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29.操り人形はメガネをくいっと、ね。

「じゃあねー、サイード様ー」


「ええ。それでは」


 学院の門から出てサイードと別れる。

 バイバイと手を振る私にサイードはメガネをくいっとして去っていく。


「……」


 私はその後ろ姿を見守りながらそのまま門の前で待機。

 サイードは一度も振り返ることなく消えていった。


 うん。我ながらいい出来ね。


「……いいよ」


「行ったか」


 私が声をかけるとグランバートが門の陰から出てくる。

 今はちゃんとクロード君だ。


「……それで?

 いるのか?」


「うん、いるね。

 剣を腰にさげた男が二人。

 学院の向かいの建物を挟んだ、一つ向こうの道でサイードのあとを尾けてるわ」


 グランバートの問いにこくりと頷く。

 さっそく感知結界に引っ掛かってくれた。

 隠匿魔法モリモリの誰も気付かないグレースちゃん特製感知結界。当然のように感知された方はそれに気付かない。

 学院を出たから遠慮なくそんなチート魔法も使える。あ、ちゃんと私の結界が学院にかからないようにしてるよ。結界っていっても円じゃなくて流動的に形変えられるようになってるから、私のは。

 一応エミーワイス先生の見てるとこではやりすぎた魔法は使わないようにしないとね。まあもう手遅れな気もするけど。

 先生のことは信用してるけど、グランバートに比べるとまだ信頼が薄いからね。

 下手したら殺されそうだもん。


「まさか本当に来るとはな」


「よっぽど先生に言い負かされたのが悔しかったんだろうね」


 サイードを尾行してるのはまず間違いなく、朝のモノクルサイードパパが差し向けた刺客。

 まさかその日のうちに仕掛けてくるなんてね。あらかじめ交渉が失敗したとき用に用意しといたのかね。

 こっちも急いで今日のうちにやってみて良かったよ。

 サイードが学院から寮に帰らないって知ったら、それはそれでまた騒ぎそうだもんね。


「……しかし、本当によく出来てるな、あれ。

 外見は俺がやったが、まさか魔力までまったく同質とはな」


「んでしょ? まー、素体は先生に用意してもらったんだけどねー」


 寮へと歩いていったサイードの方へと目をやりながらグランバートが呟く。

 あのサイード。じつは本物じゃないのよ。

 てか、人間でもないのよ。

 先生が用意してくれた魔導躯体? とかいう魔法の効果をそのまま反映してくれる人形に私がサイードと同じ魔力を込めて、そんでもってグランバートの変装魔法をあの人形に応用してかけたのよ。

 本来は軍の訓練なんかに使われるやつみたいだけどね。


「名付けて! 汎用人型決戦兵……いや、やめよ。サイードさん激似だけど本人じゃないよ人形なり!」


 ネーミングやりすぎて怒られたくないからね!


「……最初の方がまだマシなネーミングだったような……」


「それはダメなのさ!」


 グランバートは知らないのよ。大人の怖さを! 坊やだからさ!


「……気付くのが遅れた。これは突っ込んだら面倒なやつか」


 うん、そうだね!


「!」


「どうした?」


 そんな漫才を繰り広げてたらさっそく動きが。


「一人増えたね。

 さっきの二人に合流した。

 この人は魔法が使える。先の二人は魔力もない普通の人ね」


「指令役か」


 そーゆーことよね。

 でも、ちょっと引っ掛かることがある。


「とりあえず私たちも行きましょ。

 あの人形、あんまり離れすぎると操作できなくなるから」


 先生によると魔力の強さとかに関係なく操作可能距離が決まってるみたい。

 あらかじめ設定した人の魔力以外は受け付けないようになってるし、魔力さえ供給してれば半永久的に活動させられるみたいだから、それぐらいの縛りは当然よね。


「グレース。指令役が通信魔法の類いを使おうとしたら分かるか?」


「分かるよー」


「よし。そのときは教えてくれ。妨害する」


「おけー」


「じゃあ、いこう」


「おー」


 そんな感じで私たちはサイード人形を尾行する連中を尾行することに。


 うーむ。てか、私たちのコンビってわりと無敵艦隊すぎんか?
















