表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です【コミカライズ】  作者: 灰銀猫
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/214

事後処理

 ヘーゼルダインの独立を願って蜂起したダウンズ男爵とメアリー様たちは、その日のうちに捕らえられた。ラリー様が仰っていたように彼らには最初から監視が付いていて、その動向は全てラリー様に筒抜けだった。王国と隣国双方の危ういバランスの上に成り立っているヘーゼルダインは、昔から諜報活動が活発なのだという。残念な話だけどそうしなければ生き残れないのもまた現実だった。


「それで、これからどうなりますの?」


 一派を捕らえた後着替えと簡単な食事を済ませたラリー様の元には、私やギルおじ様の他、ロバートやレックスなどの部下が集まっていた。応接室でユーニスの入れるお茶を前に今後の事を尋ねた。


「まずは彼らの周辺の捜査と処分、メアリーらがやっていた法外な治療の被害者への救済、国境周辺への監視と警備の強化、あとは……あちらのレアード王子にも今回の件を尋ねる必要があるだろうな」

「そうですか」


 予想していたとはいえ、ただ彼らを捉えればいいだけでは終わらなかった。彼らがやって来た違法な治療の後始末も、確かに早急に対処する必要があったから。あれからもメアリー様への苦情を訴える陳情書は上がってきて、中には家族の治療のために全財産を投じた者もいたから。


「独立派への処分はどうしましょう?」

「そうだな。必要以上に厳しくすれば余計な反感を買う可能性もある。彼らの主張を否定することも出来ないだろう」

「ですが、王家には……」


 さすがに報告しないわけにはいかないわよね。反乱を隠せばそれはそれで余計な憶測を呼ぶわ。


「王家にも報告は必要だな。これも気を付けないと余計な疑いを持たれる可能性もある。疑いを軽くするためにも、首謀者らは早々に王都に送る必要があるだろう」

「うむ。あいつらはあちらでも色々やらかしておったようだしな。我らも犯罪者を屋敷に滞在させたのにか変わりない。その辺も詳しい報告が必要だろう」


 ラリー様は彼らを捕まえるために滞在させたと仰っていたけれど、王都がそれを言葉通りに受け取ってくれるかはわからないわね。


「それに関しては申し訳ございませんでした、義父上」

「いや、謝るならわしじゃなくシアにじゃろう?余計な心配をかけよって……」

「……」


 おじ様の追及にラリー様が黙ってしまわれて、私は居心地の悪さを感じた。いえ、最初から彼らを捕まえるための偽装だったのだから、別に謝って貰わなくてもいいのだけど。そりゃあ、最初に少しくらいは教えて欲しかったとは思うけれど今更だし。


「そうですよねぇ……お嬢様に余計な心配をかけたくないから隠せと仰るから隠しましたが……お陰で余計な手間がかかりましたからねぇ……」

「そうそう、そのせいで完全に誤解されていましたし……」

「……」

「今回、上手くいったからよかったものの……」

「相手の動きがこちらの予想外だったら、どうするおつもりだったんですか?」

「すまない……」


 どうやらレックスとロバートの会話から、この件を私に伏せるようにと仰ったのはラリー様だったのはわかったわ。心配をかけたくなかったらしいけど、その心遣いを有難いと思う一方で対等な立場ではないのだと言われている様で気は晴れなかった。


「ちゃんと話をしろ、ローレンス」

「……はい、義父上」


 おじ様がいつも愛称で呼んでいる相手を名前で呼ぶ時は、かなりお怒りの時だ。私も子供の頃、おじ様に悪戯をやり過ぎて叱られる時は、愛称ではなく名前で呼ばれたから知っているわ。でも、改まって謝れと言われると、私の方が緊張してしまいそう。


 その後も事後処理についての話し合いが続いたけれど、私はラリー様との事がどうなるのかが気になってしまって気もそぞろだった。メアリー様との間には何もなかったのだろうけど、それでもラリー様がメアリー様に最後にかけた言葉が耳に残っていた。お二人の間には私が知らない、私が及ばない長い年月の交流があった。しかもラリー様がはっきり恋仲だったと仰るからには、そこには私とラリー様の間にない、特別な何かがあったのだろう……


 でも、それも仕方のないことだとは思う。ラリー様は私の倍近くも生きていらして、私たちが知り合ってからまだ半年も経っていないのだから。しかも私は王家が勝手に決めたというだけの婚約者だけど、一方のメアリー様とは恋仲だった過去も含めた十年という歳月があったのだから。




「……浮かぬ顔じゃな、シア」


 あの後、ラリー様がロバートたちと今後の対応を協議すると仰ったため、私はおじ様と共に応接室を辞した。部屋に戻ろうとした私に声をかけたのはおじ様で、時間があるなら茶でもどうじゃと誘われた私は、特にする事もなかったためにその誘いを受けた。


「メアリー嬢との疑いも晴れたのに、どうした?」


 ストレート過ぎるおじ様の問いに、私はどう答えていいのか迷って曖昧に笑みを浮かべるしか出来なかった。確かにメアリー様への態度は彼らを油断させるためのものだと仰っていたし、何もなかったのでしょうけれど……それがわかっても気持ちはすっきりしなかった。


「自分でも、よくわからないんです……」


 全く情けない事に、今の自分は何をどうしたいのかが全く分からなくなっていた。疑いは晴れたし、反乱も屋敷内の事で留められたし、メアリー様たちの罪も明らかになって万事解決、何も問題ない筈なのにもやもやしている自分がいた。


「すまんかったな、色々と心配をかけて。じゃが……今回の騒動の中には、シアの暗殺計画も含まれていたんじゃ」

「あ、んさつ……ですか?」


 おじ様から発せられた言葉は意外過ぎて、すぐに理解できなかった。暗殺って、私が?なぜ?私自身にそれほどの価値があると思えず、私は話の続きを促す様におじ様を見つめた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