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短編2

魅了魔法が使える悪役令嬢です。ヒロインさん対戦よろしくお願いいたしますね♪

作者: 猫宮蒼



 アドリア・モルガニス。悪役令嬢。


 前世で遊んだ乙女ゲームのキャラに転生していると気付いたのは、魔法の力に目覚めてからでした。

 魔法学園を舞台に繰り広げられるラブコメ的なストーリー。その、悪役令嬢が私。


 悪役令嬢ではあるけれど、別に王子様が婚約者、とかではない。

 婚約者がいる相手を好きになったらヒロインちゃんが略奪する形になっちゃうから、不倫とか浮気とかそういうの創作でも忌避感強めだった時代の作品なので、悪役令嬢に婚約者はいません!

 というか、貴族はいるけど幼い頃に政略結婚とかそういうのはない世界線での話です。

 まぁほら、他の創作で散々幼い頃から婚約してても上手くいかずに……みたいな作品も乱立してたから……なので基本的に悪役令嬢以外の学園に通う令嬢や令息に婚約者はほとんどいません。作中でヒロインちゃんと恋をする攻略対象には婚約者がいないのと、並行して攻略ができないので二股とか逆ハーレムとかそういうのもないです。


 じゃあ悪役令嬢はどういう役割なのかというと、まぁライバル的なやつですね。

 ヒロインちゃんは駆け落ちした元貴族を親に持つ、平民として暮らしていた子。それが色々あって貴族の家に引き取られて学園に通って魔法の力を磨いていくわけなんだけど、魔法に関しても貴族社会での生き方にしても、何もわかってない状態。それでも一生懸命努力していくヒロインちゃんは、ふとした時に出会った相手と恋に落ちる。

 だがしかし、ヒロインちゃんが好きになった相手は悪役令嬢が恋する相手だった――


 って言う感じでですね。

 ゲーム内ではどちらが彼の心を射止める事ができるか、を競い合う。

 同時攻略はできないので、最初の時点で攻略キャラ一通りと出会ってから、誰のルートに入るかを選ぶ。そこから悪役令嬢の出番なのである。

 なのでヒロインちゃんが誰を選んでも悪役令嬢は私一人。

 まぁ、攻略対象でもないキャラを無駄に増やすとか、乙女ゲームなら攻略キャラ増やせってなっちゃうものね。攻略対象と同じ数だけ悪役令嬢出すとか、作画とか声とか余計に製作費がかかっちゃうものね。仕方ない仕方ない。



 ともあれ、私はヒロインちゃんと一人の男を奪い合う事になるわけ。

 貴族社会の礼儀も魔法についての基本的な事もわかっていないヒロインちゃんの事を最初悪役令嬢はとっても軽んじてこんな子と自分が競い合う? まさかご冗談でしょう? みたいに侮ったりしてるわけなんだけど、ヒロインちゃんが攻略キャラを落として結ばれると恋に破れた悪役令嬢は最後の悪足搔きでヒロインちゃんに敵対。

 それをヒロインちゃんとその時結ばれた攻略対象とが協力して無力化してかーらーの、エピローグからのエンディング。


 ヒロインちゃんが攻略失敗しても悪役令嬢がその攻略対象と結ばれる事がないから、正直報われない。


 悪役令嬢っていうよりはライバル令嬢の方が正しい気がするけれど、まぁ、度々ヒロインちゃんの前にやって来ては嫌味とか馬鹿にするような発言とかしちゃうから、イメージ的に悪役令嬢の方が合ってる。

 精々嫌味とか悪口程度だから、物理的な虐めはしていないけれど、まぁ、ゲームをプレイしてる時はうざいなぁ、とか思った事もあったっけ。

 何度もプレイしてると一周回っておもしれー女に見えてきたりもしたけれど。


 成績とか競い合ったり想い人にいかに自分を良く見せるかだとかを、ヒロインちゃんと張り合うのである。


 ヒロインちゃんが攻略キャラのルートに入った上で攻略を失敗した時は、その後悪役令嬢と攻略失敗したキャラがちょっとだけ仲良くなったような感じになるけれど、ヒロインちゃんに勝った! っていう高揚感からか攻略対象キャラの前で悪役令嬢もうっかりかぶってた猫を脱ぎ捨てた事で「あ、こいつもしかしなくても性格悪いな」って思われて後に振られるのである。


 ちなみに振られる描写はないが、攻略失敗した後のルートは他の攻略対象に乗り換える事もできないので、その先のエンディングはノーマルエンドと同じように学園を卒業して終わる。


 ノーマルエンドの場合は攻略対象キャラが友人になるけれど、攻略失敗した場合は友人というカテゴリですらないのでヒロインちゃんはロクな友人もできないまま学園を卒業するという、どうにか卒業はしたけれど……という若干暗雲立ち込める未来が透けて見えるエンディングだ。

