【体力増加】 Lv2

 作成者:アイリス


毒炎亀龍のズボン 品質:優 レア度:S(特別級)

毒炎亀龍の厚皮から作られたズボン。毒と炎に対する耐性を得る。

 装備効果:【毒耐性】 Lv2

      【火属性耐性】 Lv2

 作成者:アイリス


森獣亀のブーツ 品質:優 レア度:R(希少級)

 森獣亀の皮から作られたブーツ。体力の最大値を微増させる。

 底に魔骨のスパイクがついており、滑りにくい。踏みつけ時のダメージ増加。

 装備効果:【体力増加】 Lv2

 作成者:アイリス


真鱗の首飾り 品質:優 レア度:S(特別級)

 幼龍カルナグトゥールの真鱗を用いて作られた首飾り。

 魔力の最大値を微増させ、【闇魔術】と深淵系魔術を少しだけ増幅させる。

 装備効果:【魔力増加】 Lv2

      【闇魔術強化】

      【深淵系魔術強化】

 作成者:アイリス


――――――――――


 …素晴らしい。私の感想はその一言に尽きる。【鑑定】した結果を見た時、私は己の目を疑った程である。当然だが、『蒼月の試練』で得た報酬に比べれば見劣りしている感は否めない。しかし、プレイヤーメイドの装備としては傑出しているのではないだろうか?


 私の場合は【毒耐性】が腐ってしまうものの、それを抜きにしても強力な装備である事に変わりはない。それにカルの真鱗を用いた首飾りは私のためのアイテムと言っても過言ではないぞ?流石はアイリスの仕事である。早速、装備するとしようか!


「完璧な仕事だ、アイリス!ありがとう!」

「どういたし…あ!そう言えばイザームには『蒼月の試練』で貰った法衣(ローブ)がありましたよね…!?」

「ん?」


 アイリスは『失敗した!』とばかりに触手を慌ただしくくねらせ始めた。確かに、私には『蒼月の試練』の報酬として『月の羽衣』という装備を持っている。だが、心配は無用だ。


「そうだな。ならば、形状を変えればいい」

「え?」


 私は『月の羽衣』の形状を元々の天女が羽織っていそうなものに戻す。どうやらアイリスは【色彩・形状変更】の効果があるのを失念していたらしい。


「ふふふ、忘れていたか?」

「は、はい…」


 私はどや顔…は骸骨なので出来ないが、そんな雰囲気を纏う。しかし、『月の羽衣』を元に戻したせいで皮のシャツやズボンを履いた骸骨が羽衣を羽織るというシュールな絵面になってしまったな…。このままでは気持ち悪いし、さっさと装備するか!


 私はマネキンから装備を回収すると、メニューを開いて手際よく装備していく。身体に防具を纏い、首飾りを掛けた後、暗めの紫色のストールに【色彩・形状変更】した『月の羽衣』を肩から下げる。これで新装備へ換装完了だ。


「わあぁ!素敵です!」


 アイリスは触手をこれ以上無い程にくねらせている。作成者が彼女であるなら、そのデザインは完全に彼女の趣味丸出しとなるだろう。しかもアイリスは骸骨などが好きらしいし、私が着ている姿を見るだけでも興奮ものなのだろう。


「あー…アイリス。性能のチェックを兼ねて狩りに向かいたいのだが、何処か良い狩場の情報はあるか?」

「あ、はい。今ジゴロウや源十郎が通っている場所がいいと思います。バーディパーチから西に進んだ位置ですね」

「ほう?」


 あの二人が通っていると言われると少し恐ろしいが、アイリスが薦めるのならば問題は無いか。しかし、どんな場所なのかは聞いておこう。


「そのエリアの名前と特徴はわかるか?」

「エリア名は『古の廃都』です。『古代の移動塔』と同じ高度な文明が崩壊した後の遺跡郡ですね。都、とあるようにかなり広くて探索はまだまだ終わりが見えていません」

「そんなに広いのか…」

「単純な広さはそこそこみたいですけど、崩れたビルの内部に状態のいいアイテムがあったりして探索が遅れてるんです。それに現れる魔物も厄介みたいですし」


 修理は出来ないんですけど、とアイリスはため息混じりに言った。都がまだ栄えていた時のアイテムを回収するのは大切な事なので、探索が遅れてしまうのは解る。だが、アイリスの言葉の後半に、私は驚愕を禁じ得なかった。


