フラ先生が頭を抱えた。どうやら限界のようだ!
「で?」
「うん?」
「……お前、何の為に遠くまで行ってきたんだよ。」
「あ、消費魔力を見るためでした!」
……あ、やっぱり。減ってない。
というかそもそも、魔力を流していない。魔力構造を登録もしていない。
これ、スキルだ。
「先生、これ魔法じゃないや。スキルだよ。」
「……はぁ? んなスキルあってたまるかよ……!!」
「実際あったんだけど……。」
「魔力量が減ってねぇのか?」
「うん。そもそも魔法構造の登録がないし……魔力流してもいないもの。」
「……どこにスキルで転移する奴がいんだよ……。」
「ここにいるよ?」
「はぁぁぁ……。」
先生がわかりやすく天を仰いでいるよ。
なるほど。人は理解を超えすぎるとああなるのね。
え? ボクは大丈夫なのかって?
もう諦めてるからね!!!
ボクのスキルはそういうもんなんだよ??
っていうか、正直そういう予感はあったんだよね。
だってよく考えてみると、魔法で構造を定義する場合、転移魔法っていうのはものすごい難しいっていうのは容易に想像がつくんだよね。
それこそクリアの魔法構造みたいに、単一の魔法構造の中に魔法構造が複数含まれる程度の性能じゃたどり着けないレベルだし、更にそれに加えて、自分が着ている服だとか装備まで定義するとなると……
正直何十もの重複構造どころじゃない、重複術式を組み上げないといけないのよって話しになるんだよ。
それに対して、スキルっていうのは結構自分の触れているものごと効果を及ぼす物が多い。
例えば武器スキル然り、槍という武器を認識してスキルが発動するって事は、使用者がそれを認識しさえすればスキルが効果を及ぼすんだから、今回のように転移がスキルであれば、ボクが必要なものが一緒に飛ばされるっていうのは頷けるんだよ。
……まぁ、後ね。この転移スキル。実現したら異常なのはわかってるけど、シミュレーションゲームの機能だと考えると……普通でしょ? だってシミュレーションゲームに歩いて移動する工程ってないもんね? うん、自分でもおかしい事言ってるのはわかってるけどね。もうそういう物なんだよ……。
「あ~~~~、とりあえず。使い勝手がいいのはわかったが、戦闘じゃ使いにくいのも確かだな。」
「うん。発動に時間かかりすぎるし、何より意識が飛んじゃって余程安全な場所からじゃない限り難しいね。暗殺とか奇襲くらいには使えるかも?」
本当は慣れたら使い物になりそうなんだけど、そんな事口走ったら、またスパルタでものすごい特訓が降りかかってきそうで怖い……。
しかもどうなるのかわからないスキルで事故なんか起こそうものなら……
うぅ、想像しただけで身の毛もよだっちゃうよ。
「……お前、姿消せるよな?」
「消せるね……。」
「もうあたしお前が怖いわぁ……。はぁ。」
「なんかボクも怖くなってきたよ……。でも行ったこと無いとこにはいけないよ?」
「ああ、そうなのか? もうそんなのどうでもいいくらいの条件だな。」
「……まぁ冒険しててボクだけ転移なんかできてもあんまし意味なんてないしなぁ。そういう裏のお仕事でもしない限りすごい大活躍はしないかも。」
「就職先が増えたな。」
「そんなとこに就職しないよ?」
「……はぁ。まぁそのスキルは一旦置いておいて次だな。他人の固有魔法を扱えるのかどうかだ。」
「精霊魔法だっけ?」
「ああ、あたしのはな。とりあえずそれで登録できないかやってみるか。」
「うん。」
グリエンタールの技能変換ウインドウを呼び出す。いつもと同じ工程。
[取得に失敗しました。必要取得条件を満たしておりません。]
「あ、取得に失敗しましただって。条件を満たしておりませんって、前にも出た奴だ。」
「……それってつまりは条件を満たせば取れるって事だよな?」
「あ……確かに。」
「……頭いてぇ……」
おお、今度はわかりやすく頭を抱えているね。
今日は本気で先生が参っているようだね。
全部ボクのせいだけど!
