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婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です【コミカライズ】  作者: 灰銀猫
第一章

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セネット家の血

「お嬢様、お疲れではありませんか?」


 モーガン殿の足に治癒魔法をかけた後、ユーニスが声をかけてきた。彼女は私の考えを理解してくれる力強い味方で、モーガン殿のことも彼女に相談していた。彼女も王妃様の侍女をしていただけあって人の機微に敏く、私よりも辺境伯の護衛団の空気を敏感に感じ取っていた。


「ありがとう、ユーニス。でも大丈夫よ。あれくらい問題ないことはあなたが一番知っているでしょう?」

「まぁ、それもそうですわね」


 彼女には早々に治癒魔法のことを告白して、彼女にも何度も使っているわ。この程度で疲れたりなんかしないことは彼女もわかってくれている。それでも心配してくれるその気持ちが嬉しい。


 第一騎士団の四人はクロフ殿とグレイディ殿に治癒魔法をかけたことで私への心証は随分とよくなったわ。完全に味方とは言い切れないけれど、少なくとも王都に流れていた私の噂をそのまま信じ続けることはなさそうにみえる。


そこはビリーもさりげなく情報を操作して、彼らの考えを上手く誘導してくれていた。もし誰かに脅されていた場合、隙を見せれば刃を向ける可能性はあるけれど、今は辺境伯の護衛団がいるから簡単には手が出せないはずだし。


「モーガン様は味方になってくれるでしょうか?」

「まぁ、売った恩は小さいけれど……治癒魔法のインパクトは大きいと思うわ」


 聖女とは清廉で心が清らかだから治癒魔法が使えると信じている人も一定数いる。その力が使えれば悪女だと言い続けることは難しいかもしれない。


「確かに。王都では割と認識されていますけど、地方ではお伽噺みたいな扱いですからね」


 治癒魔法の素質がありそうな子どもはもれなく王都の神殿に集められ、そこで修行をすることになっている。そして聖女の条件は神殿に所属することでもあるので、基本的に王都から離れることがないのだ。例外は定期的に行われる聖女の地方慰問だけど、それはある程度大都市と限られているから辺境までくることもまずない。


仮に聖女になれなくてもいい縁談が来るので、故郷に帰る子は稀だと聞く。たまに故郷に帰ったり地方に移住したりする人もいるけれど、それは非常に稀なのだという。


「使い過ぎては有難味が減りますから、程々にお願いしますね」

「ええ、分かっているわ」


 そう、過ぎた力は一歩間違えば逆効果にもなるし、悪用しようとする者が現れる可能性もある。だからまだ大っぴらにする必要はないわ。今は味方になってくれそうな、信用出来そうな人だけで十分だもの。


 それに……この力、対外的には大した事がないと言っているけれど、本当はかなり強いらしい。多分私はこの国の聖女の中でも最高の力を持っていると思う。魔力量もそうだけど、その質も。私がエリオット様の婚約者に選ばれたのも、この力のせいだった。


 この聖女の力は、我がセネット家の血に関係している。実はセネット家は、聖女の血を受け継ぐ家系なのだ。神殿で管理されている聖女の力が子に受け継がれる事はないらしい。力が現れるのは女児ということだけが共通で、身分や生まれた地などは関係ない。血筋や地域性に左右されないし、髪の色や目の色、肌の色などの外見的な要因も関係ないという。


 そんな中、唯一その力を血で受け継いでいるのがセネット家だ。セネット家の祖は建国時に新王となった初代国王陛下を支えた聖女だと言われている。青みがかった銀髪と紫の瞳を持ったその聖女は圧政に苦しむ人々を癒していたけれど、その後悪政を敷く当時の王を倒して民衆を救おうとした青年と行動を共にし、建国の礎を築いたという。その後、王の側近の一人と結婚したと伝わっている。それが初代セネット侯爵だった。


 どんな理屈かはわからないけれど、我が家には稀に聖女の力を持った娘が生まれる。セネット家は青みがかった銀髪と紫の瞳の色を持つ者が多く生まれるけれど、聖女の力を持つのは決まってこの髪と瞳の色を持つ女児だった。


ちなみに男性でもセネット家の色を持って生まれてくるけれど、彼らに聖女の力が出ることはないという。実際、この色を持つ父や、セネットの血を引きながらも母の赤金髪と黄緑の瞳を受け継いだメイベルには聖女の力は現れなかった。


 聖女の力については、一番最近では私の祖母がその力を持っていた。美しく有能で聖女の力を持っていた祖母は、当時王太子だった前国王陛下に想いを寄せられていたと聞く。でも一人娘だった祖母はセネット家を絶やす事は出来ないと、親が決めた相手と結婚した。


 この様な事があったせいだろうか。私は当時国王に即位されていた先代陛下のご希望もあって、エリオット様の婚約者にと請われ、王家との繋がりを希望した両親は二つ返事で了承してしまった。多分、家督はメイベルに継がせ、厄介者の私を追い出したかったのだろう。


 まだ健在だった祖母はセネット家が途絶えると大反対したけれど、セネット家の色と力を疎ましく思っていた父と、セネット家の力を王家に取り込みたい王家の思惑が一致して婚約は成ってしまった。


 まぁ、まさかエリオット様が婚約破棄を言い出し、代わりにメイベルが嫁に出るとは思わなかったけれど……こうなるとセネット家もこれで終わりなのだろう……ううん、もしかしたらエリオット様への罰としてセネット家への婿入り……なんて可能性があるかもしれないけど。


 それでも多分、王家にとって損はないのでしょうね。残念ながらエリオット様はダメだったけど王弟殿下が私を娶れば、王族にセネットの血を取り込むことが出来るのだから。





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