 ノーマルエンドの場合は攻略対象が友人になって、その他にも友人がいる描写があるから人脈とかあるのがわかるけど、バッドエンドだと友達すらできないっていうね……



 悪役令嬢はヒロインちゃんがノーマルエンドだろうとバッドエンドだろうとやっぱりこちらも恋を成就させる事ができないっていう報われない状態だけど、じゃあヒロインちゃんがハッピーエンド、つまり攻略対象のキャラと結ばれた場合どうなるか。


 なんと罪人として捕まって牢獄行きである。


 自分が恋をした男性がよりにもよってヒロインちゃんと良い仲になりつつあるのを内心許せない……! と嫉妬にかられ怒りに満ち満ちた状態だった悪役令嬢は、いよいよ二人が結ばれるとなるエンディング直前でやらかすのである。

 二人の間に割り込もうにも最早その隙すらみつからない。


 結果として強引にでも結ばれようと目論んだ悪役令嬢は、なんと魅了魔法を使うのである。

 魅了魔法は国で使用を禁止された魔法だ。

 特定の条件下でなら使用を許可される事もあるが、大抵は禁止されている。


 その禁止された魔法を使った事で罪人になるのだ。



 ヒロインちゃんの攻略が失敗した場合は罪人にならないけれど、ヒロインちゃんがハッピーエンドに突入したら罪人になるとか、どう転んでも救いがない。

 まぁ、ゲームの悪役令嬢は性格がちょっとアレなので……自分より下の人間を見下したりするし、調子に乗りやすいしで単純に身近にいたらうざいなぁと思うキャラだったから、そりゃまぁヒロインちゃんが攻略失敗して代わりに悪役令嬢が相手とくっつきそうになっても、結果的に相手から嫌われて……みたいになるのも致し方なし、みたいな部分はあるけれど。


 一流の悪党というよりは三流の悪役。身分がない世界観だったら三下扱いで終わってそうなキャラだもんな……



 さて、そんな悪役令嬢に転生してしまったわけである。


 ヒロインちゃんとお相手を巡って負け戦仕掛けるとか論外だし、ましてやそこで更に魅了魔法を使って破滅なんて以ての外。


 大体、魅了魔法っていっても無理矢理洗脳してるようなものだから、原作では使用した時点で相手に無理が生じて違和感バリバリすぎて即座にバレたのである。


 悪役なんだから最初の時点でうっすらとでも相手に魅了かけてヒロインちゃんと結ばれないようにするとかしとけばよかったのに……と他人事としては思うわけだけど、悪役令嬢もわかってはいたのだろう。

 そんな風に無理に洗脳して振り向かせたところで、そんなものは虚しいだけだと。

 だって実際に自分を選んでもらったわけじゃないから。魅了魔法のせいで一時的に洗脳状態になって、だから選ばれてるだけで魅了魔法がなければ自分は選ばれなかった、っていう現実を理解しているからこそ、最後の最後でしか悪役令嬢は魅了魔法を使わなかった。もうどうしようもなくなって、打つ手もなくなってそれでも諦められなくてそこで縋ったのが魅了魔法だ。



 言ってしまえばお人形ごっこ。


 幼女がお人形を持って自分の名前を呼んで大好きだよ、なんてお人形のセリフとして言わせてる分にはまだ微笑ましさがなくもないが、いい年の大人がそれをやったらどうなるか。

 虚しい通り越して痛々しさの塊でしかない。

 魅了魔法で無理矢理自分の事を好きにさせているというのは、つまりそういう事なのである。

 それをわかってたからこそ、悪役令嬢も最終手段としてしか使わなかったのだろう。

 そう考えるとまだ常識とか倫理観とか良心とかそこまで投げ捨ててなかったのかもしれない。


 まぁ、身分のせいで自分が偉いと思い込んで下の人を見下すような部分もあっておだてに弱くて調子に乗りやすくて……っていうキャラだったからな。もしかしたら根っこの部分は悪くなかったのかもしれない。育ち方がもうちょっとこう……違ってたらなんだかんだ憎めない友人ポジションになれていたかもしれない、と思う。



 まぁ……流石に罪人になりたくはないし、前世の記憶を思い出してしまった以上、ヒロインちゃんと同じ相手を好きにならないようにすればどうにか回避可能なのではないでしょうか。



 ――そう、思っていた時期もありました。



 そう、薄々そんな予感はしてたけど、ヒロインちゃんもどうやら転生者だったみたい!


 魔法学園で最初、彼を攻略――言い方は悪いけど――するのかなと思ってたのに、次に見かけた時は別の相手といたし、あれもしかして全員とそこそこ仲良くして誰のルートにも入らない、ノーマルエンド狙いなのかな? とも思ってたんだけどね?


 違った。


 あのヒロインちゃん、原作知識でもって同時進行で皆の好感度上げてた。

 つまり、逆ハーレムをやらかそうとしていると言っても過言じゃなかった。


 それはゲームにないシナリオですけどおおおお!?


