まさかこんなところに来るとは思いませんでした。。。
「まずはドレスを作りますわ」
シルにそう言われ連れてこられたのは、『アルカンシエル』と大きく書かれた大きなお店。
シル曰く、「ここはアルクのフラッグショップですもの。一番大きいお店ですわ」
とか言いながらそのまま入っていこうとする。
どうみても平民が入っていいような店構えではない。
「ま、まってシル、こんな高級そうなとこ入れないよ! 作法も礼儀もお金もないのに!」
「お金は大丈夫ですわ。レティの後払いですもの。作法も礼儀も何も、貴女は顧客なのですから、堂々としていらっしゃい」
そういわれて逆に店の内側に引っ張られてしまった。
「いらっしゃいませ!」
店員さんが総動員で挨拶をしたかと思うと、大急ぎで一番身なりの良い男性が近づいてきた。
「いらっしゃいませ。シルヴィアお嬢様。本日はいかがいたしましょうか?」
「お久しぶりね、バーン様。今日は……そうね、私ではないのだけれど、彼女に合ったドレスを作りたいの。お願いできるかしら?」
その男性が顔を上げてこちらに挨拶をしてくれる。
「もちろんですとも。こちらへどうぞ」
店内は、入り口に大きなショーウインドウがあり、全面ガラス張り。さすがにまっ平らではないけれど、こんな大きな無色のガラス、この世界で見たことない。どれだけのお金がかかるのか想像もつかない高級品であることは間違いない。
その店内は、壁一面にサンプル用のドレスが展示されており、店のスペースには、人形に着飾られたドレスがまるで舞っているかのように展示されている。
すべての商品に値段が一切書いてないのだけれど。
びくびくしつつ、店内の奥の部屋に通される。
小さいスペースがあり、着替えるためのカーテンが隅に設置されている。
店主が パンパン と手を鳴らすと、色とりどりのドレスを持った女性店員がぞろぞろと現れた。
「こちらが、今年最新の流行モデルでございます」
場の空気に圧倒されすぎて声も出せない。
「そうね、レティは真っ白なのだから、ドレスは色があった方が映えるわ。これなんかどうかしら」
一番近くにあった真っ赤なドレスを胸の前に持ってこられる。
いつの間にかボクの前に姿見が置かれている。
ほんと、いつの間に……
「あら、やっぱり似合うじゃない。ちょっと着てみなさい」
「き、着方なんかわからないよっ」
と、小声で抗議してみる。もう、何をどうしていいのかわからずパニックだ。
「大丈夫よ。着せてくれるから」
ピシャッとカーテンが閉まったと思ったら、後ろに女性の店員さんが二人。既に制服が地面にたたんであるんですけど、これボクのでしょうか?
シルもカーテンの内側におり、既にはだけられたボクを見て一言。
「……先に下着を見てきてもよかったわね。まぁいいわ」
失礼な!平民で下着をはいてるだけボクを褒めてほしいよ!?
いつも部屋で見かけるシルの下着は、どれも彩りは綺麗だけど、大胆すぎて寒そうだし、ボクが着るのにはとてもじゃないけど恥ずかしいと思う。
大体文明レベル的に、下着なんてつけていない文化なのかと思っていたし、実際ボクのパパとママに聞いたら、あるにはあるけど、わざわざお金を出して買いはしない。と言っていた。
ただ、そうとはいえ学園の制服を見て、下着を着けないわけにはいかなかったのだ。
だって普通のスカートなんだもん……
文明の発展は遅れているのかもしれないけど、魔法による発展という側面がある分、科学しかなかったボクの前世とは違う発展を遂げているようだ。
それにしたって、ボクが買えるのなんてたかがしれている。
肌色の太ももからお腹まであるタイツ風の下着と、胸を押さえつけるだけの布切れだけ。
……あれ? もしかして下着も買わされるの? ボク。
そんなことを考えていたら、またカーテンがシャッと開き、光が入ってきた。
姿見に真っ赤なドレスを着たボクが映っている。
レースのような裁縫に、大胆なカットの胸元。
透けた両腕。
くびれたウエスト。
え? 胸の上半分出てない? これ。どうやって引っかかってるの?
あとお腹のコルセットきつ過ぎない? これじゃあボクパーティでいっぱい食べられないよ……
「その……これはちょっと大胆すぎるとい――」
「これ、いいわね。似合っているわよ。レティ。バーン様、このドレスをレティに合わせて頂戴。後、次にあれも合わせてみたいわ」
……ボクの知らないところでどんどん話が進んでいく。
シル、前に話を遮るのは淑女じゃないって言ってたのに……
あ、遮るどころか聞いてないのね。そうですか……。
シャッ
カーテンが閉まった。
シャッ
あ、開いた。
薄い青色に、さっきの赤よりは露出の少ない花柄のドレス。
立体的な花もあしらわれ、足元も長い。
「地味かしら?」
「地味じゃない! こっちで!」
「せっかくのプロポーションと、珍しい出で立ちをしていらっしゃいますので、先ほどくらいのほうが映えますね。ですが、こちらもお似合いです。用途によっては必要でしょうか」
用途!? 用途ってなに! ドレスって1着あればいいんじゃないの!?
「それもそうね。これも包んで頂戴」
まってぇ! まってぇぇ! シ……
シャッ
カーテンが閉まった。今度はカーテンの中にシルがいない。
あれ、おかしいな。ボクが着けてきた下着が持ち去られていくよ?
変わりに赤いちっちゃな下着が着けられていく。試着かな?
え? これ下着じゃないの? 上、隠れてませんけど??
持ち上げてるだけですけど!?
下も布面積小さくないですか!? こんなの紐じゃない!
そのまま制服を着させられた。あれ?
シャッ
カーテンが開いた。
向こうでシルが精算しているのが見える。
……金貨!? 金色の硬貨が見えるよ!? えっ何枚あるの、えっと……ボク、こんなに稼げるの!?
「下着はサービスですので」
いらないよっ!!!
後ろにいた女性の店員さんにそう言われ、今まで着ていた下着が戻ってきた。綺麗に畳まれて袋に入っている。恥ずかしすぎる。後すごいスースーする。
「さ、次いくわよ。次は下着ね」
「今サービスで貰ったわ! もういらないから!」
「下着は毎日換えなさい。後10組くらいあっても使うわよ」
使わないよーーー!
ドレスは、寸法を合わせなおして、後日学園の寮に届くそうだ。
届かなければいいのに……
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