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死神 Danse de la faucille  作者: ジャニス・ミカ・ビートフェルト
第八幕  乱気流 ~Le Prince du monde~
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洗濯板

  私の態度が気に障ったのか…ジャニスは馬鹿な反論をしだした。


「 うう、お尻は…そう、そうだこの服が悪いんだわ! 」


 感情的になったのか、ピッチリお尻が収まっていた席から、

 キュポンっと音を立てて、ジャニスが勢いよく立ちあがった。


 直ぐ目の前で立ち上がられたので、

 私の顎が、巨体につられて上に跳ね上がり…首が痛くなる。

  更には目の前で勢いよく跳ね上がる規格外の胸を目の前にして

 若干、暗い気持ちになったが、ちゃんと言いたい事は言わないと。


「 その服がぁ? 」


 ジャニスの来ている服は、

 烏の様に真っ黒な光沢のある黒いワンピースだった。

 ノースリーブで細長い腕が艶めかしくうねり、

 馬鹿でかい胸と大きなお尻にぴったりと張り付いている。

 胸元の開口は抑え気味だが、盛り上がった谷間の為余計セクシーに見える。


 背中の開口部はフードの為存在しないが、そのフードは

 先に通過しているから関係ない。

 しかもひざ上25センチはありそうで、余分な布地などありはしない。

 とても服が邪魔になることなど無い様に思えた。


 言ってはみたものの流石に明らかに自分が間違っている事に気がついて

 ジャニスは、気恥ずかしそうに俯いてしまった。

 その態度が、可愛く見えたのか若い男がそのフォローをする。


「 いいっていいって、気にすることなんか無いって

  引っかかるぐらい魅力的な体ってことでしょ? 」


 そしてニヤニヤ笑いながら、ダイナマイトなジャニスを見る。


「 洗濯板みたいなら、引っかからないからね。」


 と、なんで私見る!失礼な極まりないことを。


 ジャニスは少し笑って座りなおして、若い男に頭を下げた。

 上機嫌で男はジャニスに笑顔で返して、

 更に鬼の様な顔で睨み返す私を見て申し訳なさそうに頭を下げた。

 よ~し、場を和ませた事と謝ったことで許してやるか…

 それに若いからこんなピチピチお姉さんに甘いのも分かる。


 ”所詮こっちは結婚しそこねのおばさんだ気にしないよ”


 手を握り締めて、ひきつった笑いで男に返すと、

 今度は横を向いて外側の窓の方を向いて誤魔化した。


「 はあ、要は貴方の力でこの飛行機を止めたという訳ねぇ…

  とても信じれた話じゃないけれど

  ただの通路の床から空間を切り抜いて出てきたんだから信じるしかないか

  お尻は嵌っちゃったけどね。」


「 じゃあ、あなたって、神様?天使?超能力者?異星人? 」


 とりあえず思いつくまま、見つくろって見た。

 言ってる傍から、貧相な発想に嫌気がさす。


「 そうですね…神様が近いかな。天使の様に綺麗だけど…

  いずれにしてもそのどれでもないですわ、」


 何気に髪を撫でつけて自分が天使並みに綺麗とアピールをしてくる。


 すいませ~ん!どんなに綺麗でも、

 オランダや北欧ならその巨体でも、ちょっとでかいなぁで済むけど、

 日本人から見れば…スゲー巨体ですよ。

 スタイル良くても…馬鹿でかすぎね。

 日本人に受け入れられるには、160まで縮尺して出直しなさい!

 実際にはあんな綺麗で大きな胸やお尻…お腹も締まっているし…

 顔だって凄い美人で羨ましいけど。


「 難儀な方ですね。

  巨体、巨体と言っておいて…羨ましいって何? 」

 ジャニスが流暢過ぎる日本語で聞いてきた。


「 あの~巨体なんて言ってませんが? 」

 嫌な予感がしたがとりあえず聞いてみる。


「 だって、心の中の声って大きいんですもの。」


 その言葉に固まった…、時間が停止できるほどなら、

 心の声を読むぐらい造作ない事だろう…

 思えば随分失礼な事を心にしまいながら、話したもんだと後悔したが、

 次の瞬間、

 もっと後悔しなければならない人たちが悲鳴を上げた。



「 すいませんけど…エッチな事は考えないでください。

  あの~その~恥ずかしいですから。 」

 と、真っ赤な顔で周りの男たちをジャニスが見回しだしたからだ。


「 いや、それ…無理だから。男なんで 」

 ジャニスを引き揚げた若い男は悲鳴に似た叫びを上げる。

 年齢的にもまだ20代初めのやりたい盛りだ…可哀想すぎる。


「 か…勘弁してよ。下半身は別人格なんやから。」


 40を僅かに超えた脂ぎったおじさんも似合わない言葉を吐き出す。

 うええ、生臭い表現やめてください!


