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婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です【コミカライズ】  作者: 灰銀猫
第四章

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過保護すぎて熱があがりそう…

 次に私が目を覚ました時、私は窮屈さと共に暖かい何かに包まれているのを感じた。何だろうと思ってその正体を確認しようとしたのに、身体がしっかり固定されて動かなかった。背中に感じる温もりが寒気を感じている体にじんわりと伝わってきて、なぜかはわからないけれど凄く安心出来た。

 ああ、もしかしたらまた…夢をみているのかもしれない…これまでも色んな夢をみたから…お父様と腕を組んで庭を散策している夢、お母様と仲良くお茶を飲みながら歓談している夢、メイベルと手を繋いで街で買い物をしている夢、エリオット様と笑顔でダンスを踊っている夢…どれも実現する事がなかったものだ。夢の中では楽しくて、でも目が覚めたら悲しくなる夢だった…

 でも、今はとても暖かくていい匂いがした…きっとこの夢はいい夢のまま終わりそうな気がする…私はこの夢が悲しい思いで終わらないようにと願いながら、再び目を閉じた。




 それからの私は、熱が上がったり下がったりを繰り返したらしい。らしいと言うのは、殆ど覚えていなかったからだ。後でユーニスに聞いたけれど、かなり高い熱が出ていたらしく、その熱も朝には下がるのだけど夜にはまた上がってきて、中々すっきりしなかったという。その間もラリー様やユーニスが側にいてくれたらしい。熱を出したのに誰かが側にいてくれるなんて…お祖母さまが生きていらした時以来だった。


「…ラリー…様?」

「ああ、目が覚めた?気分はどう?」

「…ラリー様…ずっとそこに?」

「ああ、ちゃんと側にいるから心配しないで。さ、まずは水分を摂ろう」

「…え、ええ…」


 そう仰るとラリー様は私を抱き起してお水を飲ませてくれた。熱があったせいか、不思議とこの時は恥ずかしいという感覚はなかった。


「気分はどう?」

「…前よりも…楽です」

「そう?よかった。熱もさっきよりは引いたみたいだ」


 額に手をあてて熱を確認するなど、甲斐甲斐しく私の世話をしてくれたのはラリー様だった。ずっと居て下さったみたいだけど…お仕事はどうなっているのだろう。それに、お休みになっていられるのだろうか…


「…ラリー様、もう大丈夫ですから…それに…ラリー様が寝込んでしまわれては…」

「私の心配は無用だよ。これでも鍛えているし、体力もあるからね」

「でも…」

「仮に寝込んでも義父上がいらっしゃるから大丈夫だ。それに…私にうつってもシアが癒してくれるんだろう?」

「そ、それは、もちろんですが…」


 にこにこと、笑顔の大盤振る舞いのラリー様に、私はまた熱が上がりそうだった。過保護すぎて身の置き所がありません…しかもユーニス、ラリー様を止める事なく、距離を取って見ているだけなのはわざとなの…?


「風邪は万病の元だよ。油断すると肺炎になって亡くなる事もあるんだからね」

「でも…」

「シアは自分自身を癒せないだろう?だったら他の人の何倍も気を付けないとダメだ」


 そう言われてしまうと、言い返せなかった。心配して貰えた事がとても嬉しかったのもある。実家では私が熱を出そうが誰も気にもかけてくれず、お医者様も手配して貰えなかった。彼らは私が目障りだったから、そのまま死んでもいいと思っていたのだろう…そう思うと、よく今まで無事だったな…と思う。


 熱が下がったのは四日目だった。あのどうしようもなかった眠気もようやく取れたけれど…それだけ疲れがたまっていたのかしら…エリオット様の婚約者だった頃の方がずっと忙しくて、寝る時間もない程だっただけに、今になって熱を出した事の方が驚きだった。


「今までの疲れが出たんだろう。結婚式まではまだ日もあるから、ゆっくり休むんだ」

「でも…」

「花嫁の顔色が悪ければ、領民だって心配してしまうよ。それに、一生に一度の大切なイベントだからね」

「…それは…」


 ラリー様からそう言われると、何だか気恥ずかしさが先になってしまった。ラリー様にそんな風に言って貰える日が来るなんて思えなかったのもあるかもしれない。


「さぁ、まずは栄養を摂って体力を付けないとね」


 そう言ってラリー様が手にしたのは、野菜の形が崩れるほどに軟らかく煮込まれたスープだった。スープの皿とスプーンを手にした笑顔全開のラリー様に嫌な予感がする…


「あの…ラリー様?」

「何だいシア?」

「…じ、自分で食べられますから…」

「そうはいかないよ。まだ熱も下がり切っていないし、ふらついているじゃないか」

「でも…」

「こぼして火傷したら大変だろう?さぁ、私が食べさせてあげるよ」


 や、やっぱり…!熱を出してから全てやってあげると言って着替えと身体を拭く事以外はラリー様がして下さったみたいだけれど…まさかそんな事まで…?


「あ、あのですね、ラリー様…」

「ほら、口を開けて。火傷しない温度に合わせてあるから大丈夫だよ」


 そう言ってスプーンを口元まで運ぶラリー様…何でそんなに楽しそうなんですか…そしてユーニス…どうしてこんな時はさっさと部屋を出て行こうとするの…目の前のラリー様にかえって熱が上がりそうなんですけれど…

 そう思うものの、ラリー様に笑顔で圧をかけられた私に拒否出来る気力も体力もまだなく…恥ずかしさに震えながらラリー様にスープを飲ませて貰った。スープを飲んで栄養を摂った筈だったけれど…私はその後も続くラリー様の過保護な看病に身もだえするのだった。


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