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婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です【コミカライズ】  作者: 灰銀猫
第一章

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結婚するということ

 その後も宝石商や靴職人がやってきて、婚約披露のパーティーだけでなく普段使いのドレスや宝石なども揃えられて私は面食らってしまったわ。王都にいた時は王子の婚約者としてそれなりの物は持っていたけれど、それも婚約破棄されたらメイベルに持って行かれてしまった。手元に残ったのはメイベルが見向きもしない地味な品か、王妃様から頂いた品ばかり。だから凄くありがたいのだけど……


 辺境伯領は赤字続き。本来なら私の実家が出す費用をラリー様が出したと知られたら領民の反感を買ってしまうかもしれない。最低限でお願いしますとラリー様にお伝えしたところ、王家から私の支度金が送られてきたから心配ないと言われてしまった。


「支度金、ですか?」


 そんなこと、聞いていないのだけど……それに王家が私の支度金を出すって……どうしてそんなことになっているの?


「王妃様から賜ったんだ。セネット家に渡すと妹御に使ってしまうだろうと直接私にね」


 恥ずかしすぎる……そう言われると何も言えなかったわ。確かに両親ならやり兼ねないから。今はメイベルがエリオット様の婚約者になったばかりだから余計に浮かれていそうだし、そうなると何をするかわからないわよね。


「そういうことだから気にしなくていい。このお金はあなたの個人資産として管理するように手配しておくよ」

「ですが、いただく理由がありませんわ」

「これはエリオットのやらかしに対しての慰謝料でもあるんだ。資金源も国庫ではなくエリオットの個人資産から出ている」


 エリオット様からの慰謝料……確かに一方的に冤罪で婚約破棄されたから打倒、なのかしら? だけど今の私は無一文同然だからこの申し出はありがたかった。そういうことなら受け取ってもいいわよね。


「ああ、シアの部屋の改装も終わったよ。もう使えるようになっているから」

「あ、ありがとうございます」


 ずっと客間暮らしだったから自分の部屋がもらえるのは嬉しいわ。もう使えるようになっているというのでラリー様の隣の正室の部屋に移った。まだ婚約前だから早いと反対する者もいるけれど、結婚は王命で覆される事はないし互いを知るためにも部屋は近い方がいいだろうとラリー様もギルおじ様も一蹴したとか。まぁ、反対したのが誰かは凡そ見当は付くけど。


「まぁ、素敵なお部屋ですわ」

「そう? 気に入ってくれたならよかった」

「勿論です! 私こそ、色々我儘を聞き入れて下さってありがとうございます」


 正式に私の部屋になった部屋は、明るくて日当たりも風通しもいい部屋だった。内装は私の好みを取り入れて下さって、壁紙は若草色を基調とした明るいながらも落ち着いた雰囲気にして頂いた。調度などは特にこだわりがなかったので、歴代の正室様がお使いになった物を直して使う事にした。古いけれど立派な品だし、壁紙の色にも合って品位が損なわれることもないわ。


「ああ、暫くは私の部屋との間にあるドアの鍵はかけておくから」

「?」


 ラリー様にそう言われたけれど私は何のことかわからなかった。ユーニスが小声で、夫婦の寝室のことですと言われて、ああ、と合点がいった。そうだったわ、夫婦になれば寝室は一緒なのよね……急に婚姻を意識することになってしまって顔が熱くなってしまったわ。とはいえラリー様には特に何も感じないから困ってしまう……いえ、大変麗しくて素敵な方だとは思うのだけれど……




 ラリー様たちが執務のために去った後、私はユーニスだけ側に置いてお茶を楽しんだ。引っ越ししたばかりだからまだ部屋に馴染まないけれど、前の部屋よりも明るくて開放感があって気持ちいいわ。でも、私の心は沈んでいた。


「……やっぱりラリー様と結婚しなきゃ、いけないのよね……」


 婚約破棄からここまで予想外の連続ですっかり婚姻することが頭から抜けていたけれど……ううん、違うわね、そのことを考えないようにしていたわ。


 最初は謀殺される不安があったから生き延びることしか考えていなかったから。


「お嬢様ったら……」

「だって……おじ様がいらっしゃったんですもの」


一番の問題はおじ様に再会したことよね。こちらに着いてからはおじ様のことばかり考えているもの。


「ギルバート様ですか……確かに立派な方ですけれど……お嬢様、年上趣味と言うには渋過ぎですよ……」

「だって……初恋ですし、私の中のおじ様は十年前のままで止まっているんだもの……」


 そう、私の中のおじ様は、未だに幼かった頃のイメージが強いわ。あの頃から髪は短くされていたし、パッと見あまり変わりがないように見えるから。そりゃあ、あの頃よりも髪も髭も白くなって皺も増えたけれど、それでもエリオット様なんかよりも姿勢はいいし動きも軽やかだわ。


私の中ではラリー様の存在はかなり薄くて、未だに雲の上の人という感覚が抜けなかった。それは年の差もあるかもしれない。私よりも両親の方が近いのだから。


「そうは言っても結婚されるのはローレンス様ですわ。ギルバート様と必要以上に仲良くされては、余計な疑念を生むかもしれません。言動にはご注意くださいね」

「……わかっているわ」


ユーニスの言う通りなのだけれど、心とは自分の思い通りにはならないものね。ラリー様と話す機会があまりないのもあるけれど。


「もっとローレンス様との交流を持たれてはいかがですか?」


 ユーニスの言う通りね。おじ様に不名誉な噂なんて申し訳なさすぎるし、ラリー様と不仲だとみられれば王家や領民から余計な詮索を受けるかもしれない。


「……そうね、相談してみるわ」


 交流が増えれば少しは親しくなれるのかしら? だけど、身分と年の差は簡単には解消出来そうもないわ。




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