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婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です【コミカライズ】  作者: 灰銀猫
第一章

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騎士改め痴女?

 リネット様との再会を果たし、その後一通り招待客との挨拶が済んだ私たちは会場の端の方に移動した。


「疲れていないか、シア?」

「ありがとうございます。これくらい余裕ですわ」


ラリー様から手渡されたジュースが、挨拶とダンスで乾いた喉を潤してくれた。冷たい果実水が美味しい。


「王都に比べたら寂しいかもしれないけれど、シアなら問題なかったね」

「これくらいゆったりしている方が楽しめますわ。王都のパーティーは私には華やか過ぎて気後れしてしまいますから」


 実際、王都のパーティーはどれも家の見栄もあって煌びやかで賑やかしい。だけど私は華美なことは苦手で居心地が悪かったわ。エリオット様がエスコートしてくださらないから肩身が狭かったのもあるけれど。


 ホールの中央では楽団の音楽に合わせて踊る人々のドレスがひらりと舞い、一層花を添えていた。私達も二曲踊ったけれど、さすがはラリー様、ダンスもお上手だったわ。あのエリオット様の下手糞なリードとは比べようもない。まぁ、エリオット様の場合、嫌がらせでわざと踊りにくくしていたのかもしれないけれど。


 幸いにもあからさまに私に何かを言ってくる人もおらず、今のところ平穏にパーティーは進行していた。マグワイナ公爵家のリネット様と仲がいいところを見てしまえば、おいそれと反感を買うような言動なんか出来ないでしょうけれど。この地ではこの辺境伯家とマグワイナ公爵家の影響力は絶大だから。


 それに、ラリー様もお上手で、要所要所で私を気遣い、何かと褒めるようなことを仰るものだから、端から見れば仲睦まじく見えたでしょうね。そこにギルおじ様が、私のことを昔から知っていて、孫のような存在だった、お祖母様とよく似て優秀だなどと仰るから、誰も何も言えるはずがなかった。おじ様は顔の傷のせいもあって見た目が恐ろしげだけれど、隣国との間の戦いでは何度も隣国を退け、この地では英雄として絶大な人気をお持ちだから。


 だけど、一定数常識がない者もいるわけで……


「ラリー様! こちらにいらしたのですね!」


 真っ青なドレスに所々金の装飾を施した女性が、大きな声を上げて近づいてきた。こんな場であんなに大きな声を上げるなんて……派手に着飾った女性は背が高くて女性にしては大柄だけど身体つきはとてもグラマラスだった。その上大きく胸元が開いてスカートには深いスリットが入ったドレスをまとっているから凄く艶めかしいわ。化粧も派手と言うか、口紅がドレスの色と合っていないせいか凄く目立つ。ただ、婚約披露のパーティーに出るには……何と言うか場違いに見えた。周りも同じように思ったらしく、口元に扇を当てて眉をしかめる貴婦人がちらほらと見えた。


「ああ、スザンナも来ていたのか」


 ラリー様の声に私は驚きを隠せずもう一度まじまじと見てしまった。幸いにも顔には出なかったと思うけれど……あのスザンナだったとは思わなかったわ。なるほど女性だし、着飾ればこうも変わるのね……でも、何と言うか、ドレスに品がなくて残念感が酷いわ……そこまで肌を露出させると……何と言うか、娼婦や痴女のように思ってしまうのは偏見になるかしら……


「ラリー様……!」


 後ろからは、先日私に声をかけてきたレイズ子爵の姿もあった。会場の熱気のせいか、しきりに汗を拭っている。二人は子爵家の方だからこの会場にいてもおかしくはないのだけど、さっきの挨拶の時にはいなかったわよね。祝いの言葉を言いたくなくてわざと来なかったのかしら?


「まぁ、ラリー様、今日は一段と凛々しくていらっしゃいますわ。是非私とダンスを踊ってくださいませ!」


 スザンナはすっかりラリー様のお姿に心を奪われているけれど……大丈夫かしら、この人。婚約披露のパーティーでは婚約した二人は他の人とは踊らないのが一般的だし、婚約した後は婚約者以外と踊ることもあまりいい顔をされないわ。こんな公の場でマナー違反を口にするなんて、もしかして二人は私が思う以上に親しい関係だったのかしら。確かにラリー様はお背が高いからスザンナも十分に釣り合いはとれているし、むしろ背の差があり過ぎる私よりはバランスは良さそうだけど……


「おお、ラリー様。娘も今日のパーティーを楽しみにしておりました。是非踊ってやってください」


 娘だけでなく、やっぱり父親も残念だった。この前私に声をかけてきた時点でマナーを知らないのかもしれない、とは思っていたけれど。そんなことを考えている間にスザンナはラリー様の腕に絡みついて胸を押し付けていた。


 チラ…と隣をみると、ユーニスが笑顔を浮かべていたけれど……怖かったわ……どうやらスザンナはユーニスの逆鱗に触れてしまったらしい。うん、あの二人の未来は明るくないわね。それにしてもどうしたものかしら? 私が注意してもあの二人は納得しないわよね。ラリー様が諫めてくれるのが一番なのだけど……


「まぁ、辺境伯家の使用人は躾がなっておりませんのね」


 新たに加わった声に、その場にいた貴族が固まった。






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