その72
「依頼の方が高いのかい」
「ええ、基本的にギルドでの買取は一定になっておりまして…変動はしますけど」
「なら依頼の処理を最初からやった方が楽なんじゃねぇか?」
「一応規則でして」
成程、きちんと本人からの了承がないといけないってことか。お堅いがそこら辺のをちゃんとやっているからこそこのギルドに賑わいようなんだろうな。荒くれ者みたいな見た目の奴らもいるのに真面目に列に並んでるし騒ぎを起こす奴も居ねぇ……まぁ多少の喧嘩ごととかは大好物みたいだけどな?特にあの酒場に集まっていた奴らとか。
「規則なら仕方ねぇな」
「ご理解いただけてありがたい限りです。では、こちら98400ミールのお渡しになります」
「あいよ、お蔭でまた魔魚用の道具が買えそうだわ」
「あはは、また良いのが釣れることを祈っております」
「ありがとうよ!」
そのまま報酬金をマジックバッグに仕舞い、受付に礼を言ってカウンターを後にする。まだまだ待っている奴らは居るから、事が済んだら早いところ抜けないと顰蹙を買っちまうからな…せっかく予想外の報酬金を受け取って気分が上がってんのに、わざわざ自分自身で機嫌を損ねる行為をする必要なんかねぇだろ?
「にしても本当に予想外の大金だ」
これならグローブどころかロッドすらも買えるか?ただそれでも最低限のが買えるってだけだがな……本当に金のかかる買い物だわ。リアルでも趣味の範囲だってのに知らぬ間にドンドン高級品になっていくもんだからなぁ…だから趣味なんだがね?
「んじゃあまた道具屋にっと」
上機嫌で報酬の使い道を考えて、カウンター横のスペースから動き出す。すると道具屋の前でおろおろとしている人影が見えた――――ありゃシキルの嬢ちゃんか?
「何してんだ?」
「あ、ゴンゾさん!少し前にギルネットがギルドを出ていったと聞いたんですけど…」
「あいつなら酒場の奴らと騒ぎに出てったぞ」
「またですか…もう」
「心配なら追いかけたらどうだ?場所はなんとなくわかるんだろ?」
「確かに場所は分かりますけど……特に心配はして「そういや酒場から出てった奴に若い姉ちゃんも居たな」行ってきます!」
おお、脱兎のごとくのスピードで出てったな。恋に染まった人間はああも強くなれるのか…
「ゴンゾさん」
「うおッ!?…ってお前か」
にゅっと道具屋の方からリールが首を出してきた。顔のいい奴が首から先だけを出してるとちょっとホラーだ……その内斧とかで壁破壊して出てこねぇよな?
「シキルさんが駆け出して行ったようですが?」
「ああ、ギルネットの喧嘩に若い姉ちゃんがついて行ったって言ったらな」
「良い趣味してますねぇ」
「お前さんほどではないぞ」
それに若い姉ちゃん自体はついて行ってたしな……隣に若い野郎も居たが。
嘘は言っていない。
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