 えっ、その場合ライバル的立場の悪役令嬢つまり私も、同じように相手を奪い合う立場になったとして、同じように複数の男性に言い寄るって事?

 ないないない。冗談じゃない。

 そんなに大勢のイケメンに囲まれてちやほやされたいならそれこそホストクラブでも経営してそっちで叶えなさいよ望みをさぁ! って思ったけど流石にそんな事を突っ込めない。


 攻略対象の男性陣は、まぁ乙女ゲームの攻略対象だけあって乙女の憧れを詰め込んだような存在だ。

 だからこそヒロインちゃんや悪役令嬢だけではない。

 他の令嬢たちからだって、想いを寄せられていたのである。


 ゲームではヒロインちゃんが競い合うのはあくまでも悪役令嬢だけだからそういったモブと呼ばれる存在の事は捨て置けたかもしれないけれど、ここは現実。つまりどういう事かというと。


 ヒロインちゃんは、実に多くの令嬢たちを敵に回す事になってしまったのである。


 あれこれ、ヤバくない?

 彼女たちが結託してじわじわと嫌がらせをしてるようだけど、それ最終的に私のせいにならない?

 そう思った私は焦った。

 焦ったけれど一瞬で冷静になった。

 落ち着いて対処しないと実際に自分がやってない嫌がらせの罪をかぶって最終的にやっぱり罪人エンドの可能性があるからだ。


 虐めってよくないけど、この場合ヒロインちゃんが虐められる原因を作ったようなものなので、私からはなんとも言えない。だって一人だけならまだしも複数の令息たちとの仲を深めていっているのだ。誰か一人と恋をしているようならまだ周囲だってそこまで思わなくても、複数の令息と仲良くして思わせぶりな言動をしている以上、彼らに恋をする令嬢たちだってヒロインちゃんが誰が本命なのかわからないせいでとてもやきもきするわけで。だから誰か一人に決めてほしいのだろう、とは思う。そして恐らくやんわりとでもそれを伝えた令嬢もいるはずだ。

 けれどヒロインちゃんはハッキリとは答えなかった。結果としてそんな不誠実な相手が憧れの君と結ばれるなど冗談ではない、となって周囲のヘイトを集めたのだ。

 そういう意味ではヒロインちゃんが虐められる原因は彼女自身にある。虐めは良くない事だけど、でも虐められる原因を作っているのはヒロインちゃんだ。

 結果として悲劇のヒロインみたいになってるから、それをヒロインちゃんも上手い事利用してるあたり、実にしたたかすぎる。ただ、現時点無関係の私に何もかも押し付けられるのは困る。無関係なのに悪役令嬢としての役割だけは果たせ、とか言われたって困る以外のなんだというのか。



 だから私は――


 魅了魔法を使う事にしたのだ。



 魅了魔法を使うと罪人エンドになるじゃないか、と思われそうだが、まだ慌てる時じゃない。


 ヒロインちゃんは確かに攻略対象のイケメンどもと仲を深めていた。

 けれども一気に好感度をぶち上げるわけでもなく、少しずつ調整するかのようにしていたからこそ周囲だってヒロインちゃんが誰それと恋人かもしれない、なんてところまではいってなかった。でも恋人になるまで秒読み、みたいな状態だったから周囲はヒロインちゃんの事を尻軽扱いをしていた。

 そして周囲のヘイトを買ったヒロインちゃんは嫌がらせを受けるようになり、それを利用してイケメンどもからの同情を買い、庇護欲を前面に押し出して「こいつには俺がいないとダメだ……!」みたいに思わせる事に成功した。


 そして、その嫌がらせの元凶が何故か私にある、という噂も流れた。


 それを否定する人は表立ってはいなかった。

 嫌がらせをしている令嬢たちにしてみれば、自分じゃない別の相手が犯人に仕立て上げられそうになっているという事でちょうどいいと思ったのかもしれない。噂が流れているのは事実だけど、嫌がらせをしている令嬢たちがそういう噂を流したわけではない。噂を流したのはヒロインちゃんである。


 令嬢たちは自己保身に走った。

 思う部分がないわけじゃないけれど、率先して私に罪を着せようとしているわけじゃないから令嬢たちに関してはさておき。


 問題は悪役令嬢を元凶としようとしている転生ヒロインちゃんである。


 悲劇のヒロインムーブをかまし、同情を集め気付いた時には攻略キャラたちは皆か弱いヒロインちゃんを守れとばかりになっていたのである。

 好感度調整の上手さだけは褒めてあげてもいいけれど、私を敵に回した時点でヒロインちゃんの負けなのよね。



「アドリア・モルガニス、君が魅了魔法を使い人心を惑わしているのは周知の事実だ」


 攻略対象の一人、メインヒーローでもある王太子アレックス様がそう宣言したのは、ゲームでいうところの悪役令嬢が失恋を確定し、やぶれかぶれになって魅了魔法を使う最終イベントと同じ日の事だった。卒業試験が終わった後の事だ。


