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その65

 試しに右腕に力こぶを浮かべて船員たちの声援に受け答えると、周りの野次馬たちからさらに良い筋肉だと飛んできた。正直ここにいるやつらは俺よりも筋肉が発達してるやつらばかりなんだが…おい、今肩からクレーン付いてんのかって言ったやつは誰だ。

「はいはい、エールとつまみのエスカベッシュだよ!」

「お、助かる。収拾がつかなるところだったぜ」

「この馬鹿たちの野次なんか話半分でもか聞かなくていいのさ!それとこの支払はギルドが持つよ!」

「ありがたいが良いのか?」

「良いんだよ!一人前になった祝福みたいなもんさ!」

「んじゃありがたく」

 思わぬところで金が浮いたな。ギルド直営の酒場だから安いんだろうが、それでも使う金が減るのはありがたい…今値段確認したら、ギリギリ酒の金が払えるぐらいしかなかったからな!


「なんか助かったって顔してるぞ?」

「そりゃ手持ちが今ないんでな」

「成程ねぇ…因みに幾らだ」

「200ミール」

「エールしか頼めねぇじゃん!……全部釣り具につぎ込んだのか?」

「あったりめぇよ。魔魚ってのが釣れるのが分かればそれにつぎ込むのは基本だろ」

 まぁ買えたのはラインとかだけどな。それでも釣れたんでナニモイウコトハナイ。


「はぁ~俺もそうだけど、おっちゃんも中々に馬鹿だなぁ」

「はん、ギルドカードを何度も割ったやつには言われたくねぇぞ」

「まだ4回だっての!」

 ’んだギル!また壊したのか!’

 ’シキルのやつにまた怒られてたぞー’

 ’流石うちのトップ会員でありながら一番の問題児!’

 ギルドカードを壊したのが一部に広まっていたのか、野次馬たちがギルネットを煽りだす。つーかこいつがこのギルドで一番ランクが高いのかよ…問題児ってのは納得がいくわ。


「うるせぇぞお前ら!それに一番の問題児はあの外界人だろうが!」

 ’あいつは強制退会になったんでもういませーん!’

 ’なんならこの場にいる外界人はそのおっちゃんだけだぞ’

 ’他のやつらは何か探しに行って誰もいないぞ!’

 ああ、町に全員行ってんのか。正直中型魔魚を釣ったのがやつらに知られたら粘着されそうでめんどくさかったんでありがたい。常識のあるやつならヒントぐらいを教えてもいいんだが、あの迷惑がられてるやつらには教えられんな――――ってかあのプレイヤー、ギルドから消されたのかよ。


「おいおい、もうあの阿保は退会させたのかよ…サブマスがやったのか?」

 ”そう聞いてますぜギルの兄貴”

「やっぱそうか」

「なんで部下が知っててお前が知らねぇんだ」

「細かいことは気にしないのがポリシーなんでな!」

 何とも都合のいいポリシーだことで……まぁお蔭で誘導するのは楽で助かるがな。

酒場の野次馬達は基本脳筋。


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