「 …何とかして、聞こえないようにできません?


  貴方の様に、魅力的な女性がそんな恰好で傍にいると、

  その、性的な事考えてしまうのは生理現象なんで、

  人間の男なんて全員、こんなものですから許してください。」


 最後にスマホのおじさんって言うか…私かしたらお兄さんぐらいか。

 一番まともな言い方だし、うまくジャニスを持ち上げて

 心を読まれなくすることに抵抗なく入れると思った。


「 そ…そうですね。男の人ってしょうがないですわね…

  仕方ありませんか…じゃあ。

  ”アータサン シャーキン カエシーナー ” 」


 ニコニコ笑いながら、何やら呪文を唱えると、

 天井に黒い穴が開いて、鉄の様に光る棒の様なものが降りてくる。

 不思議な光景には違いないが、

 床から生えて出てきたジャニスさんを見た後だと、あまり驚かない。


 ジャニスはその場に立ったままだったが、

 その棒が降り切ると軽くジャニスの背丈を越えた…2Mぐらいありそうだ。

 軽くその棒をジャニスが握ると、

 棒の先で黒い何かが音も無く高速で回りだした。


 ”ベルヘーナ ビガンギ カサナーイ ”

 その言葉を唱えて、三回棒で床を叩く。


「 さあ、これで、聞こえませんわ。 」


 その言葉を聞いて、私は必死にジャニスの悪口を頭に浮かべる。


 このぉ~デカ顔!究極ドジ!ちょっと顔が可愛いとか関係ないわ!

 ちょっと頭の出来が良いからって良い気になるな!

 胸が馬鹿でかくて、さぞや肩がこるでしょうね!

 なによ!あのお尻!あんな馬鹿でかいのに垂れてないって何!

 うう…悪口かしらこれ。


 もし、ばれていたら恥ずかしすぎるので目を瞑っていたけど、

 何のリアクションも来ない。

 どうやら、心を読めないようにしてくれたのは本当だった。


 ほっと安心して目を開けると、

 皆がジャニスを見つめて固まっていた。


 ジャニスが掴んでる棒の形…が変わっていたからだ

 さっきの黒い物が回っていたところには、

 太い三日月の様な大きな刃物が生えていた。


 鈍く輝く黒い本体に、乱れ波紋で削り出された光り輝く刃先。

 触れたら瞬時に切断されそうな冷たい輝きだ。

 棒と合わせると…長大な鎌の様。


 日本の払い鎌と違って刃先が長すぎる…西洋の大鎌というのが近い。

 ただ、西洋の草刈大鎌のような取っ手は無い。

 そうだ、一番近いイメージは…死神の鎌ってところか。


 派手で露出は多いけど、真っ黒な服で、長大な死神の鎌…

 いやぁ、そんな訳ないか…こんな色っぽいバインバインの

 お姉さんが…貧相で陰気なイメージの死神の訳はないって言うか信じたくない。

  

 すると、タイミング良くスマホの男が言葉を切り出した。


「 まあ、ジャニスさん。


  時間や空間を操ってというのは、

  論理的には流石に全く理解できませんけど、

  どうやら、貴方がやったと認めるしかありませんね。


  だけど、目的はなんです?

  墜落して皆死ぬというのを回避してくれたのは感謝しますが。 」 


 何とか話を進めてくれた。

 大きな鎌は気になるのか、何度も目を向けるようだが

 今は先に順序良く話を聞く方が先だと思ったのだろう。


 正体を聞きたいところだが、

 先程と同じように、はぐらかされるだけだから…


 その順番の判断は正しいと思う。


 ジャニスは、にっこりと笑いながら周りを確認するように見渡した。

 といっても、この場でまともに起きているのって

 ジャニスのほかに6人しかいないが…


 一通り眺めた後に、ジャニスはとんでもないことを口にし出した。 


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