 魅了魔法、と聞いて周囲が騒めく。


 私は周囲の騒めきとアレックス様からの厳しい視線、ついでにヒロインちゃんの勝ち誇った表情と他の攻略対象の敵意に満ちた視線全てを、きょとんとした顔で受け止めた。


「人心を惑わす……ですか」

「そうだ。使っていない、などという言い逃れは聞かないぞ。きみは魅了魔法を使って周囲を先導し、そうしてマリアナを虐げるように仕向けた」

「あら、そうなのですか」


 ふぅん。


 アレックス様の言葉を聞いて、私としてはそういう風にしたのね、としか思わなかった。


 ゲームのように悪役令嬢たる私がヒロインちゃんに直接嫌がらせをしていなくても、周囲がやらかしている。それをきっとヒロインちゃんは自分の手を汚さないよう周囲を魅了してやらかしているに違いない、と考えたようだ。

 まぁ、ゲームの内容通り悪役令嬢が嫌がらせをしていたとしたら、あまりにもバレバレすぎてもっと早い段階で断罪されてたとしてもおかしくはなかったものね。

 それ以前にヒロインちゃんと同じ相手を好きになった様子もない私を見て、多分私も転生者かも……って想像をつけたのかもしれない。


 でも、もし私が転生者かもしれない、って考えたのなら、そこで私をそれでも悪役に仕立て上げようとするのは悪手だって気付かないといけないんじゃないかなぁって思うのだけれど。

 気付かないから勝利を確信したみたいにアレックス様の背後でほくそ笑んでるわけなんだけど。


 アレックス様が手にした十字架を掲げる。その十字架には魔石が組み込まれていて、ただの十字架ではない事が一目で理解できた。


「これは魅了魔法を解除するための魔道具だ。これにより魅了された者たちは解放される」

 言うと同時に魔道具の効果を発動させたのだろう。十字架が眩いくらい輝いて、あまりの眩しさに思わず私は目を閉じていた。

 私以外の周囲の人たちも同じように目を閉じていたようだ。


 そうして光がおさまって。


 目を開けた時には、状況が一変していた。


「一体どういう事だ……?」

「何故僕はこんな……?」

「あれ……? なんで……?」

「えっ、なん……えっ?」


「えっ、あの、どうしたんですか皆さん……!?」


 周囲が想像したのはきっと、魅了魔法が解除されて正気に戻った令嬢たちと、魅了魔法が解除された事で狼狽える私、という図だったのだろう。

 けれど実際は違った。


 困惑しているのはアレックス様を筆頭に、攻略対象のイケメンたちとヒロインちゃんで、私は別に狼狽えたりもしなかった。


「あぁ、解けてしまいましたのね。折角助けようと思っていたのに……」


「どういう事だ?」


 私のため息混じりの呟きを真っ先に問い詰めたのはアレックス様だ。


「確かに私は魅了魔法を使いました。ですが、殿下が想像するような使い方はしていないと宣言します。

 殿下は一体どういう話を聞いて私を悪だと思ったのかはわかりませんが……私が魅了魔法をかけたのは、周囲の皆さまではなく――マリアナ・レーア男爵令嬢にですわ」


「えっ!?」


 ヒロインちゃんの驚きの声が上がる。それと同時に説明しろとばかりにアレックス様が私を見た。眼光鋭ッ!


「その、レーア男爵令嬢は元は平民だったでしょう? その上で殿下や他にも高位身分の令息の方々と親しくなりつつあった。皆さま決して恋人だとは言っておりませんが、しかしそうなるのも秒読みではないか……と周囲が思うくらいに親しい間柄にしか見えず、結果として周囲の皆さまはレーア男爵令嬢の事を尻軽だとか、まぁ色々と悪く思っていたわけです。

 このままでは家の力を使って亡き者にされる可能性もある……そう思った私は、ともあれレーア男爵令嬢に魅了魔法をかけました。そうして周囲がレーア男爵令嬢の事を少しでも好意的に見てもらえれば、亡き者にしようと思うところを精々ちょっと気に食わない娘、くらいになるのではないかと思いまして」


 流石に学園内部で殺し合いはないと思うけれど、でもやっぱり同じ学園に通う人が死んだとか、そういう血なまぐさい話はできれば聞きたくないじゃないですか。


 そんな風に付け加えれば、殿下は「確かにそれは……」と納得してくれた。


「確かにレーア男爵令嬢は嫌がらせを受けていたかもしれませんが、魅了魔法がかかっていなければ嫌がらせどころか亡き者にされるところだったのです。レーア男爵令嬢が全ての人たちから好かれる程の魅了魔法は流石にかけられなくて……それは私の力不足によるものもそうですが、あまり強い魅了だと周囲が精神崩壊する可能性もありましたので……レーア男爵令嬢の命と周囲の皆様の精神が崩壊しないというのを落としどころにした結果が今回の件ですわね」


