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婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です【コミカライズ】  作者: 灰銀猫
六章

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リネット様とのお茶会

 リネット様とのお茶会は、リネット様の実家であるマグワイナ公爵家の王都にある屋敷で行われた。さすがは公爵家、重厚でいて華麗なお屋敷は、時折訪ねていた頃と変わりなかった。


「お招きありがとうございます、リネット様」

「ようこそアレクシア様…何だか、お疲れですか?」


 やっぱりラリー様のお仕置きの影響が、顔に出てしまっていたらしい。昨夜はほとんど眠れなかったし、体力の限界まで付き合わされたから、出来れば今日は一日家で休んでいたかったのに…

 そうは思うのだけど、リネット様と気軽にお茶をする機会もこの先少なくなる。そう思うと、今日はどうしても参加したかったのだ。


「ご無沙汰しております、アレクシア様」

「まぁ、リード侯爵令息様」

「ふふ、以前のようにジョシュアと呼んで頂いて構いませんよ」


 何と、そこにいたのはリネット様の婚約者でもあるリード侯爵令息ジョシュア様だった。柔らかそうなハニーブラウンの癖のある髪と、灰色がかった青い瞳の温和な顔立ちだけど、文よりも武を好まれる。お父上は文官だけどご自身は騎士団に入られた方で、王太子殿下の護衛も務めていらっしゃる。

ジョシュア様とはエリオット様の婚約者だった時期に、多くはないが交流があった。彼がエリオット様の兄でもある王太子殿下の側近だったからだ。

 ただ、その頃にはジョシュア様には子どもの頃からの婚約者がいたので、最低限の交流に留まっていた。その後、婚約者の父親の汚職が発覚して投獄され、一家は隣国の親戚を頼って移住したから、婚約は解消されてしまったのだ。

 その後、同じ王太子殿下の側近をしていたリネット様のお兄様の紹介で交流が始まり、婚約されたと聞いたけれど…ここにきているとは思わなかった。


「すみません、アレクシア嬢。今日は私がお願いして同席させて貰ったのです」

「そうでしたか」

「ごめんなさい、アレクシア様。ジョシュア様がどうしてもお話しておきたい事があると仰って…」

「いえ、お気になさらず。リネット様といずれご結婚される方ですもの。私も仲良くして頂けると嬉しいです」




 その後、場所をサロンに移して、私達はお茶にした。ここは庭の花々がよく見えるように作られているので、初春とは言え花を楽しめるようになっていた。


「実は最近、社交界に変な噂が流れているのですよ」

「噂、ですか?」

「ええ。その内容がその…ヘーゼルダイン辺境伯様のものなので、気になりまして…」


 言い難そうにそう告げるジョシュア様に、私はふと、先日リドリー侯爵令嬢から聞いた話が浮かんだ。ラリー様とガードナー公爵令嬢が恋仲だったという話だ。あれは噂で何もないとラリー様は仰っていたけれど…


「ええ、実はヘーゼルダイン辺境伯様とガードナー公爵令嬢のパトリシア様が恋仲であるとの噂が…」

「それなら、先日、リドリー侯爵令嬢からお聞きしました」

「ええっ?」

「な…っ?リドリー侯爵令嬢が、ですか?」

「ええ」


 二人は私が知らないかもしれない…と思っていたようだったから、私が既に知っていて、しかも大聖女でもあるリドリー侯爵令嬢から直接聞かされたとは知らなかったようだ。私はその時の話二人にすると、驚きながら聞いてくれた。


「まさか…リドリー侯爵令嬢が…」

「いくらガードナー公爵令嬢と仲がいいとは言え…」


 思った通り、二人は不倫を推奨したリドリー侯爵令嬢に呆れていた。この国でもっとも清からだと言われる大聖女の地位にあるのだから当然だろう。


「それで…アレクシア様は何と?」

「きっぱりとお断りしましたが…」

「もしかして…納得なさらなかった、とか?」

「その通りです」

「「……」」


 私が断っても納得しなかった事に、二人は益々呆れてしまったようだった。でも、常識的に考えたらそうだろう。


「それに…お二人は口が堅いからお話しますが…ガードナー公爵令嬢はラリー様に純潔を捧げたと仰っているとか…」

「はぁ?!」


 大きく声を上げたのはジョシュア様だった。王太子の側近として、この発言は看過できなかったのだろうが、それも当然だ。これが公になればパーセルとの国際問題になるのだ。いくらパーセルの第三王子が病弱で、閨を共にしなかったとしても許される事ではない。


「そんな重要な事を…」

「ええ、もし公になれば国際問題にもなり、我が国の威信に大きな傷となるのですが…リドリー侯爵令嬢はその事には思い至らなかったようで…むしろ…お二人の恋こそが真実の愛だと…」

「馬鹿馬鹿しい…しかも新婚のお二人に言う事ではないでしょうに…」

「ええ…アレクシア様、大丈夫ですか?」


 リネット様は私を案じて下さったけれど…そこに関しては特にショックはなかったので問題ない。彼女たちの行動が余りにも突拍子過ぎて、別の意味で心配になったけれど…


「ヘーゼルダイン辺境伯様は、決してアレクシア嬢を裏切ったりしていませんよ」

「そこは信じていますわ」

「昨日だって、王宮で陛下や宰相様にアレクシア様との事を惚気ていらっしゃいましたからねぇ…」

「ええ?」

「ご存じありませんか?ヘーゼルダイン辺境伯様は、行く先々でアレクシア嬢がいかに愛らしく素晴らしいかを皆さまにお話していらっしゃいますよ。あれを見たら…噂は所詮噂だとしか思えませんけどね」


 そう言ってジョシュア様は苦い笑いを浮かべ、リネット様もそのお話をご存じなのか、優しい笑みを浮かべていたけど…その目が生温かく感じてしまって居心地が悪かった。


(ラリー様、一体何をしていらっしゃるんですか?)


 私は恥ずかしくて、暫く彼らの顔をまともに見る事が出来なかった。




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