その59
目的のグローブの下にはリニューアルの表示とともに25000ミールの表記がある。本当に良い値段してやがる…ただまぁロッドやリール――そこにいる店員じゃなくて道具の方な――に比べればまだ値の上がり方は緩い方か。
「ラインやらと比べて普通のやつと差が少ないのはなんでだ?」
「それは魚との触れ方ですね。グローブであれば直接的に触れるものなので付与が少なくて済むのですが、釣り竿となると間接的な物となって付与が多くなってしまうんですよ。それにロッドやラインなどは魚種や釣り場で使い分けもされるので、更にそれを対応させるとなると」
「必然的に手間がかかるってわけか」
「そんな感じです!と言っても安いからと言って手を抜いているわけじゃないですよ?」
「だろうな。そのお陰で俺は依頼を達成してきた訳だしよ」
恐らく使う素材やらで付与にも限界があんだろうな。そうじゃなければ、安いロッドに最強の付与をして終わりだ。それが出来ないからこそ良い素材を使った釣り具があったりするわけだ……本当に現実みたいに青天井だけどよ!ジャイアントスパイダーの牽引糸を加工したラインなんざ100メートルで10万ミールだぞ?何に使うんだこんなの。
「そう言えば何を釣られたんです?いくらか気分が良さそうですが」
「そうか?まぁ50センチ付近のやつが釣れたんで楽しくはあったな」
「50ですか!?あのラインと釣り針だけでですか…凄まじいですねぇ」
「おうよ。ま、グローブと餌のおかげでもあるがな」
やっぱその場に居るやつらが食ってる餌での釣りは効果抜群よ。2倍か4倍弱点かは知らんが針に刺して放れば即食いつくレベルだから楽でいい。まぁ長いこと待った後でのでかい引きってのも俺は好物だがな――うん?俺にも効果抜群だなこりゃ。
「餌ですか」
「磯場にゃ大量に貝やらが潜んでるんでな…っとそうだ」
丁度ここに依頼主がいるんだから伝えておくべきだよな。
「ただ微動だにしないな」
「シキルさんに御用で?」
「ああ、依頼されたペルセベスを採ってきて査定に回したんで、それを伝えたくてな」
「ペルセベスですか~あれパスタとかに使うと美味しいですよね」
ほう解ってるじゃないか。あの甲殻類なのに貝っぽい触感と風味がする身は洋食との相性が最高なんだ。そのまま塩茹ででも旨いが、少量で茹でて残った汁をパスタに和えるだけでも飛ぶぞ。
「こ」
「ん?」
今まで微動だにしていなかったシキルの嬢ちゃんがギギギと動き出したかと思えば、リールの方に目を向けて何か言い始めようとしている。
「どうしたのー?」
「こ、子供服ってどこに売ってるかしら!?」
……だめだこりゃ。
飛躍しすぎです姉御。
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