「モルガニス公爵令嬢、自分自身に魅了をかけて周囲を篭絡しようと思った事は?」

「えぇ? それ、やったところで何か意味あります? 無理にやっても相手が拒絶していたら精神崩壊を引き起こしかねないし、そうでなくともそうやって無理に好きにさせても虚しいだけじゃありませんか。

 それでなくともそういう使い方は禁止されているでしょう」

「それはまぁ、そうだな」

「本当だったら今回だって使うつもりはなかったのですよ。でも、使わないと女生徒が一人死ぬかもしれなかったので……」

「そうか。どうやらこちらの思い違いもあったようだな。すまなかった」

「いいえ、誤解が解けたようで何よりです」


 穏やかな笑みを浮かべてそう言えば、殿下だけではない。今までヒロインちゃんに侍っていた他の令息たちも申し訳なさそうに謝ってくれた。


 納得いかなかったのは、ヒロインちゃんだけだ。


 嘘だとか騙されないでだとか、何やら色々喚いていたけれど、しかし既に魅了魔法は解けている。

 結果、今までヒロインちゃんと仲良くしていた攻略対象の皆さまは冷ややかな目をヒロインちゃんに向けて、

「確かに思い返せば今までの君の態度は淑女からは程遠いものだからね」

「他の令嬢たちから嫌われるのも無理はない」

「モルガニス公爵令嬢が魅了魔法を使っている、と訴えてきたがまさか君を守るためだったとはね……

 けれど確かに納得できたよ」

 などと今までとは手の平を返したような態度である。


 攻略対象の方々からの冷ややかな眼差しに、ヒロインちゃんは一瞬たじろいだけれど、すぐに私のせいだと叫んで私に襲い掛かろうとしたので。


 攻略対象の一人が速やかに押さえつけて無力化してくれた。

 男爵令嬢が公爵令嬢に危害を加えようとした、という事で、彼女は学園の警備を担う者に連れていかれて、教師たちからの事情聴取を経て親に連絡され、停学処分を受けた。

 すぐに退学にならなかったのは、親に連絡を入れてその上で退学手続きをするためだ。

 卒業試験が終わったと言っても、まだ卒業していないので停学も退学も普通にあり得るのよね。ヒロインちゃんは試験が終わった時点で卒業したも同然だと思ってたのかもしれないけれど。


 前世でも内定決まった後に不祥事起こして内定取り消し、なんて話があったのだから、言っちゃなんだけどヒロインちゃんが完全に油断していただけとも言える。


 色んな家の令嬢たちを敵に回した以上、ヒロインちゃんがこの先何を言ったところで逆転勝ちはない。しかもヒロインちゃんを守るために魅了魔法を使っていた私の事を諸悪の根源扱いまでしていたのだ。それでもまだ私の事を悪く言うのだから、周囲の心証は最悪になろうというもの。

 停学が明けた後学園に戻ってきたところで、ヒロインちゃんの居場所なんて既にない。

 そういったものも通達された事で、ヒロインちゃんを引き取った男爵家はヒロインちゃんを退学させるしかなかった。学園から一発退学処分をさせるにしても、そこまでの事はヒロインちゃんやってないからね。


 精々色んな男性に尻尾振って高位身分の令嬢に冤罪ふっかけただけで。


 いやまぁ、普通だと退学処分でも全然問題ないのだけれど、ヒロインちゃんがアレなのでもしかしたら引き取った男爵家もそういう……ちょっと貴族社会の常識とかアレな部分があるかもしれなかったし。初っ端退学処分とかだと、納得いかずに親が学園に乗り込んでくるかもしれなかったし。

 まぁその場合、それはそれで男爵家諸共ぷちっと周囲の家の方々がやるだけなんだろうけれども。



 かくして、学園からヒロインちゃんは消えた。



 ところで、私は嘘をついた。


 ここから先は答え合わせをしておこうと思う。


 まず、魅了魔法をヒロインちゃんにかけたのは本当。

 でも周囲の令嬢たちが魅了されるようにはしていない。魅了にかかっていたのは攻略対象の方々である。


 じゃあ周囲の令嬢たちは別にヒロインちゃんを亡き者にしようとしていなかったのか。

 これに関してはなんとも言えない。実際殺してしまえば手っ取り早い、と考えた令嬢もいたかもしれないけれど、でもそういうのが発覚したらほら、意中の相手からドン引きされるかも……って考えて思いとどまってた可能性はあるのよね。

 ヒロインちゃんが決定的なシーンを周囲に見せつけるような事をしていたら、殺される未来もあったかもしれないけれど。


 魔道具で魅了を解除された時の反応から、令嬢たちの誰も自分たちは魅了にかかっていない、と気付かなかったのかとなると、まぁきっと気付いていなかった。

 だって、実際自分の意中の相手が自分より身分も低ければ礼儀作法もそれ以外のことも劣っている見た目だけがかろうじて取り柄のヒロインちゃんに好意的なのを目の当たりにしているのだ。

