30層を過ぎたあたりで慣れてきちゃったんだよ。。。
「うぇっ……はぁ……はぁ……。オロロ……うぇぇ……ぺっ……」
「あらら、大丈夫? 回復するねぇ」
体の疲労だけ強制的に回復させられる。
もう胃には何も残ってないので胃液しか出てこないのが気分的にはまだ楽なんだよ……?
やっと5層についたけど、無くなった酸素は戻らないから頭痛は激しいわ、突然こみ上げる嘔吐感は無くならないわで全く持って順調ではない。
「……さ、酸素……酸素……は自分で作ろう……はぁ。頭痛い……。」
しょうがないので酸素の魔法構造だけ辞書から抜き取って自分で吸引する。
すぅ……はぁ……。
「来たぞ。」
うぅ……。落ち着いてもいられない……
今回は敵の群れが来る前に回復されてしまったので槍を作って構えた。
武装したゾンビの群れが襲い掛かってくる。
モンスターの殆どはメルさんが処理している。
メルさんはとても綺麗な魔法を使う人だった。
魔水晶に登録してある魔法を使うには、魔力を魔水晶に流し込むだけなんだけど、その際必ずと言っていいほどロスが生まれる。
一番判りやすいのは、適正の無い魔法を魔水晶に登録する時だろうか。
魔力をずっと流し続けて登録するのに、適正がある無しで登録時間が変わるという事は、適正の無い魔法を登録する際にはものすごい魔力をロスしているということになる。
それと同じで、登録してある魔法を探したりだとか、起動したり、思うように設置したりしていると、それ相応に魔力をロスしていくものなんだけど……。
メルさんにはそのロスが一切ない。
すっごい綺麗に魔法が発動して、常に思うように結果を出し続けていることが、今日始めて会った他人のボクにですらわかる。
ボクにはちょっと真似できない芸当。
長年の経験によるものだろうか?
ボクの場合、ちょっと魔力量が多いからそこまで気にしなくてもいいっていうのはあるんだけど、それは魔力量に関してだけ。
魔法の発動速度、思い描いた魔法との結果誤差。
これらは緊迫した状況になればなるほど差として現れる。
あと、単純にスタイリッシュでとってもかっこいいんだよ。
「ええいっ!やぁっ!!ていっ!!」
……。
「……えいっ!」
……。
……かたやボクはこんな状況なんですけどね!!!
ね、ねぇ? 後1匹なんだよ?
見てなくて手伝ってくれたっていいんじゃない??
っていうかこの時間にみんなで休憩されると、ボクの休憩時間はどこへ?
「ほら、レティーシア早くしろ。2日で帰れねぇぞ?」
「うぅ……。」
武装したゾンビを槍でつつくけど、刺されど刺されど全く活動をやめてくれない。
あっ、首落ちた……のにっ!?
まだ動いてるんですけど!!!
ああん、うわぁ!! 首もまだ動いてるぅぅぅ!!
もうっ!! 気持ち悪いよぉっ!
槍はいくら壊れても作りなおせるんだから、もう槍の刀身に爆炎構造でも追加しちゃえ。
「2重構造・創造炎岩魔法術式・爆 炎 槍」
今まで持っていた槍を地面で蠢いている頭に突き刺して、新しい槍を作り出す。
「ていっ!」
パァン!!!
びちゃ。
「ぶべっ!」
「うわっ! きたなっ!!! ぺっぺっ!」
「おい。そんな危険な槍を作るな。槍の訓練にもならんだろうが。」
「ってか魔法武器も即時登録、即時発動なの? この子……。」
「むむぅ。神に愛されている子であるなぁ……。兵士としても超一流を目指せそうである……。」
「はい、れてぃーしあちゃん。このタオルで拭いていいよ?」
ウルさんありがとう……。ついでにお歳は何歳ですか?
「29歳だよ?」
あ、しまった。駄々漏れスキルが……。
疑問が一つ解消したしいいとしよう。
「人族じゃないんですか?」
こうなったら無礼ついでだよね。
「……ひとぞくだよっっ!!」
「うそぉ……。」
ボクより年下にしか見えないんですけど……。
むぎゅう。
メルさんがよくやってくるようにボクもやってみた。
ウルさんだと丁度いい。
おお、なるほどっ!!
これは……いいかもしれない。
なんというか……母性本能が擽られるよ!
ウルさん可愛い!
歳はボクの2倍だけどっ!
「ぷはっ!! ちょっと! れてぃーしあちゃんまで何するのよ!? 29歳のわたしが15歳の子にこんなことされてたら悲しくてたまんないよっ!!」
た、確かに……。
「ご、ごめんなさい。つい……。」
「ついじゃないよっ!」
ぷんすかぷんすか!
って頭の上に文字が浮かんでいるようだ。可愛い。
「レティ子ちゃんもウルの抱き心地に目覚めちゃったかぁ。ちっちゃくて可愛くて、いいわよねぇ。」
「はい……。よかったです!」
「あると君~!わたし、れてぃーしあちゃんにまで子供扱いされたら立ち直れないよぉ……」
うぐ。アルト様に逃げるなんて。卑怯な!
「あーはいはい。お前ら。まだ5層だぞ? できれば今日中に100層。明日の昼には200層に着きたいんだ。こんなとこで時間くってられん。いくぞ。」
「はーい。フラも抱いてみればいいのにぃ。」
「や、やめてよ! 潰れちゃうから!」
「ああん? そんなに抱いて欲しいのか?」
「フ、フラ!! ほら、早く行こう! 時間もないんだろ?」
アルト様が慌ててフラ先生を促す。
「……けっ」
確かに本当に潰されそうだよね。
先生が走り出すと、またこれまでの通りメルさんはホーラントさんの肩へ。ウルさんはアルト様がお姫様抱っこをして走り出す。ボクだけ自分で走る惨めさったらないんですけどね。
その後、50層まで同じことを繰り返して走りぬいた。
50層で一旦止まったのは、50層に沸くレアモンスターの素材が欲しいのだそうだ。
ダンジョンはダンジョンらしく、10層ごとにレアモンスターが沸くのだそうだけど、基本的なフロア構造は変わらない。ただ単純に、10の倍数の階層のどこかにレアモンスターが沸くらしい。
レアってだけではなく、その階層に比べると段違いに強く、厄介なモンスターなんだそうな。
ボスフロアみたいな広大なフロアになどなっていないせいで、細い通路を歩いていたら、ふと自分の真後ろに沸くかもしれないという危険もあり、レアモンスターの沸く階層はかなり危険度が高い。
本物のボスフロアは100層ごとにあるらしい。
ボスは一度倒すと最低でも1日はリポップしないらしい。リポップ間隔が長いモンスターは年単位の奴もいるらしく、とれる素材なんかは超高値で取引されてるとか。
今回のダンジョン攻略の際に通る100層ボスは1日単位くらいのリポップらしい。
ボクは倒されている事だけを切に願いたいと思う。
結構このダンジョン、人の気配はするんだよね。
先生が最初に注意してくれたとおり、ボク達は今回トレインして各階層を抜けてきてるから大通りしか通っていないせいもあってか、誰一人として会ってはいないんだけど。
ボスモンスターに比べ、10層ごとのレアモンスターは階層に1匹くらいは大抵沸くらしい。探せばいつかは見つかるということになる。
50層ではレアモンスターを探し歩く。
ここってやけに糸が多いんだよねぇ……
うぷっ……また顔に絡まった……。
あああ……もう背中がゾクゾクするよ……。
やだよぉ……。絶対アレがでてくるじゃん……。
ここのレアモンスター、見ずに次に行っちゃダメかなぁ……。
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