「魔物?あの二人が苦戦していると?」

「苦戦…というか相性が最悪なんですよ」


 相性だと?敵はどんな魔物だというのだ?


「主に現れるのは人面鳥(ハーピィ)…人間の頭部を持った鳥の魔物です」



◆◇◆◇◆◇



 アイリスの鍛冶場を出た私は、『母なる宿り木』を挟んだ逆方向へ足を運ぶ。そこにいるハズの二人と一頭に用があるからだ。


「ハッハッハァ!いいねェ!鋭くなってきたぜェ!」

「グルオオオオオ!!」

「ほれ、油断はいかんぞ?」


 目的地へ近づくに連れて、戦闘音と共にそんな声が聞こえてくる。ジゴロウと源十郎、そしてカルは三つ巴の模擬戦闘を行っているのだ。


 連中が何をしているのかはアイリスから聞いているから驚きはしない。しかし、実際に見てみるとかなり激しい訓練をしているようだ。実戦さながらである。


「っとォ、兄弟じゃねェか。仕事は片付いたのか?」

「おお、久しいの」

「ああ。久しぶりだな、二人とも」


 ジゴロウが私が来た事に気が付いたことで模擬戦闘は中断になったようだ。邪魔してしまったようで悪いな。


「グル?グルルルル!!!」

「おお、よしよし。甘えん坊は変わらんな、カルよ」


 二人よりも少し遅れて私に気付いたカルは喜びの鳴き声を出しつつ私に急接近すると、その頭を私に擦り付ける。身体が大きくなっても、甘えん坊なのは相変わらずだ。それをとても可愛いと思ってしまうのは親としてダメなのかもしれない。


「お?装備が変わってんじゃんか。似合ってるぜ」

「有り難う。さっきアイリスの所で、な。それに装備なら二人も変わって…おや?」


 私は近付きながらジゴロウと源十郎も装備を更新していた事に気がついていた。ジゴロウは緑風魔狼グリーンウインドウルフの毛皮で出来た防具一式で揃えられている。また、毒炎亀龍(タラスク)の素材を加工したと思われる棘付きの肩カバーや肘カバー、レガースなどもあるな。


 腰部は虎皮の腰巻きをアグナスレリム様から貰ったベルトで固定、というこれまでと変わらない装備だが、これは『蒼月の試練』の報酬なので変える必要は無い。防具が強化されたジゴロウが、大暴れする姿を見るのは楽しみ半分恐ろしさ半分だな。


 そして外骨格を持つので通常の防具を不要と断じる源十郎が更新した装備はアクセサリーだ。腕輪や足輪、そしてベルトが緑風魔狼グリーンウインドウルフ毒炎亀龍(タラスク)のものに変わっている。毒炎亀龍(タラスク)の装備は【火属性耐性】を与えてくれるので火属性が弱点なので丁度良いだろう。それよりも気になるのは…


「源十郎…もしかして、進化しているのか?」

「ほっほ!よくわかったのぅ!」


 ぐぬぬ!どことなく姿が変化しているたのでもしやと思ったのだが、二日間いなかった間に先んじて進化されてしまったようだ。ここしばらくは【符術】のレベル上げに勤しんでいた私よりも戦闘に専念していた源十郎にレベルを抜かれてしまったらしい。


 少し悔しいなぁ。やはり、ログイン可能な時間の差は大きい。だが、それよりも気になるのはどんな種族(レイス)に進化したのだろうか?