 内心ではきっと嫉妬もしただろうし、ヒロインちゃんの事を消えてしまえと思った事のある令嬢は確実にいると思われる。

 それでもすぐさま殺そうとしなかったのは、短絡的な手段に出るほどの愚か者ではなかっただけ。

 今はまだその時ではない。そんな風に自身に言い聞かせて我慢していたのだとは思う。

 ただ、その我慢はそれぞれの自制心によるものだったけれど、私が周囲に宣言した事で、軽度の魅了魔法によってそう思わせないようにしていた、と思い込んだに過ぎない。


 魅了魔法とはいうものの、たとえば犬猿の仲みたいな相手にかけたとして、本心から嫌っている相手を無理に好きにさせるとなると、相当無理をさせる事になるわけだから、いずれは破綻する。

 魔法は万能ではないので。

 ただ、相手に好意を持っていて、でもそれを自覚していないだとか、そういうのであれば魅了魔法をかけた事が切っ掛けになって自覚する、なんて事もある。


 ぶっちゃけて言うと、ゼロになにをかけてもゼロってやつ。数学ならマイナス同士をかければプラスになるけれど、しかし精神はそうはいかない。

 マイナスをプラスに転じさせようとすれば負担がかかり、いずれ相手の精神が崩壊する可能性が普通にある。


 じゃあ、ヒロインちゃんは本来軽度とはいえ魅了魔法のバフをもってしても、攻略対象に好かれなかったのではないか?

 それについては、いきなり最愛の人レベルにまで魅了がかかっていなかったから、としか言えない。


 ヒロインちゃんの存在は、本来ならばアレックス殿下を筆頭に高位身分の方々からすると元平民で、礼儀作法も貴族社会でやっていくだけの知識も色々と足りていないナイナイ尽くしの存在である。

 確かに見た目は良いかもしれない。ヒロインだから。

 けれど、正直見た目は盛ろうと思えば盛れるもの。ヒロインちゃんの見た目だけが唯一無二というわけではない。


 いくら見た目がよくたって、中身が駄目なら好意を持てるわけもない。

 ほら、ラッピングがいくら綺麗でも中身が腐った卵だったら、外側が良くてもイヤじゃない? 私はイヤ。まぁその逆に外側が腐った肉で中から綺麗な宝石が! なんてのもイヤだけど。外側も中身もどっちもそれなりにきちんとしてるのが理想よね。


 ともあれ、本来ならばゲームの中と違い、彼らはヒロインちゃんの不作法を好意的に思うはずがないのだ。けれどもそれを、私の魅了魔法でカバーした。


 その無作法を元は平民だったのだから……と若干判断基準を緩めていたのもあったとは思うけれど、そこに私の魅了で新鮮さを感じるように仕向けた。

 その結果、他のマトモな令嬢ならやらないような不作法が天真爛漫の一部として見られるようになり、彼女だけが特別に思えるようになったというわけ。


 でも魅了魔法で何もかもを洗脳してるわけじゃないから、ヒロインちゃんの礼儀がもっと酷くなっていたら魅了の効果も薄れて彼らは離れたかもしれない。


 そうね……たとえば。

 たとえばの話だけど。


 もしヒロインちゃんが彼らとランチをしている時に、食べ物をクチャクチャ音をさせて食べていたら私がかけた魅了の効果があったとしても、きっと彼らはヒロインちゃんを不快に感じたと思うし、そうなればヒロインちゃんに対する好感度だって下がっていたかも。

 一回くらいなら大目に見れたかもしれないけど、毎回食べ物口に入れてクチャクチャ音を立てて、挙句口にまだ入ってるのにその状態で喋って……なんてやってたら、いくら魅了されていたとしてもカバーしきれる気がしないわ。


 生理的に無理、っていうレベルで嫌ってるのを最愛の人レベルにまで魅了かけると、その分無理が生じるのだから、そこまで強い魅了じゃない状態でそういう事になれば、まぁ、折角魅了にかけても効果は半減どころか最悪消失したっておかしくはない。


 つまりヒロインちゃんは、己の魅力だけで彼らを落としたわけではない。

 ゲームの中ならともかく、ここは現実。

 ゲームの中だってそもそも攻略するのは一人に絞らないといけないのに、逆ハーレムとばかりに複数の好感度を上げようとしていたのだから、彼らの心の奥底ではきっと密かに不信感が芽生えていたっておかしくはない。

 それを魅了の効果で、ヒロインちゃんが魅力的だから周囲に人が集まる、と良いように解釈して自分の心を騙していた部分も無きにしも非ず。



 私はヒロインちゃんが殺されないように魅了魔法を使った、なんて言ったけれど。

 それこそが一番の嘘だ。


 令嬢たちに効果があるような魅了はかけていなかったし、別に結果としてヒロインちゃんが殺されたとしてもどうでも良かった。だって原作のヒロインちゃんじゃないもの。あれはガワがそうなだけの、中身はベツモノ。

