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婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です【コミカライズ】  作者: 灰銀猫
第一章

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お願いの内容

「なるほど……それがシアのお願いか……」


 私のお願いと言う名の提案に、ラリー様は口元に手を当てて考え込まれた。まぁ、影響の大きさを考えると簡単ではないだろう。それくらい、この提案は影響力が大きかった。


 私が提案したのは、怪我が原因で退役せざるを得なかった元騎士達の治療だ。この辺境伯領は隣国と接していて、百年以上前から小競り合いが絶えない。そのせいで死者も怪我人も多数出ているのだが、その影響で慢性的な男手不足に陥っており、それが経済をはじめとする領民の生活に悪影響を与えていた。

 さらに、怪我で退役した者には領内から恩給が出るのだが、その金額も騎士が生活するにはぎりぎりの額だが、領全体となると相当な額に上っている。その為、辺境伯領は慢性的な財政赤字を抱えているのだ。


 そこで私が治癒魔法を使って怪我で退役した騎士を治療し、騎士団や社会活動に復帰させるのだ。領民も一家の大黒柱である男性が働けるようになれば暮らしも随分とマシになるし、恩給の支払い額も減らす事が出来る。そうなれば余ったお金で領内の公共事業への投資も出来るようになるし、領民の暮らしが豊かになれば経済も活性化するだろう。


 私はその計画を実行するために、ラリー様の許可が欲しかったのだ。さすがに黙ってやると余計なトラブルを抱える事になるから。聖女の力は他国にとっても喉から手が出るくらいに渇望しているから、勝手にやってまた隣国との諍いの種になっても困るし…と、この力は結構厄介なものなのだ。


「これに関しては、少し時間をもらってもいいだろうか? 非常にありがたい話だが、やり方を考えないと余計な問題を生む可能性がある。それに……大丈夫なのか?」


 改まって真っ直ぐに私を見て尋ねられた。


「何がですか?」

「あなたですよ、シア。この力を使って、あなたにどれくらい影響が出るのかが私にはわからない。酷く消耗させたり、寿命を削ったりするのであれば、到底許すことは出来ない」

「……それは……」

「その辺については、あなたの言い分だけでは心許ない。無理をして事実と違う事を言われても困る。私の方でも調べさせていただきますよ。あなたにだけ無理を強いるのは私の本意ではない」

「あ、ありがとう、ございます…」


 秀麗な顔でそんな風に真剣に心配されると困ってしまう。なまじお顔が素敵なだけに…それに、そんな風に心配して貰った事がないから気恥ずかしくて仕方ない。今まで私を気遣ってくれたのは亡き祖母とギルおじ様、国王陛下と王妃様、ユーニスとビリー、そして数名のお友達だけだったから。これはもしかすると想像以上にマシな関係が築けるかもしれない…


「じゃ難しい話は後にして…どうです?天気もいいし、庭でも散策しませんか?」


 ラリー様の提案を無下にする理由があるだろうか。私は素直にそのお誘いを受けた。





「辺境伯様とはいい関係が築けそうですね」


 ラリー様とはあの後庭の散策をしてそこでお茶をし、何だかんだで結局、夕飯を終えるまでご一緒する事になった。途中で護衛に就いたスザンナが必死に表情を取り繕っていたけれど、彼女には想定外だったみたいだ。まぁ、私のお願いが何なのかが分からなくて、不安で仕方なかったのもあるだろうけど。向こうが先に喧嘩を売ってきたのだから、わざわざ安心させる必要もないだろう。せっかくだから私の敵になりそうな相手を炙り出すのに役に立ってもらえばいい。


「そうね、思いのほか好意的で助かったわ」

「アレクシア様は、前辺境伯様がいらっしゃれば満足のようでしたけれど」

「それはもちろんよ。でも、残念だけどおじ様との結婚は無理だから…」

「僭越ながら申し上げますと…私としては是非辺境伯様と真のご夫婦になって頂きたいですけれどね」

「まぁ、ユーニスったら…」


 急にラリー様の事を言い出したため、私はびっくりしてしまった。結婚したくないと言っていた私の気持ちは伝わっているだろうに…


「お嬢様はあの馬鹿王子やご実家のせいでご自分を卑下し過ぎですわ。お嬢様はお綺麗なだけでなく、賢くてお優しくて聖女の力もお持ちの、実に稀なるお方ですわ。正直言って一介の辺境伯の妻では勿体ない程です。まぁ、でもこの国の王族や公爵家の令息にはろくなのがいませんけど…」

「もう、ユーニスったらほめ過ぎだし、貶し過ぎだわ」

「でも、それが私の本心ですわ。ただ、ヘーゼルダイン辺境伯様とでしたら、見た目もですが能力や心映えも及第点だと思います」

「もう、それは失礼よ、ユーニス」

「これくらい言わなければ、アレクシア様には伝わりませんからね」


 そう言ってユーニスはわざとらしく大きなため息を付いた。そこまで言うほど私は出来た人間ではないのだ。それは私自身が一番わかっていた。


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