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【9.5万pv感謝】念動魔術の魔剣使い -大切な人を護り続けたら、いつの間にか世界を救う旅になりました-【第六部】  作者: 雪白ましろ
第三部 人間界編

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21話 作戦会議

「それでディシア、今日はヨルダルクの武力についてまとめ終わったと聞いてきたんだが」


ディシアの目にはカノンと同様に若干のクマが浮かび上がっていた。


「ええ、先日侵攻の可能性があると分かりましたので、急遽まとめました。


資料を作成したので、そちらも確認しながらお話します」


見たところ、ヨルダルクが研究していた内容と、

研究内容をどうやって軍事転用しているかのまとめになっていた。


「これ、書いてあることは全て事実なのか?」


「はい、全て事実です。今までひた隠しにされてきたおぞましい研究や


戦争に人道を説くつもりはありませんが、どれも殲滅力に特化した兵器となっています」


資料には、テクトと似た人工の人形兵隊部隊の製造や、魔剣の大量生産方法の確立。


農作物を集中して食い荒らす昆虫の増産。


果ては疫病を人為的に発生させるための疫病兵器など、本当に多岐に渡る殺人を目的にした兵器が多く列挙されている。


中でもレルゲンが気になったのは、”光の矢”と呼ばれる兵器で、これをディシアに確認すると


「その兵器が一番研究に躍起になっていました。


行ってしまえば国を跨ぐことのできる核撃。超射程の核撃とでもいうのでしょうか。


一度発射されてしまえば何百キロ離れていようが着弾した地点は焦土と化すのは間違いありません」


「そんなものがもしこの国にでも使われでもしたら」


レルゲンがいくら強くても、一度に国を焦土に変えることはできない。


それはウルカと正式に契約していても変わらない事実だ。


話を静かに聞いていたマリーが、ここで口を開く。


「相手からの攻撃を待っていてはまず手遅れになるわ」


これには周りも同じ意見なのか、皆が頷いている。

王国にはヨルダルクと同じだけの兵力はもっていない。


そのため、どちらにせよ対処が遅くなるとズルズルと相手の要求を飲み続けなくてはならなくなり


最終的には破滅が待っていることは疑いようのない事実だった。


「やっぱりここは俺達で秘密裏に潜入してヨルダルクの研究施設を全て破壊し

王国に攻め込まれる前に叩いてしまった方がいいな。


恐らく黒龍の剣を対策してきているはずなのを見越してドライドに朱雀からできた剣をさっき発注したところだ。


一週間でできるらしいから、作戦はそれからだな。


影の立役者のフェンにも贈り物があるから、それも楽しみにしていてくれ」


召子がレルゲンの贈り物に対しフェンの代わりにお礼を言う


「ありがとうございます。ほら、フェン君も」


そう言われたフェンはレルゲンに頭を下げた、ように見える。


これには皆が驚き、あれだけ嫌われていたレルゲンが試しにフェンに手を伸ばすと


尻尾は振らないが、黙ってレルゲンの手を受け入れている。


「「おぉ!」」


レルゲンがフェンに認められた瞬間を目撃した一行は、

フェンの身体を一斉にわしゃわしゃと撫でていた。


残り一週間の期間で何をするかが重要になってくる。

しかし、下手に監視の目を強化させると反って作戦実行の障害になり得ることから


王国内で目立った行動はできない。


ヨルダルクが持っている兵器の光の矢は、もしかすると…


いずれにしても監視の目が届かない、誰にも迷惑の掛からない場所での鍛錬が必要になる。


この思い付きの策が必要にならないことを祈りつつ、レルゲンは再度深域に足を運ぶ必要があった。


「ディシア、主要な研究所の地図は作れるか?」


「私の知っている兵器であれば、全ての施設の位置は把握しています。


そちらの地図の作製も、一週間以内に作って見せますのでご安心ください」


「負担を掛けるが頼んだ」


「いえ、私は直接戦闘に参加できませんので、ここが私の戦場になります。


私を拾って下さった皆様には多大な恩がありますので、全力で取り掛からせて頂きます」


「カノンも無理をしない範囲でディシアを手伝ってほしい」


「助手くんの頼みとあれば頑張らせてもらうよ。

こっちはこっちでやっておくから安心してくれたまえ」


レルゲンが頷き、マリーとセレスティアを見つめる。


「私たちは地図ができるまで修行ね!」


「召子はどうする?君がいてくれると助かることは変わらないが


相手の狙いも君だ。どうするかは君自身で決めてほしい」


「私は…」


召子が下を向いて一度考えるが、答えはもう出ていた。


「私は、戦いたいです。折角ここまで皆さんと頑張ってきましたし


相手の狙いが私にあるのなら、私がここに残ると国の皆さんが余計に危険になります。


あえて敵陣に突っ込むことで、動揺を誘えるかもしれませんし」


レルゲンが頷き


「わかった。一緒に戦おう」


方針が決まったところで、女王陛下に進撃の許可をもらうべく


全員で女王の私室の扉を軽く叩く。


女王は最初何事かと思ったが、話を聞いて資料に目を通し


国の未来を考えてここまでの行動をとってくれる

若き未来ある強者たちを前に、止める理由はもうなかった。


「許可しましょう。

しかし、この作戦を以ってヨルダルクからの技術支援は永遠に受けられなくなることを考えなくてはなりませんが


そのあたりの調整は私に任せて頂き、あなた方はできることを成し遂げてください」


「「はい!」」


ヨルダルクとの決戦が、間近に迫っていた。

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