表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です【コミカライズ】  作者: 灰銀猫
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/214

思いがけない客

「お嬢様、よろしいですか?」


 翌日のお昼、珍しくメイナードが慌てた様子で私の元にやってきて、大変な客が来たと告げた。ユーノスと共に顔を見合わせながら、今日の予定はどうだったかしらと思い返したけれど来客の予定はなかったわよね。メイナードはとにかく至急、旦那様の応接室にいらしてください、と言ったため、私は益々困惑してしまったわ。何かしら、結婚式の中止を知らなかった貴族が到着したとか?


 とにかくお話はお部屋にいらっしゃってからとメイナードに急かされ、私は急いで身支度を整えるとラリー様の執務室に向かった。


「ラリー様、アレクシアです」

「入れ」


 誰だろうと思いながら入室すると、小さな子を連れた男性がラリー様の正面に座っていた。足を組んで座っている様子からしてラリー様と同等程度の高位貴族かしら? 一礼した後、ラリー様に促されるまま隣の席に座って相手と正面から対峙した私は、あることに気付いて驚きを隠せなかった。


「まさか……レアード王子殿下?」


 そこにいたのは隣国のレアード第四王子だった。長年小競り合いを続けている隣国の王子が堂々と護衛も付けずに敵国の屋敷にいるなんて普通あり得ないわよね?失礼と思いながらも相手の顔をもう一度見たけれど、黒髪に赤紫の瞳のそのお顔は数年前に王宮の夜会で会ったのと同じ人物だった。


「さすがはセネット侯爵令嬢、いや、今は女侯爵殿だったかな。覚えていてくれて嬉しいよ」


 驚きを隠せずに凝視したことを咎めることなく、レアード王子はさも楽し気に声を立てて笑いながら自身が王子であることをお認めになった。確かに二年ほど前に何度か、エリオット様の婚約者として挨拶はしたけれど……笑える状況じゃないわよ。ここでラリー様が一言命じればレアード王子を捕らえる事だって出来るのだから。


「ああ、ご心配なく、セネット侯爵、いや、アレクシア嬢と呼ばせて頂こうかな。あなたの婚約者殿は卑怯な真似はなさらないでしょう?何と言っても最も王に相応しいと言われた方だからね」


 この状況でその様な台詞を吐いた豪胆さに、私だけでなく周りの者もぎょっとしてしまったわ。ラリー様にちらと視線を向けると、正に苦笑と言った苦々しい表情を浮かべていらっしゃった。あながち間違いではないけれど、人を食ったような態度は反感を買うには十分だわ……私の方が冷や冷やしてしまった。


「ラリー様、これは一体……」

「それは、シアの方が知っているんじゃないのか?」

「私が……?」


 何だか疲れた表情でラリー様がそう仰ったけれど見当もつかなかったわ。レアード王子とは数年前に夜会で会っただけで、それっきりなのよ。それ以外で接点などないはずだった。



「いやだなぁ、アレクシア嬢。俺と君の運命の出会いをもう忘れてしまったの?」

「は?う、運命…?」


 運命の出会い?いつ?どこで?突拍子もない、しかも変に意味深な言い方に私は言葉が出なかった。ラリー様の前で誤解を招くような言い方はやめて欲しい…

「ええ~ほら、昨日、街で」

「街で…って…あ!」


 記憶を辿った私が心当たりに行き着いて声を上げると、あ~思い出してくれた?とレアード王子が嬉しそうに言った。昨日出会った子連れの男性とは、確か…


「君には昨日、この子の怪我を治して貰ったからね。言っただろう?必ずお礼をさせて頂くと」

「礼って…それは…でも…」


 確かにそんな事を言っていたが、私はもう会う事はないと思っていた。これまでに治療した達だってそんな感じだったからだ。そもそもお礼を求めてやっているわけではないし、領民は領主にとってはある意味家族のようなものだ。一々お礼をして貰っていては意味がない。


「シア、私にもわかるように説明して貰えるかい?」


 ラリー様にそう言われた私は、簡単に昨日の経緯を話した。ラリー様は私が貧民院での治療の後、子どもの治療をした話はロバートから聞いていたようで、あの時の…と仰った。私の事に感心がないのかと思っていたけれど、一応報告は受けていたらしい。


「昨日は本当にありがとう。まさかあんなに綺麗に治るとは思わなかったよ。感謝しかない」

「いえ…お役に立てたのなら幸いです。その後は…」

「ああ、もう問題ないよ、ほら、この通り」


 そう言ってレアード王子は隣に座っている女の子の頭にポンと手を乗せた。女の子はレアード王子にはにかむ様な笑顔を向けて、どうやら治療後は問題はないように見えた。


「それでね、お礼をしたいんだけど…アレクシア嬢は何を望む?」

「お礼…と言われましても…」

「ああ、急に聞かれても困っちゃうかな?」

「いえ…治療に見返りを求めるつもりはありませんでしたから…」

「そう?でも、神殿の聖女様とやらは、しっかり報酬を貰ってるよ。この子は私の妹の忘れ形見でね」

「そうでしたか、妹姫の…」

「私としては何よりも大切な存在だ。それを救ってくれたんだ。多少無茶な要求でも叶えたいと思っている。そうだね…君が辺境伯との婚約を解消したい、と言うなら協力しよう」

「な…!」

「えっ?」


 ラリー様との婚約を解消?思いもかけなかった提案に、私はレアード王子の真意が全く分からなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