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【12万pv完結感謝】念動魔術の魔剣使い -大切な人を護り続けたら、いつの間にか世界を救う旅になりました-  作者: 雪白ましろ
第五部 王位継承戦編

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27話 降りしきる魔術の雨

カリストル領上空に無数の魔力反応を感知してユリスティアが前を飛ぶレルゲンを制止する。


流石は国の宮廷魔術師団の頂点だけあって感知範囲はセレスと同等かそれ以上だろう。


「ここから真っ直ぐ行けばすぐにカリストルの行軍位置に入る。準備に入ってくれ」


「分かりました。ウルカ」


「いつでも行けるよ」


ユリスティアは持っている掌サイズの杖を掲げて詠唱を始めると、レルゲン達の下に雨雲が形成され始める。


「人差し指に水を、中指に火を。混ざり溶け合い、我は術の摂理を掴む者。

邪なる賊を排せよ。ダブルキャスト・マジック。

ヒート・ミストラル」


水と火の複合魔術。

セレスティアとは違い詠唱を必要としているが、指になぞらえて混ざり合う様は恐ろしさすら覚えるほど滑らか。


レルゲンは思う。この男は間違いなくセレスティの父親だと。


外見的な容姿ではなく、術師としての高みへ至るまでの研鑽の結晶が今ここで披露されている。


大量の雨雲を生成する規模は広く当たり一面、水平線に至るまで紫の濃い雨雲が広がっていき、遠くからは雷の轟きが聞こえ始めている。


これより下は大雨に見舞われているだろう。

雨音でレルゲンの気配も音も掻き消され、暫くすると魔力反応がピタリと止まったようだ。


「この規模の雨雲を作るだけの技術もそうですが、とてつもない魔力量。感服致しました」


「世辞は要らない。それよりもレルゲン君は雷撃は撃てるのかね?

出来なければこちらでやるが」


「可能ですが、この雲の下に撃つとなると局所的にしか撃つことが出来ません」


「よく考えたまえ。その魔力量と念動魔術を可能にしている技量ならそう難しくはないはずだ」


レルゲンは考え、そして魔力糸を大量に蜘蛛の巣状に展開する。

要領は敵を足止めする時に使う綴雷電と同じ。

何キロも先にある雨雲まで瞳を閉じて感覚を集中。


木から林檎の実が成り、自然と地面に引っ張られて落ちるように、魔力糸のポイント毎に魔力を集めていく。


雷に性質が変化させられた魔力がバチバチと弾けるように帯電を始め、魔力を強める度にどんどんと火花を散らす様に大きく広がっていく。


(よし……行けるな)


レルゲンは瞳を開けて、ユリスティアに宣言する。


「いつでも行けます」


「面白い方法だ。まずは雲の中だけで雷撃を放ち、一本、二本と地上に振らせる本数を増やす。

自然の流れに沿うようにイメージしながら魔術を放て」


「了解」


まずは雲の中のみで横に這わせるように。

閃光が雲の中に轟くと、今度は一本のみ地上へ発射する。


落ちた先にはカリストルの兵士達がテントを張っている地点へピタリ命中した。


ウルカの魔力制御の補助が入っているとはいえ、下の様子はレルゲンには分からない。

しかし、下の様子が分かるまで広い感知範囲を持つユリスティアが小さく「ほう……」と漏らした。


「今の一撃で三つ魔力反応が消えた。レルゲン君は下の様子が分かるのかね?」


「いえ、分かりません。

当たるよう祈りながらは撃ちましたが」


「ふむ。ではその祈りは継続し、出来るだけ範囲を広げて雷撃を放て。


付近に撃って悟られないように」


具体的かつ的確な指示。

かつての魔術の師匠であったナイト・ブルームスタットとは違うベクトルでの指導の巧さを感じ取りながら、再び意識を集中する。


レルゲンは迷わず更に数百メートル以上離れた地点に二本の雷撃を落とす。これもまた二つとも命中し、着弾の衝撃で張られたばかりのテントを粉々に破壊した。


ユリスティアはここで確信した。

このレルゲンという男は魔力感知以外の方法で無自覚ながら敵の位置を割り出している。


「では今度は十、二十と間髪入れずに。私も協力しよう」


一度ならず二度も仲間へ正確に雷撃が直撃すれば怪しむ者も出てくる。

今度は一度に連続して相手が対応出来ないほどに速く、疾く。


繰り出された光の雨は止む事はなく、幾度となく降り注いで木々を粉砕し、地面を抉りながらも兵士達を焼いて行った。


死者数が五千に達しようとした時、下から魔力砲が何発も黒い雲を貫いて上空へと突き進んで晴れ間を作っていく。


「潮時だ、レルゲン君」


「分かりました。ですが最後に雷撃とは違いますが、ウルカ!」


「待ってました!せーの!」


「「ブルーフレイム・アローズ!」」


魔力の糸から雷撃ではなく火の上位魔術が文字通り豪雨の様に降りしきり、先程よりも更に密度の濃い攻撃がカリストルの兵士を焼き焦がした。


「お待たせしました。戻りましょう」


「火の純精霊だけあって下手に雷に頼るよりも、始めからその火の上位魔術で焼けばよかったか」


「いえ、ユリスティア殿の目眩しが無ければこの技は使えませんでした。

始めに雷撃で敵を混乱させるのは最善手だと考えます」


「そうか……さぁ戻ろう。レルゲン君の様に空を飛べる敵がいても不思議は無い」


「はい」


「誰の様に空が飛べても不思議は無いって?

このサカタ・レイノールの様にか?」


声の主の元へ振り返るとそこには見た事のない。

初めての武器を持つカリストル軍のトップがレルゲン達の前に浮かんでいた。

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