「先生だって取れればいいって言ってたじゃない。」
「言ってたけどよぉ……。お前規格外すぎるんだよ……。ほんと。もうこんなこと全部忘れて暴れたいわ……」
「暴れるのはクエストに出てからにしよ?」
「ああ。そうだな。ちゃっちゃと新しい固有魔法の検証もやっちまうかぁ。」
「う~ん、先生。固有魔法の方は魔法構造を読んだらある程度効果が解ったりもするから、今日は先に外に出ちゃうっていうのは? 先生もストレス発散したいでしょ?」
「……はぁ。そんなに周りに気ばっか使わなくてもいいんだぞ? ここでは貴族とか平民とか関係ないんだからな。」
「貴族だからってよりも、ボクもそろそろ纏まった収入とか欲しいかも。」
実際、クリアの固有魔法の効果を魔法構造から読み取ったように、魔法構造を書き出して見ればある程度予測がつくものだとは思っているんだよね。
今まで科学の知識を魔法構造に応用できていたのは、魔法構造として書き出されている構造陣が科学の知識とマッチするから。色々とそれを読み取って、前世の知識と照らし合わせるだけで予測がつけやすいのだ。
「んじゃぁ先にクエストでもしてくるか。気分転換だ。本当に転移スキルが戦闘に使えないのか。新しい固有魔法が戦闘用であればその検証。レティーシアは槍でなるべく戦闘するようにな。危なくなるまで使えとは言わんが折角だ。ここで少しでもスキル取得まで近づけておくぞ。」
あ、結局転移スキルは戦闘に使えるのか検証はさせられるのね。
「は~い。じゃあ、ボク寮に戻って着替えてきていい?」
「ああ、そうだな。ちゃんと防具も作ったんだ。今のうちに慣らしておかねぇとな。あたしはメンバー集めといてやるから冒険者ギルドに集合な。」
「は~い。」
先生が珍しくフル装備に着替えだした。
兵科に置いてあった武器ストックまですべて次元収納に入れている。
思ってたよりもストレスがたまってるっぽい。
「ふ、フラ先生はどうしたんだい? あんなフル装備普段しないのに。そんな過酷なとこにこれからいくのかい……?」
兵科研究室にいた先輩に話しかけられる。
「う~ん。先生もたまには暴れたいのかな?」
「固有魔法ってのは1からやってかなきゃいけないから大変そうだね。」
「それが、結構順調なんだけどね~?」
「そうなのかい? まぁ先生もここんところ根を詰めてるみたいだったからさ。多分、冒険者の方の活動はほとんどしてないんじゃないかなぁ。」
「あ、そうなの?ボクのせいかな?」
「いやいや、そういうわけじゃないよ? 1年生の兵科メインの子達も研究室に入りだして、兵科の研究室生も増えたしね。単純に学園の仕事が多いんじゃないかな。研究室2つ分持って、今まで冒険者としての活動ができていたことが既にすごかったんだよ。」
「あ~なるほど。」
「まぁ、それとなく見といてあげてよ。あれで結構疲れてそうだし。」
「ボクが先生を? 見てる余裕あるかなぁ……。」
「あはは……確かに、クエストとはいえスパルタだからなぁ。」
「先生とクエストに出るといっつも変なことが起きるんですよぉ。」
「あはは……それはどちらかというと君のせいだと思うけど……。」
「…………え??」
ちょっと先輩。それ思ってても言っちゃいけないやつなんだよ??
「……先生も行っちゃったけど、行かなくていいの?」
「あ! 行かないと! じゃ、ボク着替えに戻るから・・・またね、先輩。」
「いってらっしゃい。」
……いってらっしゃいって言われた。
なんかホームみたいで嬉しいかも。
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