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第5話☆謎


「リル…!!待てっ」


アホかあいつ…!!勝てるかわからない相手に対して一人で行ってしまった。


見えない相手。

ナニカをブーラメンのような物を飛ばしているんだろうな、というのはわかっている。

しかも複数のものを同時に。

でもどこから?

…風?

抉られたように切られた深い傷口?


それは、…鎌鼬?


そんなものにどうやってたちうてばいい?

人間のオレが刃向かえるのか?




「くそっ」

リルが叫んだのが聞こえた。




「どこにいる?!姿を現せ…っ!!」

そう叫ぶが何もでてこない。

がたっと、上から物音がした。

上か…っ


駆け出すが、


「お姉サマ。」


そんな声が聞こえたような気がして、ふと足を止めた、

「リング…!?」


…ここにいるのか?

会いたい。リング…!


その名を呼んでまた上へと駆け出した。




かんかんかんっ

と、階段を軽快に上る音が聞こえたが、

途中

がたんっと

音が乱れた。

「なっ!?」

リルの焦るような声が聞こえた。

そして、階段から転げ落ちたような音がした。


「リル…?!」

驚いて階段へと駆ける。


リルは階段下で崩れるように倒れていた。


「リル、大丈夫か?!」


呼びかけるが、


「どうして…?」

動揺しているようで、何か呟くだけだった。

「…っリング」


それは誰の名なんだ…?

リルは敵に会ったのか?


金属音をたてながら、

何かキラキラとしたものが上から降ってくるのが見えた。


「っ!」

ガラス…!?


放心状態のリルを引きずって場を移動する。

ついで鎌鼬のような風が吹き抜ける。

皮膚を引き裂くような強い風。

もう逃げられねぇ

と思ったが、リルがはっとしたように

オレの服をぐっとつかみ、下へ向かって飛んだ。


「…引くぞ」


苦しそうにそういい、ビルを後にした。




…+…+…+…+…+…+…+…+…+


家につくまでリルは何も言わなかった。

オレは、あんなに逃げたくないといっていたリルが引いた事に驚いていた。


…リング。

リルがそう口にした名に、意味があるのだろう。

一体、誰なのだろうか…。

リルに訊こうと思ってもリルは

口を閉じて無表情で話しかけるなよ、オーラを発していたので声をかけられなかった。




とりあえず、傷口を消毒するためにそんな状態のリルを置いてコンビニに消毒液などを買いにでかけた。


外は日が落ち掛けており、あたりは真っ赤だった。


やべぇ、、

寒気ぼろ、でてきてまいましたよ。

今日あった非現実的な事を思い出して、ぶるっと身震いする。

もう、あんな廃墟にいかないで頂きたい。


運命とやらを変えるためといえども、あんな無茶…

近道を使おうと、細い路地にはいると


「きゃははっ」


不意に、奇妙な笑い声が耳に入った。

とっさに振り向こうとしたが、そいつは既にオレの背後にいた。

そして、背後から抱きつくようにしてオレの身動きを封じた。

「ご主人サマ☆」

甘ったるい声でそう囁かれ、ぞわっと全身の毛が逆立つような悪寒がした。

主と呼んだが、リルではないだろう。

子供のような背。声。


「だれだっ!?」

引き離そうと思ったが、思いの他、力が強い。


「あたしはlittle devilだよ」


そいつはふふっと笑って答えた。

little devil…

リルと同じ種族。

そんな奴がオレになにかようなのか!?


「おつかいなら、あの子に頼んだら?ご主人サマぁ☆」


嘲るように、言う

反論しようと口を開けたが


「主なんかじゃ、ない」


絞り出すように言葉にしたのは少女なのに少女ではないような力で自由を奪われていたカラ。


オレらは主従関係じゃない。

ただの悪魔と人間の関係。


「運命なんかに縛られたくないカラ?」


ふふふっ、とまるで秘密を持っている少女のように楽しげな声をあげる。


「でもね、あの子はあなたと共にいることで、運命に逆らってるの」


は?


意味が理解できない。

リルは、オレが運命で決められた主だから一緒にいると言った。いなければいけないと言った。

運命だから。

そのはずなのに、オレと共にいることが運命に逆らっている事になっている?


「お前は…何なんだ?」

「あたしはあの子の監視役

あの子は逃がさないわ。…運命に従うべきだからよ。」


監視役だと…!?

どうしてそこまでして運命がつきまとう?


リルは自由になりたいのだというのに。

怒りの眼差しを向けたが、笑顔を返してきた。


「あたしの名前はリトルデビルだよ」


リトルデビル…

それは悪魔の種族の名前。

だけどそれが名前?


「…覚えておいてね」


きゃははっ

と、笑ったかと思うとオレに抱きついていた少女はその場から消えた。

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