「森に入ったな」


「まー、やっぱここでやるよね」


 学院から寮へと続く道。その中にある人通りの少ない森の中の、舗装された道を歩くサイード。

 男たちはそんなサイードを森の中に紛れて尾行している。

 前に私がサイードとやりあった場所だ。

 エミーワイス先生の眼もないし、結局ここが一番バレずに何かをするのにいいのよね。


「……この場所は、何か対策をした方がいいな」


「そーねー。帰ったら先生に言ってみよ」


「そうだな」


 まー、先生なら知っててそのままにしてる気もするけど。

 悪さしようって奴をわざとここで行動させるように。

 だとすると何か対応策を設置してるのかも。私にも分からないけど。


「……」


 サイードくん人形は無言でテクテク寮へと歩いていく。

 速すぎず遅すぎず、いつものサイードの速度をイメージして……っていってもよく分かんないから、何となくカツカツカツカツって感じするからそんなイメージで歩かせる。時おりメガネくいっも忘れずに。うん、我ながらサイードっぽい。だいぶサイってる。


「おい。あまり押すな」


「いや、しゃーないやん。一応は二重尾行なんだから」


 道を歩くサイードを森に潜んで尾行する奴ら、をさらに森に潜んで尾行してる私たち。

 隠匿魔法で完全に存在を隠してても、やっぱり潜んでないと不安じゃん?


「……てか、なんか私たち潜んでばっかじゃね?」


「それは、確かにな」


「ふふっ」


「ふっ」


 思わず二人で吹き出す。

 グランバートみたいな銀髪長身イケメンと密着して潜むのにちょっと慣れてる自分が怖い。


「っと。ごめん。もうちょいそっち行って」


 あの魔法使える人、わりと警戒範囲が広い。

 きっとその網に引っ掛かっても気付かれないけど念のためね。


「いや、こっちももう……って、どこ触ってるんだ」


「狭いんだからしゃーないやん。てか、だからそれは本来なら私のセリフだから」


 どこ触ってんのよー!狭いんだから仕方ないだろ!誰だ!しまった!にゃー。なんだ猫か。 までがワンセットだから。

 でも思いがけずに触った貴方の臀部の感触はまた更新しておきます。ありがとう。


「……そろそろか」


「そーねー」


 そんなバカみたいなやり取りをしてたら、サイードの周囲に人気(ひとけ)がなくなった。

 サイードくん人形は相変わらずカツカツ歩いてる。

 尾行してる連中は二手に別れた。魔法使えるのが先回り。他二名がそのまま後ろから。これは指示役ってか、サイードと話す役かな。

 だとしたら、


「……あの魔法使えるのがサイードの知り合いだったらマズいかも。私は知らないから話しかけられるとバレる」


 まー、バレても速攻で捕まえればいいんだけど、妨害する前にわずかでも通信系の魔法を使われたら面倒よね。

 こっちは私が感知してからグランバートに伝えて、グランバートがそれを無効化するっていうタイムラグがあるから。


「……なら接触した瞬間にやるか。

 本当は抵抗するサイードに実力行使をした瞬間の方が言い訳がたちやすいんだがな」


「まー、仕方あるめえ」


「俺は魔法が発動する直前でないと無効化できないが、おまえはそもそもの通信を妨害するような魔法は使えないのか?」


「んー、微妙。

 できなくはないけど、やったらそれが向こうとか周囲にバレるかな。

 普通の感知魔法と同じ感じね」


 たぶん、魔力をチャフ的な感じで周囲に撒けばいいんだと思う。光の魔法の応用だろうけど、魔法として出力しなくてもいけるかな?

 でもそれは周囲の人間にそれをやってる人がいるよって言ってるようなもんだから、今の状況では適さないかな。


「そうか。ならば仕方ない。

 奴らがサイードに接触してきたらすぐにやろう」


「おけー」


 私たちが欲しいのはサイードの妹のマイアちゃんを誘拐した犯人の一味、の役だ。

 で、私たちはこの尾行犯をそれに仕立て上げるつもり。

 それには、この人たちがサイードに手を出そうとしたっていう既成事実が必要なのよ。そこを私とグランバートが救出したことにしてね。あ、もちろん私たちだってことは内緒ね。