 ヒロインちゃんが転生者だからって偽物だとは言わない。原作と同じように、誰か一人と恋をしていたのなら、私だって温かく見守った。その上で、私以外の誰かが悪役としてヒロインちゃんを虐めるような事があったのなら、密かに助ける事だってやぶさかではなかった。


 でもヒロインちゃんは原作にない展開として逆ハーレムやらかそうとしたくせに、原作とは異なる悪役令嬢が虐めてこなかった部分だけは原作通りにしようとしたのだ。令嬢たちを操っている事にしてまで。

 そんな相手を助けたい、なんて思うはずもない。むしろ遠慮なく破滅への道に突き飛ばせる。


 ヒロインらしかぬ行動をしなければ、どうにかなったかもしれないのにね。


 ……まぁ、あのまま皆の事が大好きだから誰か一人なんて選べないよぅ、皆で仲良くしよ? みたいな逆ハーレムをやっていたところで、どのみち無理が生じていたのだから、悪役令嬢がいなくてもあれはいずれ破滅してたんだけれども。

 今はよくてもいずれ結婚の話が出た時点で破綻するのなんて目に見えてるもの。



 どちらにしてもヒロインちゃんは破滅した。実は密かに助けていたはずの相手を悪役に仕立て上げた事で評判は地の底にまで落ちたし、そうでなくとも複数の男性を恋人どころかホストみたいに侍らせていた時点でアウト。

 だからこそ舞台から強制退場させられる事になってしまった。


 その後のヒロインちゃんがどうなるかはわからない。引き取った家も、そのままヒロインちゃんを元いた市井に返すなんて無責任な事はできないだろうし、それやった場合色々と周囲の噂がね……だから、そうね……考えられるのはどこかの家に後妻として売り払う事かしら? 見た目はそれなりに良いのだし、それ以前にもうヒロインちゃんを庇護する理由は引き取った家にもなくなってしまったのだから、あとはもう金になるかどうかよね。

 娼館も可能性としては有り得るけど、そういうところで下手に複数の男を手玉にとって娼館まるごと掌握されたらそれはそれで後々面倒な事になるかもしれない……とヒロインちゃんを引き取った男爵家の人が考える可能性はそれなりにある。ヒロインちゃんにそれができるかどうかは別として。


 そうなると、最悪死んでも問題のない、黒い噂まみれな家に後妻として売り払う方がマシ、と考えるかもしれない。


 どちらにしても、ヒロインちゃんの今後の人生は決して明るいものではないし、茨の道どころか有刺鉄線まみれの道ね。まぁそれでも人生逆転できる可能性はゼロではないのよね。相当難易度高くなるだろうけれど。



 対する私はと言えば。


 確かに魅了魔法を使ったという事で多少のお咎めはあったけれど、しかし殿下との受け答えの際に言った事で、情状酌量の余地あり、となったので別に罪人になったりもせず、強いて言うならちょっと多めの課題を出されただけで終わった。なにせ学園内での出来事だったから。


 魅了魔法を使ったのが私利私欲のためであったならそうはならなかったけど、私は周囲のヘイトを集めまくっていたヒロインちゃんを守るためにどうにか悪意を薄めようと考えた結果魅了魔法を使ったのだと証言している。


 更に、自分に魅了をかけてその力を周囲にふるわなかったのか、という殿下の問いにだって、そんな事をして好かれても虚しいだけ、と答えた。


 結果として私の評判はヒロインちゃんとは逆に下がる事もなくむしろ上がる結果となったのだ。


 ほら、あれよあれ。不良が雨の日に捨てられてる犬とか猫を公園で拾って世話をするのを見た相手が実はあの人いい人なのでは……? って思っちゃうマジック。あれと同じ事が起きたの。


 実際私はヒロインちゃんを守っていたけれど、でもヒロインちゃんが私が先導して嫌がらせをしているのだと思い込んだ結果悪い噂を流してくれたものだから、殿下が魅了魔法を解除する魔道具を使うまでは私の周囲の評判は間違いなくろくでもなかったに違いない。

 ところが蓋を開けてみれば、方法はどうあれ人を助けるために魅了魔法を使い、更に自分に使うような真似はしそうにない態度、魅了魔法を使った事に対するお咎めも素直に受け止め反省する様を見せたので、むしろ以前より私の評判は上がったと言ってもいい。



