49話 待ってる
ええ、皆さんが読むより先にお詫びを……。
水清、実は戦闘シーンなるものを書くのが好きではなかったようでして……。
はい!
なんか1話足りなくないかい?って感じですね!
ムフ(o´罒`o)
もう、手に力が入らない。
結論から言うと、この部屋に私とお姉ちゃん以外はいなくなった。
うん。
これ、本当に神装備だったわ。
衝撃はあるけど、傷や打撲にはならない。
あんなすごい相手であっても。
魔力も体力もカツカツにはなるけれど、命が削られるわけじゃなく。
「ははは、疲れたね〜」
お姉ちゃんはあんな大魔力を放ち続けてたのに、まだ動けるらしい。
「アレスは頭使ったから、きっと私よりお疲れだね」
お姉ちゃんが頭を優しく撫でてくれる。
動けない私はお姉ちゃんにずるずると引きずられ、魔法陣まで辿り着いた。
バンッと転移すると、そこは元のふわふわ神殿。
ああ、和む。
幸せ空間で、もう寝たい。
疲れてる身体にこのふわふわは……思考が、止まっちゃ、う。
「ねえねえ、私、行っちゃうよ。旦那にも子供にも会いたいし。ねえ、アレスも心残り、あるでしょう?」
遠くからお姉ちゃんの声が聞こえる。
でも、内容が理解できない。
「ラメル、私達はもう少しここに居られるから、あなたはもう行きなさい」
「貴女まで理性の保てる時間が無くなっちゃうわよ」
「う、ん。アレスをお願いします」
後ろ髪を引かれるような、お姉ちゃんの声。
……なんで、そんなに心配、そう、なのかな?
近くから、気配が1つ消えた。
「アレス、ほら起きて」
う、ん。うるさいなあ。今、すっごく幸せなのに。
「アレス、ほら、身体から色が溶け出しちゃうから!」
溶け出してもいいでしょう?
「アレス!戻れなくなってしまうわよ!会いたい人がいたでしょう?」
会いたい、人?そんな人、いたかなあ。
「え、と。ほら!あの大っきい、ラージ君、だっけ?」
ラージがなんだってのよ。
「アレスが帰らなかったら死んじゃうって!今剣持ってるのをラメルが止めてるわよ!いいの?」
ラージが死んじゃうって……好きにすれば、いい、いいいいいいくない!!
私の意識が覚醒した。
まさしく、いま覚醒した。
心臓バクバク鳴ってるもん。
「おはよう、アレス」
「……おはようございます」
母様、だ。
「ちゃんと起きれたみたいね。さあ、時間がないわよ」
うん、わかってる、んだけども。
「そうそう、これね。貴女が一度でも伴侶と関係を持っていたらここで授けてあげられたのだけど、貴女の中に希望がまだいないから、これを持って行きなさい」
「これは?」
母様の手に乗っているのは、キラキラと輝く、あの時の消えてしまった時の母様の光、みたいだ。
「ラメルにも持たせたのよ。ふふ。本当は、ラメルと運命との格が違い過ぎて、儲けることができない希望をもう1人、と思って」
慈愛に満ちた母様の顔は、渡されたキラキラみたいに輝いている。
「貴女はこれを持って行きなさい。これは私から貴女への欠片。貴女の希望、よ」
キラキラと一緒に、母様が私をぎゅっと包み込んだ。
うう、母様と離れたくない。
私は母様を知らずに育ったから、もっと母様に甘えたい。
このまま、ずっと。本当は。
……でも、ラージにも会いたい。
心から。
ラージがいなかったら、私、戻ってないんだろうな。
きっと、ずっとここにいたね、母様。
でも、母様に託された希望があるから。
私を信じて、ずっと待ってるだろう彼がいるから。
「私、行くね」
私はもやもやの中に飛び込んだ。
「今度は2人でいらっしゃい。……ラメルは2人で来れないから、もう会えないだろうし。アレスとラージ君と2人で、いつか」
母様の何か声をかけてくれたのはわかったけど、なんて言ってるのか聞こえなかった。
「おっそい!!」
大きな声と、大きな身体で。
地上に降り立った私を、力一杯抱きしめる温もり。
「心配した」
「うん」
「でも、帰ってきてくれてありがとう」
「うん」
「愛してる」
「うん……私も」
私はここで生きていく。
彼と一緒に。
これにて本編は完結です。
『ナメージコさん』に出てくるアレスの子に繋がる番外編を後ほど載せて、終了します。
アレスに育てられたら、シーラちゃんがあんな風に育つわけないですもんね、はい。
長い間、覗きに来てくださってありがとうございました
(இдஇ; )