 そうなればこの人たちはマイアちゃん誘拐犯の最有力候補。

 それを捕らえてエミーワイス先生が尋問するって手筈。

 その尋問には王国騎士団からの出向であるカイゼル先生にも同席してもらって、奴らの証言を王国に提出してもらうんだって。

 マイアちゃん誘拐の件は王国にも報告されてるだろうから、犯人っぽい人の報告は必須。

 んで、尋問の前にエミーワイス先生と私とで捕らえた人たちに口裏を合わせてもらえるよう『説得』する。ま、結局は魔法で、だけどね。

 で、騎士団団長であるカイゼル先生同席のもとでの犯人の証言は証拠として王国に認められる。

 証言の内容は「確かに自分たちが誘拐した。で、兄であるサイードも誘拐しようとして捕まった。目的は言えない。だが、仲間はまだいる」って感じ。


 つまり私たちには、私たちじゃない犯人と、延々と逃げ続ける架空の犯人の二種類が必要なのよ。サイードたちを匿い続けるためにね。

 いない犯人を探し続けることでサイードたちを実家から遠ざけ続ける。私たちが組織を壊滅させるまで。

 それがエミーワイス先生の策の大筋なんだって。


「……」


 ……んでね、捕らえた偽物の犯人たちは騎士団への引渡し前に自害してもらうことにするらしい。まあ自害に見せかけて殺すみたいだけど。


 人を魔法で操って証言させ、用が済んだら始末する。

 先生もグランバートも、簡単にそう結論を出した。

 私なら痕跡を残さずに操作することができるだろうから、って……。


「……」


 いや、そりゃあね。できるよ? できちゃうけどさ、なんかそれって、どっちが悪なのか分かんないよね。


 ……やっぱりこの世界の命は軽い。

 私がいた世界の、少なくとも私がいた国とは比べ物にならないほどにあっさりと人が死ぬ。

 もしかしたら、いつか私もこの手で……


「……おまえは気負わなくていい」


「!」


「やるのは俺とエミーワイスだ。

 おまえは魔法を使うだけ。

 殺すのは俺たち。

 だから大丈夫だ」


「……うん」


 グランバートが私の気持ちを察してくれたことは嬉しい。

 嬉しいけど、やっぱり価値観の違いは感じちゃう。

 私が直接やらないからいいって話じゃない。

 人が死ぬんだ。

 私たちの計略によって。

 しかも結局は先生やグランバートが手を下してる。


 私たちが、人を殺すんだ。


「……いけるか? グレース」


 グランバートは優しい。

 私をとことん気遣ってくれる。

 でも、その優しさのひと欠片も与えられない人もいる。

 分かってる。

 マイアちゃんとサイードを助けるため。悪いのはあいつら。

 それは分かってる。


 分かってるけど、そのために簡単に人を殺す話を決めていく二人に正直ついていけなかった私もいる。


「……グレース?」


「あ、うん。へーき。いつでもいけるよ」


「……そうか」


 でもそれは受け入れるしかない。

 この世界はそういう世界。

 自分たちが生きるために他人を殺す世界。


 ま、普通はそうなのか。

 本来、生きるのはそんなに甘くないはずだから。

 私がいた所がたまたま平和すぎたのか。


 私は、命の軽いこの世界に慣れていかないといけない……のかな。


「……動いたぞ」


「うん」


 って、今はそんな哲学ってる場合じゃないか。

 私たちが失敗すればサイードとマイアちゃんが死んじゃうかもしれない。

 それはイヤだ。

 クラスメートとその妹。それに対して悪い奴ら三人。

 私の命の天秤はそれに簡単に答えを出したんだ。


 二人を助けるためにあいつらを捕らえる。

 それが私の答え。


 今は、集中しないと。


「サイード様」


 一人で先行していた魔法を使える人がサイードの前に姿を現す。

 あの感じは、やっぱり顔見知りだ。


「……」


 サイード人形を止める。

 メガネをくいっとさせて相手を黙って見つめるようにして待機。


「!」


 そこでグランバートが自分と私に変装魔法をかけた。

 グランバートが背が低くなって私は背が伸びた。髪の色も変わって、私は狐のお面、グランバートは狼のお面を被ってる。


「べつに逃がさないよ?」


「念のためだ」


 まあ顔は見られないに越したことないか。

 なんか秘密の部隊みたいでカッコいいし。


「!」


 サイードを黙らせてたら、後ろの二人が剣を抜いてサイードの後ろに出てきた。

 これはラッキー。


「グレース。俺をあの男のもとまで飛ばせ。

 直接掴めば全ての魔法を無効化できる」


 魔法を使える人がサイードと会話する前に剣を持った男が出てきたことで、グランバートは当初の予定通りに奴らを誘拐犯に仕立て上げられると結論付けたみたい。

 会話する前に奴らが威嚇行動に出てくれて助かったわ。


「おけー」


 マイアちゃんを運んだときみたいに風の魔法でグランバートを浮かせる。

 グランバートならそんなに手加減しなくてもいいはず。


「ふぁいあー!」


「は? うおっ!?」


 んで、浮かんだグランバートを魔法使える人に向けて発射。

 名付けてグランバートミサイル!


「くっ!」


「サイードさ……なっ!?」


 あ、やべ。

 思ってた以上に速度を出したせいでグランバートが防御魔法を使わないといけなくなっちゃった。

 とっさのことでそれには私の隠匿魔法が及ばず、相手に魔法の行使が気付かれた。そんで猛スピードで飛んでくるグランバートにも気付いた。


「くそっ!」


 でも向こうは慌てて障壁を展開してくれた。

 即座に応援を呼ばれてたら危なかった。


 男の前に透明な障壁が現れる。

 