「何になったか気になるじゃろう?当ててみると良いぞ?」

「ふむ…」


 私は源十郎の姿をよく観察する。外骨格の色が益々黒くなった他、形状も若干変化していた。なんとなくだが甲冑、それも西洋鎧と大鎧のハイブリッド…そう、日本の当世具足を彷彿とさせる形になっていたのだ。


「いや、わからん。教えてくれ」

武士甲虫人サムライインセクター・ビートルじゃ!」


 武士甲虫人サムライインセクター・ビートルか。何だか強そうな種族(レイス)ではないか!源十郎はどことなく自慢気でもあるし、きっと実際に強いのだろう。


「その種族(レイス)にはどんな特徴があるんだ?」

「うむ。いくつか武器の使用に大きな補正がかかるようじゃな。その代わり、魔術には全く向かんようになるらしいわい。使えん訳ではないらしいがの」


 武芸百般に通じてこそ武士、という奴か?武器のスペシャリストになる代わりに魔術への適正が下がるのだろう。いつの日か源十郎の能力(スキル)欄は私の魔術と同じように大量の武器系能力(スキル)が羅列されるのかもしれない。


「なるほどな。それで、今は『古の廃都』の攻略に苦戦していると聞いたが?」

「おお、それよ!」

「あの気色悪ィ鳥共のせいでなぁ…」


 それから源十郎とジゴロウは悔しげにその時の状況を教えてくれた。バーディパーチから西に向かった地点にある『古の廃都』までは何の苦もなく移動出来たらしい。ただし、廃都に到着した瞬間、その洗礼を受けたのだとか。


「あのクソ鳥共、廃都全域を縄張りにしてやがるみてェだ。廃都の塀を越えたと思ったらよ、空から魔術の雨を降らせて来やがった?信じらんねェぜ…」

「その時は儂、ジゴロウ、そしてカルの二人と一頭じゃったから対空手段が極端に限られてのぅ。カルは空中戦でも有利に戦えたのじゃが…」

「数が多すぎてなァ…」

「グルルルル…」


 その時の事を思い出したのか、カルが力無く喉を鳴らす。なんというか、彼からは哀愁が漂っていた。


「それからもちょくちょく行ってはいるんだけどよ、やってる事ァこそこそ建物に入ってからコソ泥の真似事だ」

「そうだったのか」


 どうやら人面鳥(ハーピィ)は魔術を使えるらしい。『古代の移動塔』があった山も鳥が主な敵だったが、奴らは【爪】や【嘴】などの物理攻撃しかしてこなかった。だが、今回の相手は空中から魔術で遠距離攻撃という厄介極まる手段を用いるらしい。


 地面に降りる事無く、空からひたすら魔術を撃つ敵。ジゴロウと源十郎の天敵ではないか。空を飛べるカルと戦うにも徹底して距離をとっての魔術攻撃ばかりらしいし、相当に面倒な相手のようだ。それなら攻略が進まないのも納得である。


「しかし、イザーム君が来れば一安心じゃな」

「責任重大だな、それは」


 膠着した現状を打破する鍵が私であるらしい。彼らにとって、多彩な魔術を使っての遠距離攻撃を主体とする私は攻略に不可欠な存在だと思っているのだろう。


 期待に沿えるかは不安が残るが、未知のエリアを探索するのは楽しいし、何より人面鳥(ハーピィ)の素材に興味がある。ではいつも通りに最善を尽くすとしますかね!

 主人公の見た目は黒と紫を基調としたローブを纏った銀色の骸骨になりました。どうみても悪役ですねぇ?

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【推敲】 どことなく姿が変化しているたのでもしやと思ったのだが、二日間いなかった間に先んじて進化されてしまったようだ。 ⇩ どことなく姿が変化していたのでもしやと思ったのだが、二日間いなかった間に先ん…
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