30話 インベリア―ロ攻略作戦①
都市ソラーロ 港付近
普段は木造の船が多数停泊している港に、灰色の巨大な船が何回も出入りしていた。
その中から、多くのモノや人が出てくるのだから、野次馬に集まってきたソラーロの住民たちは目を丸くしていた。
「ありゃ、なんだ!?あんなにでっかい船なんてあるんだなあ、すげえや」
「あれは、うちの国を助けに来た【二ホン】という国の海軍の軍艦らしいぜ。港にいたインベルドの奴らを倒したのもあれらしい」
「おお、そうだったのか!しかし、なんでわざわざうちの国を助けに来たんだ?俺は二ホンなんて聞いたことがないし、仲が良いわけじゃないだろう?」
「さあ………インベルドと同じように俺たちを支配しに来たなんて噂もあるそうだが」
「勘弁してくれよ………」
リマ国の民衆は、突然現れた日本を信用していなかった。
彼らが不安げに話している中で、黒いローブの男がその場を離れようとしていた。
「おい、お前どこに行くんだ?」
格好もあいまって、不審に感じた一人の男が彼についていく。黒いローブの男は路地裏に入っていく。
「おい、本当にどうしたんだ?こんなところに来て………いいかげ」
ブシュッ。そんな音と共に話しかけていた男から血が噴き出した。
「二ホンか………あれほどの軍艦を持つ国となると、警戒する必要があるな。報告せねば………」
そんな独り言を言うと、黒いローブの男はどこかへと走り出した。
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ババババババ………
ソラーロ付近の洋上の【いずも】から、チヌークが飛び立っていった。




