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婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です【コミカライズ】  作者: 灰銀猫
六章

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元家族の影響

 ガードナー公爵令嬢の事を相談した私にラリー様は、私の方でも調べている事があるから任せて欲しいと仰った。私もこの手の事は苦手だったので、ラリー様にお任せする事にした。

 実家のセネット家の事も絡んでいるけれど…実際のところ私には大した力はなく、今直ぐこの噂を否定しようにも、それだけの手腕も何もなかったからだ。


 それでも、リネット様にはこの旨をラリー様に相談し、ガードナー公爵令嬢との噂をラリー様がきっぱり否定した事を伝えた。こうしておけばリネット様からジョシュア様に話が行くだろうし、もしかしたら王太子殿下にも…との思いもあったからだ。

 王太子殿下の発言力は大きいし、あの方は国の事を最優先でお考えになる方だから、この様な噂が流れる事を良しとされないだろう。それにラリー様とは叔父と甥の関係で、お二人の関係も良好だから、何か力になって下さるかもしれない。


 ラリー様からも陛下や宰相様に話をしてくれるというし、対策も講じると仰ってくれた。陛下は、セネット家は王家にとっても重要な存在だから、私に不利になるような事は見過ごせないと仰って下さったという。


「まさかご両親とメイベル様の所業が、今になってアレクシア様に影響するなんて…」


 正に忌々しいと言わんばかりのユーニスだったけれど、彼女は彼らの私への仕打ちを知っていただけに怒り心頭だった。


「そう言えば、ロバートがご両親とメイベル様の様子を報告書にしてローレンス様に出しておりましたわ」

「ラリー様に?」

「ええ。ローレンス様はあの三人に監視を付けていて、定期的に報告を受けているのだそうです」

「そうなの?知らなかったわ…」

「そりゃあ、アレクシア様にとっては気持ちのいいお話ではありませんからね」


 それでは…あの三人は、相変わらずという事なのだろうか…


「もしかして、三人とも以前と変わりなく、とか?」

「ええ。あれから半年…いえ、もう七か月でしたわね。相変わらず自分達は悪くないと…この扱いは不当だと言っているそうですわ」

「まさか…」


 あんなにはっきりと、自分達の何がいけなかったのかを陛下達にも説かれたのに、納得していなかったなんて…

聞けばエリオット様はあれから程なくして冷静になり、今では贖罪の日々を過ごしているという。一度、ラリー様経由で私への謝罪の言葉もあったくらいだ。それに関しては、ラリー様は許すにはまだ早いから返事は不要だと仰って、そのままになっているけれど…あの三人からは一度だって手紙も来た事はなかった。


「まぁ、そういう方々でしたから、驚きませんわ。でも…下手に心変わりされても信じられませんけどね」

「それは…確かにそうね」


 全く、血の繋がった親子であり姉妹なのに、どうしてこうも分かり合えないのか…その理由がセネットの血にあるのも事実だけど、どれだけ時間が経っても彼らの気持ちは私には理解出来そうもなかった。





 そうしている間に、リネット様の婚約披露のパーティーの日になった。今日はリード侯爵家主催のパーティーだけど、真の主役は花嫁になるリネット様だ。彼女は王太子殿下のお妃候補の筆頭だったけれど、足の怪我を理由に辞退していた。今は私がその怪我を治した事もあって社交にも戻られたけれど…王太子殿下の側近との婚約は社交界でも話題になっていた。


 今日の私は、紫を基調としたドレスだった。結婚したので、以前のようなふんわり広がるスカートから少し控えめなものに変わったけれど、その辺はヘイローズが絶妙なデザインで可愛らしく仕上げてくれていた。紫に青と赤の差し色は…完全に私の色だけど、ラリー様の服も同じ色と生地で揃えられていた。


「何だかいつも以上にお揃い過ぎて…おかしくない?」


 いつもよりもお揃い感が増している衣装に、私はちょっと面食らってしまった。私の瞳の色でもある紫を使ったのも初めてだ。いつもはラリー様の色で統一する事が多いだけに、これはどういうことかと思ったのだ。


「今回はご領主様からのご依頼ですわ」

「ラリー様の?」

「ええ。今回は奥方様の色で固めるようにとのご指示がありましたの」


 今までもドレスはラリー様が手配して下さっていた。婚約者や妻に贈り物をするのは当たり前とのお考えからで、私もあまり拘りがないからお任せしていたのだけど…今回は何かしらの意図があるように感じた。これは…あの噂が影響しているのだろうか…


「ああ、今日のシアも愛らしいな」


 私の色でもある紫を纏ったラリー様は、それはそれでとてもお似合いだった。顔が麗しい上に体格も立派だから何を着ても似合うのだけど、落ち着いた色合いの紫は、ラリー様の高貴なオーラを一層強めているように見えた。


「ラリー様も、お似合いです…でも、どうして今回はこの色を?」

「ん?ああ、たまにはシアの色もいいなと思ってね。いつも私の色ばかりだろう?たまには私がシアの色に包まれたかったのだよ。私がシアの虜になっていると言いふらしたいからね」

「な…」


 なんて事を…と思う私に対して、ラリー様は涼しい表情だった。相変わらずこういうところは年の差というか…経験値の差なのか、振り回されっぱなしなのだ。


「シア、今日はガードナー公爵令嬢やリドリー侯爵令嬢も来ているだろう。人の婚約披露のパーティーで騒ぎを起こすとは思わないが、気を付けて。私も離れるつもりはないが、決して一人にならないようにね」

「え、ええ…」

「念のために姉上や義姉上にも協力をお願いしてある。それでも、厄介な相手だから」

「まぁ、王妃様やナタリア様にも?」

「ああ、あの噂をお話したら酷く憤慨されてね。彼女たちは姉上たちの不評を買ってしまったよ。ただ…その事には気づいていないからね」

「そう、ですね」


 王妃様もナタリア様も、貞淑さを重視されていらっしゃる事で有名だ。お二人とも政略結婚だけど、その上で夫婦関係は良好だから、不倫を勧めるようなガードナー公爵令嬢の態度は許し難いのだろう。


「私達の間に波風を立てたいだろうが、そんな事はさせない。私は…シアの騎士でもあるからね」


 そう言ってラリー様は首元を撫でた。そこは紫蛍石の片割れがしっかりと根付いている場所だった。




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