第4話☆悪魔の闇
落ちた場所は木の上だった。
…。
自分の体を確認。
よかった生きてるーっ!
あたりを確認し、ぶるっと震える。。
ここは、オレの落ちた場所は、
幽霊ビルの敷地内…
近所でも噂の幽霊スポット。
夜な夜なそういうモノが出る、らしい
だっ、と今すぐにでも駆け出してこの場所から逃げ出したかった。
が、不幸にも服が木の枝に引っかかっているので降りられない。しかも地面とは5M程離れている。
パキッ
と折れた音がして、、
落ちる事を覚悟したが、
「…貴様、何をマヌケな事をしているんだ。」
リルに抱きとめられていた。
「あ、あ、ありがとなっ」
リルは動悸と息切れ中のオレを一瞥して、
「やはり人間は弱いのだな」
ため息混じりに小さくそう漏らした。
「と、とりあえず目的の場所にいこうぜ?」
「その必要はなさそうだぞ?
…ここにも、気配がある」
リルが幽霊ビルを指す。
外観だけでもやばそうなのに、そういわれて本当に出る場所なんだと確信。
「行くぞ」
ざっと風が吹き、リルの髪がなびいた。
その姿は、思わず見とれてしまう程、、綺麗で…
で。
いつのまにかビルの中に連れ込まれていた。
って
アホかオレェエエ!!
幽霊ビルなんかにゃ入りたくなかった!
…このビルが残っているのは
倒産したため夜逃げだとか、
なにかの現象で従業員が消えた、という説もある。
そのため周りには古びて、錆びてしまった机や壊れたパソコンやら湯飲み、、
そのままの配置で残っているのが何かを感じさせて怖い。
さっさと歩いていくリルの後に着いていく。
リルには目的がある。
だからこんなに迷いなく突っ切っていくことが出来るのだ。
ふと
背後から何かの視線を感じ、振り向こうとした、
刹那、
風を斬って何かが横切り
たらり、と頬を生温い血が流れた。
「な!?」
顔を押さえて目を白黒させていると
「伏せろっ!」
オレの様子と何かに狙われている事に気づいたリルがそう叫んだ。
だが、伏せろといわれても体が硬直して動かない。
阿呆!とリルは罵倒しながら、オレを庇うように抱きつき、床に押し倒した。
「…っ」
ぱらり、とリルの髪が床に落ちる。何センチか髪が切られたようで、
そして腕や顔からも血が出ている。
鮮血で服が染まる。
痛そうに顔をゆがめるリル。
何度か風のようなモノに肌を切り裂かれながら、安全な物陰に移動したものの、敵がどこにいるのか検討が着かない。
いくら安全といえども監視されているようで緊迫した空気に包まれる。
リルは唇を噛んで痛みを我慢しているような顔をしていた。
「なんで…っ」
なんでオレを守ろうとするんだ?
「馬鹿じゃねーかっ!?」
「っ貴様に馬鹿なんて言われたくないわぁっ!」
ばしっと叩かれる。
「貴様を助けたのは、、
私、人間が弱いのを知っているからだ!」
そういったリルの目は強かった。
「貴様に死なれたら困る…っ」
オレにしがみつきながら、切願するような声を出す。
いつもの強気なリルからは想像できなかったような…
リルには運命を変えるという目的がある。
運命で決められた、オレが主だということを認めていないようだったが、
オレが死んだら運命を変える事という願いを叶えられないのだろう。
だけど。
オレが死ななくともリルが死んだら意味ねーじゃねーか。
だから、
「一旦引き返そう」
ぎゅっとリルの傷だらけの手を取り言う。
「…っ嫌だ!今・倒さないと、、!」
そういってリルはオレの手を振り切って傷だらけの足で駆け出そうとした。
が、その場で崩れ落ちる。
どうして、、
そこまでするんだ?
どうして、
今でなければならない?
リルの行動はよくわからない。
悪魔なのに正義を突き通そうとして、
決められた運命に逆らおうとして、オレを死なせず、
しかし自分が死ぬような無茶をする。
「リル、、戻ろうっ!」
そういって傷だらけのリルを抱きかかえてビルからぬけだそうとするが、
「…はなせっ!!」
そういってリルは暴れる
「っ私は…運命に縛られたくなどないっ!!」
「ご主人様には忠実でなければイケナイでしょう?
●●ちゃん★」
そんな様子を高見の見物をしていたくまの人形を抱き抱えた幼いリトルデビルは不敵な笑みで顔を綻ばせて、笑った。




