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婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です【コミカライズ】  作者: 灰銀猫
第二章

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両親との再会

 エリオット様たちの側を離れた後、エスコートされてラリー様の知り合いの方々と挨拶を交わした。ラリー様を慕う方は多く、今でも王都の貴族たちとの交流は続いているのだと教えてくれた。滅多に王都にも王宮の催しにもお出にならないから人付き合いはされないのかと思っていたけれど、華やかな場には出ないだけで個人個人の交流は続いているのだという。


 副宰相様や騎士団長様は王都にいた頃から仕事以外でも懇意にされていたそうで、今でも定期的に情報を交換し合っているのだと教えてくれた。なるほど、会話する様子は公人としてというよりも友人に近い気がするわ。皆様、一様にラリー様が王都を離れた事を惜しまれていた。


「やっとローレンス様も身を固められるか」

「姫君が生まれたら、是非息子の嫁に頂きたいものですな」

「本当に。あのクラリッサ様の孫に当たられるアレクシア嬢とのお子ともなれば、国中の貴族が婚姻を願い出そうですな」


 何だか凄く期待されている様だけど……どう反応していいのか困ってしまい、私は笑顔を張り付けるしかなかった。既に婚約しているし結婚式まで日もないのだけれど、具体的な事を言われてもピンとこない。困ったわ……


「アレクシア! ここにいたのか」


 急に大声で名を呼ばれて私の身体がビクッと跳ねた。ああ、この声にどうしても身体が強張ってしまうわ。かれらも今日はこの場にいたわね……


「……お父様……」


 身体は嫌なことをまだ覚えているようで、さっきまで完璧だった淑女の笑顔が崩れてしまった。ドカドカと音を立てそうな勢いでこちらに向かってくる父に、侯爵家の当主としていかがなものかと頭が痛くなる。全く、国王陛下もご臨席の夜会、しかも国の重鎮の皆様が集う場なのだから最低限の品位は保ってほしいのに……


「アレクシア! 来ているなら何故挨拶に来ない!」


 息を乱してまくし立てる父に、ラリー様だけでなく副宰相様や騎士団長様まで目を丸くされた。お二人は爵位も地位も父より上なのよ。会話に許可なく割り込んだだけでも大変な不敬なのに。だけど父はそのことに気が付かないらしい。頭痛がしてきたし胃までいたくなりそう……


 父の後ろに続く母もこれまでに見たことがないほど着飾っていた。我が家にはそんな余裕はなかった筈だけど……メイベルがエリオット様の婚約者になったから支度金が出たのかしら? ラリー様を見て頬を染めて呆けている母に益々頭が痛くなった。母もメイベルも、娘や姉の婚約者に色気付いてどうしようというのよ……


「これはセネット侯爵」

「な……なんだね、私に話しかけるなど失礼な! それに今は娘と話しているのだ。用があるなら後にしたまえ」


 顔を赤くしてラリー様に居丈高にそう告げる父に卒倒しそうになったわ。周囲の方々が息を呑むのが見えたわ。副宰相様や騎士団長様は一歩下がって父を冷ややかに見ている。ラリー様は辺境伯で侯爵と家格は近いけど、王弟だから臣下とは根本的に立場が違うのに……あまりの失礼な態度に気を失いそうになった。


「お父様、おやめください」

「何だ、アレクシア。父に意見する気か?」

「意見も何も、こちらのお方はヘーゼルダイン辺境伯様。国王陛下の弟君でいらっしゃいます」

「はっ! 嘘をつくな! 辺境伯は顔に大きな傷を持つ醜い男だと言うではないか」


 父の言葉に周りが息を呑んだ後、騒めきが広がった。それもそうよね、未だに陛下が重宝されているラリー様をそのように仰るなんてあり得ないわ。まさか噂を鵜呑みにしてそれを口にするなんて……


「アレクシア。王家から支給されたお前の支度金を早く寄こせ! メイベルのために金が必要なのだ」

「……そ、そうよ、お姉様! このままじゃ新しいドレスが作れないじゃない!」


 さっきラリー様に近づくなと言われたメイベルまで参戦してきたわ。いつの間にこっちに? そういえばエリオット様の姿がないわ。どこに行ったのかしら……


「私はエリオット様の婚約者としてふさわしい装いをする必要があるの。だから支度金を……」

「メイベルはまだ正式な婚約者ではないわ」

「……え?」

「陛下から正式な発表がないのに婚約者と名乗るのは不敬罪に当たるわよ」

「そ。それは……っ」

「そもそも、王子妃教育は終わっているの?」

「……っ!」


 やっぱり思った通りね。王子妃教育は全く進んでいないと思ってよさそうだわ。今までの態度を見ただけでも確信出来てしまったけれど。それに貴族の婚約は陛下の許可が必要で、勝手に婚約者を名乗ってはいけないのは常識中の常識だわ。相手の家格が上だと不敬罪にだってなり得るのに……


 それに、私に下賜された支度金をメイベルに使うから渡せって、それって完全に横領なのだけど、それを理解しているのかしら……完全に王家を馬鹿にしているわ。そんなことを考えるだけでも不敬極まりないのに、他の貴族が数多いる公の場で堂々と言ってしまうなんて……


 チラ……とラリー様を見上げるとさすがのラリー様も呆気に取られていたわ。今日ほど家族が恥ずかしいと思ったことはないわ。もう、申し訳なさ過ぎてこのまま消えてしまい……





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