アレス外伝4
ティアラがはじめてだった。
「旦那様?ぼ〜っとしてどうされました?熱でもあるのかしら、大変!」
ティアラが俺の額に額をくっつけてくる。
かわいい。
「熱は……ありませんわね」
幸せだ。
「あ、奥様。アレス様がいらっしゃいました」
ぐっ。
その言葉に幸せだった気分が霧散する。
でも、アレスに勝ったからな。ティアラは俺のもんだ。へへ〜んだ。
ザマアミロ、と上から見下げるようにアレスを覗き込んでやった。
きちんとティアラの腰を抱き寄せてな!
ははん、このチビめ。
お前が15,6歳だとして、これから背が伸びるのだとしても、現時点では俺の方が男としての魅力は上だからな。
お前が成熟する頃に、ティアラは完全に俺の物になっているんだからな!
「今日は2人でいるんだね。もしかしたら、仲直りでもできたのかな?」
部屋に入ってくるなり、アレスめ。強がりを言いよってからに。
ふふん、悔しいか?俺とティアラが仲良くしていて。
さらにぎゅっと抱き寄せた、のを、サラリと外されてティアラがアレスに駆け寄った。
ティ、ティアラさん?
目から出ているのは涙じゃない。
断じて涙なんかでは、ない!
うっ、くそ!
「はい、アレス様。そしてこれがご注文の品ですわ」
ん?ご注文?
この布の塊か?
なんだ?
「助かったよ。もう6カ月だっていうのに何も用意してなくてね。ミザリーがうるさいのなんのって。私、裁縫だけは苦手なんだよね」
……話が全く見えないのだが。
「アレスティーナ様がお子様をお産みになったら、教えてくださいませ。わたくし、お子様の顔を見に行きたいですわ」
「もちろんだよ。ティアラ」
って待て待て待て待て。
名がアレスティーナで、銀髪。
まるで少年のような出で立ちの、女性って……。
まさかな!
早々、こんなところにいるわけないだろう。王族が!
だよ、な?
これにて完!
シーラを育てたのはミザリーでした!
ティアラと交流をもちながら、堅苦しい王族ではなく育ての親の影響を多大に受けて、シーラはあのような子になってしまったわけであります、はい。