 てか、プロ野球選手ばりの速度で投球されたグランバートを目で追いながら障壁を展開できるってことは、いくら身体強化しててもそこそこのレベルの魔法使いってことよね。


「ふっ」


 猛スピードで飛ばされて最初は驚いてたグランバートだけど、相手が障壁を展開したのを見ると不敵な笑みを浮かべながら右手を前に突き出した。

 速度を落とさずに自分にかかる圧を軽減してるんだから、この人もやっぱりスゴいよね。


 そして、グランバートはそのまま障壁に突っ込む。


「なっ!?」


 グランバートが触れた障壁はそのまま静かに消滅した。

 粉々に砕かれるとかじゃなくて、フッとその存在が消えてなくなった。

 無効化ってのは魔法の存在自体を消しちゃうってことなのね。強すぎだろ。


「くっ!」


 男は慌ててグランバートに迎撃魔法を撃とうとするけど、猛スピードで突っ込んでくるグランバートにそんなのが間に合うはずもなく。


「うわっ……ぐっ!」


 グランバートは相手の右手を伸ばした手で掴むと、そのまますれ違いながら体勢を整えて止まる。

 飛ばした時点でグランバートにかけた風の魔法は解除してある。

 つまりグランバートは慣性だけで飛んでたことになる。ブレーキはかけてない。

 だからグランバートが止まるために使ったブレーキは、掴んだ男の腕だ。


「ぎゃあっ!」


 後ろに大きく引かれた男の腕は肩からボキリと折れる。


「……ふんっ」


「ぐあっ!?」


 グランバートはその手を掴んだままで、男の背中を蹴り飛ばしながら地面に組み伏せた。

 反対側の腕の関節を決め、折れた方の腕を離して、倒れてうつ伏せになった男の背中に体重をかける。


「……動くな」


「っ!」


 冷たい瞳。

 剣を抜く必要さえもなく。容赦の欠片もない。

 これが戦場でのグランバート……。


「く、くそっ!」

「てめえっ!」


 サイードの後ろに控えてた二人が慌てて男を助けようと動く。


「おっと」


「うおっ!?」

「なんだっ!?」


 私は地面から土の柱を二本出現させた。

 柱が出てきたのは奴らの足元。

 土の柱はあっという間に二人をそれぞれ取り込んで、顔だけを出した状態で硬化。


「う、動けねぇっ!?」


 男たちは文字通り指一本動かせない状態に。

 魔法を使えない一般人はこれで十分動きを封じることができる。


「……っ!

 ま、魔法が、使えないっ!?」


 一方、グランバートに捕まった人は魔法で脱出を試みるも、魔法自体が使えずに戸惑ってた。


「一丁上がりね」


「ああ」


 一人は骨折しちゃったけど、それ以外は無傷で完了。

 まあ上々じゃないかしら。


 ……どうせ殺すんだとしても、なるべく痛い思いはさせたくないもんね。


「というか、おまえ少しは加減して投げろよ」


「ごめんごめん。貴方ならいけると思ってさ」


「ったく」


 ジト目のグランバートかわよ。

 お互いの名前は呼ばないのがこういう時の鉄則よね。


「さてさて」


「うおっ!」


 土の柱を地面から分離。

 宙に浮かせたままで私の横につけてグランバートと合流。

 サイード人形も合流させる。


「……俺たちをどうするつもりだ」


 グランバートに抑えられてる男がこちらをギロリと睨み付ける。

 こえー。こえーっすよ。おしっこチビりそう。

 でも落ち着いて。

 私は謎の狐面女。クールなシゴデキよ。


「答える義理はないわね」


「くっ……」


 そう。これでいいわ。

 余計なことは言わない。

 たとえ逃がすことはなくても余計な情報を与える必要ないもんね。


「サイード様っ!

 私を見捨てるのですかっ!

 幼い頃からお世話をしてきたこのハウザーをっ!」


 どうやらこの人はハウザーっていうらしい。


「……」


 当然、サイード人形は何も答えない。


「くっ……恩を仇で返すつもりか。

 所詮は没落貴族のガキか」


 無言を貫くサイードにハウザーが悪態をつく。

 こっちが本性なわけね。


「世話? 恩?

 虐げてきただけでしょ?

 それが自分に返ってきただけよ」


「……ちっ」


「おい。余計なことは言うな」


「……はいはい」


 グランバートにたしなめられた、けど言わずにはいられなかった。

 どうしてこういう奴らはこうなんだろう。

 自分がやられてイヤなことを平気で人にする。

 それで自分がやられたらオカシイと文句を言う。

 なんでこう自分勝手にいられるのか。


 ……ま、それはこっちも同じか。

 あっちの正義はこっちの悪。こっちの正義はあっちの悪。

 世の中どこもそんなもんよね。


「……もういこう」


「ああ」


 なんだか暗澹たる気持ち。暗澹がどんな意味かちゃんと知らないけど、なんかそんな感じ。

 長居は無用。

 さっさと帰ろう。


 ……と、思ってたら、



「あれあれー? これはいったいどういうことだろー」


「!」



 聞き覚えのある呑気な声が私の背後に響いたのでしたとさ。



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グレースは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ!(迫真)
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