同じ作業は疲れるぜ
「おっ!珍しい事もあるもんだ。年相応にお絵描きかい?」
俺が嬢ちゃんに声をかけると何故かクレアがコッチを睨んで来やがった。
「お嬢様がお絵描きなんてした事、一度も有りません!」
そう言って見せてきたのは
「なんじゃこりゃ?」
なんとも言えん四角い荷車だった。
「押手も無けりゃ引手も無いヘンテコな荷車はなんじゃ?」
「車、いえ自動車よ!」「ジドウシャ?ひょっとして蒸気馬車の事か?」「馬が居ないのに馬車って名付ける馬鹿とは違うわ!」
良く見りゃアチコチに線が引いてあり、他にも細かい絵と文字が書かれていて
「ひょっとして、こりゃあ物作り用の見取図か?!」
「設計図って言うのよ!」「へぇ〜」
やっぱりこの嬢ちゃんは凄ぇぜ!?
「なぁ?マジでどっからこんなん知ってくるんだ?」「神のお告げよ!」「...マジか?!」「信じないで下さい」
・・・・・クレアが居ないと信じちまいそうだぜ・・・・・
嬢ちゃんを良く見ると必死に書きなぐってて、多分何も考えずに答えたんだなと言うのが分かった。
今は何か小さい物を書いているようだが...
「この細い渦巻きは何だ?」「ソレよ!ゲビック!」「何がだよ!」
急に嬢ちゃんの眼に色が戻り俺を見ながらさっき言った渦巻きの絵を指差して
「まずはコレを作りたいの!多分かなり難しいわ」
そう言う嬢ちゃんに俺は「そうかい?」と言って錬金術を使って身近にあった銅塊からバネってやつをかたどった。
「!?これは?...だめよ!戻らないわ!」
「そりゃそうだ!金属なんだから変形させたら戻らねぇよ!」
「戻らないとダメなのよ!わかり易く言えば粘りが必要なの!」
「粘り?...まさか金属に持たせる軟性の事を言ってんのか?」
この嬢ちゃんはまたとんでもねぇ事を言い出した。つまり合金しろって事だ。
「嬢ちゃん...ソレは普通の鍛冶師にゃ荷が重い仕事だって「分かってる!だから難しいってさっき言ったわ!」...あぁ言ってたわ」
だがソコは俺には関係ねぇ...銅以外の鉱石も幾つか取り出し合金させてから成形する。
指で詰まんで抑え戻るのを確認してから嬢ちゃんに渡す。
嬢ちゃんは何度か試してから俺の方を向き抱きついてきた!
「凄いわ!ゲビック!これ作れるようになるのに何年かかるか分からないと思ってたのよ!」
嬢ちゃんの喜ぶ顔を見ながら改めて思った。そう、嬢ちゃんの言う通りコレは錬金鍛冶師である俺じゃなきゃここまで簡単に作れねぇ...だが、それをやる前から理解してるこの嬢ちゃんは...やっぱ神のお告げ...信じちまいそうだぜ。
「もっと!もっとなのよ!ゲビック!」「いい加減にしてくれ嬢ちゃん!」
俺は今、公爵家で使ってる馬車の乗り心地を良くする為【サスペンション】なる物を作らされている。
「お、終わらねぇ...」
後で知ったが、大量に作らされたサスペンションは...高値で売られていたそうだ。
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