 攻略対象の皆さまと私の仲が縮まったか、と言われると別にそうではないけれど別にそれはどうでもいい。

 むしろ。

 ヒロインちゃんが退学した後、ヒロインちゃんに嫌がらせをしていた令嬢たちの右往左往する様を眺める方が楽しいので。


 えぇ、性格が悪い、だからお前は悪役令嬢に転生するんだ、などと言われたとしても、なんとも思いませんね。


 だって彼女たちは私に濡れ衣を着せていたのだもの。

 本来私は一切ヒロインちゃんに何もしてなかったのに、彼女たちはヒロインちゃんが私のせいだと思い込んだのを、訂正するでもなくむしろ好都合とばかりにしていたのだから。


 その結果どうなったかといえば。


 憧れの君とも言える攻略対象の方々からも、軽率に殺人を犯そうとするような娘である、と思われたようなのよね。まぁそれは私が魅了魔法をヒロインちゃんにかけて悪意を薄めようとした、って発言のせいなんだけど。


 別に殺すまでは考えてなかった人もいたかもしれない。でも、嫌がらせをした時点で、魅了魔法によって悪意が多少抑えられた結果、と受け取られる事になった。本心から殺すつもりはなかった、と言ったところでそれは魅了で殺意が薄まったからだ、と周囲は考えるわけで。


 攻略対象じゃない他の令息たちからも、嫉妬で相手軽率に殺そうとしてた、って思われたみたいで、今までは彼女の事ちょっといいなと思ってるんだ、なんて言ってた言い方悪いけどモブの令息たちからも距離を取られている。


 まぁそうよね、可憐な花だと思っていたら、実はとんでもない毒草だった、みたいな話だもの。


 もしそんな令嬢と結婚にこぎつけたとして、何かの折に夫婦喧嘩とか、ともあれ妻になった女性が夫を邪魔だと思うようになったなら。

 ヒロインちゃんに嫌がらせをしていた時以上に狡猾に始末されるのではないか。

 そんな風に最悪の未来を想像しちゃう人だって、出ちゃうわよね。



 魔道具で魅了魔法が解除された時、令嬢たちは何の反応も示さなかった。当然よね、だって彼女たちは魅了にかかってなかったもの。でも、あの時それを指摘する人は誰もいなかった。事実として魅了魔法は魔道具で解除されたのだから、魅了魔法なんてないとは言えないし、かといってあの場で自分はかかっていません、なんてアレックス様の言葉を遮ってまで言える者はいなかった。


 後になってから、あの時魅了魔法にかかっていなかったと思うのです、なんて言ったところで、あの時既に魔道具は使われた後なのだから、では魔道具が偽物である、と言いがかりをつけていると疑われかねない。

 彼女たちが何を言ったところであの時点、魔道具で魅了魔法は解除された。それは紛れもない事実なのだから、後から何を言ったところでその事実を覆すのは難しい。自分がかかっていなかった証明をするのは不可能。解除される前であれば、まだ何らかの手段はあったかもしれないけれど、要は手遅れ。


 たとえ本当に魅了魔法にかかっていなかったとしても、今からそれを言ったところで、自分の立場が悪くなったから何とか言い逃れしようとしている、という風にしか見られない。



 ヒロインちゃんに嫌がらせをしていた犯人として濡れ衣を着せていました、ごめんなさい。


 そんな風に謝罪されたなら私も一応その人については、まぁ橋渡しするとかお手伝いしてもいいかなと思ってはいるけれど。


 だーれも謝りにこないのよね。

 それどころじゃなくて、そもそもそんな事思い浮かびもしてないだけかもしれないけれど。



 ヒロインちゃんは学園を退学して、ヒロインちゃんを虐めていた人たちの評判も落ちた。

 私だけは一度落ちた評判が復活したので、その差もあって私の家には婚約の話がこれでもかとやってきた。


 見る人が見れば私の一人勝ち。もしくは漁夫の利かもしれない。


 ただ、まぁ。


 今まで私の事を悪役令嬢だと思って見てた人たちが掌返したようなものなのもあるから、正直あんまり嬉しくはないわね。


 いっそのこと、同年代以外とか、お母様の生まれである隣国からとか、そっちから結婚相手探した方がいいような気もするわ。


 うーん、どうせならもっと悪役令嬢らしい事しておけばよかったかしら……なーんてね。

 最小限の労力で周囲の足を引っ張りまくったのだから、これで良しとしましょう。

 次回短編予告

 やってはいけない、という事をやった結果。

 ただそれだけの話。


 次回 その婚約破棄、禁止されてます

 後から縋りつくくらいなら、実行前に思いとどまればよかったのに――

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クチャクチャ食いとか食べこぼしとか、原作のヒロインがやらないような事やってる時点でもう原作のヒロインじゃないですもんね。 そもそもが漫画や小説やゲームに登場するヒロインって、原作者が作り上げたキャラ設…
濡れ衣を着せようとした令嬢たちにきっちり報復できたのが良かったです!
この設定で百合展開じゃない…だと…? > ヒロインちゃんが好きになった相手は悪役令嬢が恋する相手だった ヒロインちゃんナルシストエンドのカオスを想像してました。 バッドエンドだと友達0人てのも伏線かな…
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