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婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です【コミカライズ】  作者: 灰銀猫
第四章

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結婚式前の懸念

「一体どうして…」


 三人を治療した私は、ラリー様の執務室に戻った。三人は先生と医療の知識がある侍女、そして念のために護衛が付けられたけれど、あの様子では目が覚めるのには時間がかかりそうにも見えた。


「レアード殿下は、あの女の子をここに連れてくる予定だったのですよね?」


 そう、以前ラリー様がそんな事を仰っていた。ラリー様の話では、レアード王子は悪政を敷く父王を退位させて新しい王を立てて、国を立て直す事にしたけど、あの姪の女の子を預けられる相手がおらず、一方で一緒にいるのも危険だからこちらに預けるのだと。その分、ラリー様は彼らを支援する事も考えていると。

 実際、隣国の悪政のせいで国境の向こう側の領民がこちらに逃げてくるのが増えているという。今はまだ数が少ないけれど、これ以上増えればこちらの負担にもなるし、スパイなどが紛れ込んでくる数も増える。そうなればこちらの治安の悪化は避けられないため、ラリー様達は苦心しているのだと仰っていた。


「その予定だったけれど…レアード王子の話では、春になってからと連絡があったんだ。冬はどうせ雪で動けないから、その間ゆっくり姪御との時間を過ごして、春になってから連れてくると。小さな子は環境の変化で体調を崩すし、冬は余計にそうなるから、春でいいと思っていたんだよ」

「そうですか…」

「今、レックスが騎士団に調査させているが…盗賊にしては金目の物は残っていたというし、奴らなら子どもは攫って行くだろう?奴隷として裏取引は後を絶たないからね」

「そう、ですね…」

「今はまだ断定はできないけれど…隣国で何かあった…と考えるのが妥当だろう。まずは話を聞かない事にはどうにもならないけれど…」


 全くその通りで、今は彼らが目を覚まして、話を聞かないとどうしようもないだろう。どうやらラリー様はレアード王子と連絡を取り合っていたようだけど、それでもあの王子の事だから、全てを話しているとは思えない。多分、ラリー様の事だって信用はしていないだろうけど、利用出来るなら利用すると考えていそうだ。それはラリー様も同じなのだろうけれど…


「結婚式の前にこんな事になってすまない」

「そんな…ラリー様のせいじゃありませんわ」

「それでも、ここの情勢の責任は私にある。せめて式までは面倒事は避けたかったのだけれど…」

「ここで生きていくなら仕方ありませんわ。それに…ラリー様が出撃されないのなら、それだけで十分です」


 そう、この前のようにラリー様が兵を率いて出られた事に比べたら…と思ってしまう。あの時は不安で心細くて心配で、生きた心地がしなかったもの。完全に大丈夫とは言い切れないけれど…雪の季節に兵を動かすのは自殺行為なだけに、今はその可能性が低いだけでも随分とマシだった。


「式まで日がないが…これ以上何か起きたとして、延期は難しいな…」

「そうですね。既に色々と手配は済んでおりますし、領民も楽しみにしておりますでしょう」

「それに…中止にすると領民にかえって不安を与えましょう。延期はマイナスの方が大きいかと」

「そうだな。では、領民の警備を厳重にしよう。こちらはこれ以上ないほど厳重だし、これ以上増やす必要はないだろう」

「仰せの通りです。今回はロバートが立ち上げた自警団もありますし」

「自警団って…」

「アレクシア様が癒して下さった者たちの主な就職先となっているあれです。彼らは街の貧民街にいたのもあってか、裏事情に通じている者も多い。一方でアレクシア様に恩義を感じている者も多く、彼らにアレクシア様を狙う者がいると伝えれば、一層警戒の目を強めてくれるでしょう」


 リトラーにそう言われて、私はあの自警団の計画が上手く進んでいる事を改めて知った。社会復帰後の彼らの行く末が心配だったけれど、ちゃんと立ち直ってくれているらしい。それで街の治安も守れるのならまさに一石二鳥だ。


「警備の方は問題なさそうだな。これもシアとロバートのお陰だな」

「そんな…」

「そうですよ、ローレンス様。だから結婚式が終わったら、彼らにお手当お願いしますね」

「手当?」

「そうですよ~みんなが飲んで食って騒いでいる間、仕事なんですよ。臨時手当でも出してやれば、入隊を希望する者も増えるでしょう。まだ立ち上がったばかりで人出不足なんですからね」

「ああ、わかった。そういう事なら…」

「ラリー様、そんな余裕はありませんぞ。延期になったせいで、式でかなりの予算が…」

「それなら、私個人の財産から出そう。それならいいだろう?」

「しかし、それでは…」

「別に構わないよ。金だけ持っていても役に立たない。それよりも自警団の方が大事だからな」


 噂でも聞いていたけれど、ラリー様はあまり欲がないらしい。これまでもご自身の財産を領につぎ込んでいるのだと聞いた。そのお心は立派だけど…この前、私に立派過ぎる翠玉を贈ってくださっただけに、大丈夫なのかと思ってしまう。今後はあのような贈り物は辞退しよう。


「ああ、シアへの贈り物は別だから。気にしないで」

「え?あ、あの…」


 心を読まれている…?と焦るわたしに、ラリー様はにっこりと笑った。ちょ…ラリー様、今は仕事中ですわよ…と慌てる私に対して、周りのみんなはにこにこと笑みを浮かべていた。何なの?この生温かい空気は…




 結局、その日は新しい情報もなく、三人が目覚める事もなく過ぎた。式まで三日と迫る中、新たな緊張の広がりを感じたせいか、私は得も言われぬ不安が心の中で静かに滲んでいくのを感じていた。



現在に詰まっているので、暫く更新が止まります。

申しわけございません。

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