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婚約破棄され辺境伯との婚姻を命じられましたが、私の初恋の人はその義父です【コミカライズ】  作者: 灰銀猫
第一章

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襲撃者の正体

 次の街に着いたのはお昼を過ぎた頃だった。ここまでくると街と街の間が離れていて、ここを通り過ぎると次の街に着くのはかなり遅い時間になるという。時間が勿体ないけれどここは安全を優先してこの街に泊まることにした。


 街に着いて宿を決めると、マーロー殿とコーエン殿は連れてきた襲撃犯の一人を引きずる様にして町の自警団に向かった。私たちへの襲撃を通報して、森に残してきた男たちを回収してもらうためだ。いくら襲撃してきた者たちとはいえ、あのまま放っておけば野犬などの獣に襲われる可能性がある。仲間が助けに来ている可能性もあるけれど、放っておいて殺されるのはさすがに気の毒だし、彼らの背後関係を調べる必要もある。


 二人を送り出した私たちは、宿でようやく一息ついた。さすがに襲撃されたのはショックだったし、ユーニスやビリー、護衛たちも相当神経をすり減らしたと思う。さすがに精神的な疲れは治癒魔法では治しようがないから、今日は早めに宿に着いて正解だったわ。


「アレクシア様、大丈夫でしたか?」

「ええ、ありがとう。みんなのお陰で助かったわ」


 ユーニスが出してくれたお茶を飲みながら、私はホッと一息ついた。優しい香りが昂っている神経を慰めてくれる。ここまで来ると街一番の宿とはいっても王都の周辺のそれと比べると素朴で簡素なものだった。警護するのが大変ですとマーロー殿が言っていたけれど、実際他の客との距離も近くて警備もやり辛そうね。実際に襲撃に遭って自分たちの身が思っていた以上に危険だと思い知らされたから、これからは宿にいる時も気が抜けないわ。


「襲ってきた者たちが、ただの盗賊ならいいのですが……」

「そうね……」


 ビリーの指摘に私も頷いた。彼らがただの盗賊で、たまたま通りがかった私たちを襲っただけならいいのだけど。


 問題は彼らが誰かから依頼を受け私たちに狙いを定めて襲った場合ね。その場合、失敗してもまた襲ってくる可能性が高いし、今度はより一層正確に狙ってくると思う。こうなってくると辺境伯の屋敷に着くまで一瞬も油断出来ないわ。こちらは人数が少ないだけに、逃げ切れるか自信がなかった。





 夕食前になって、ようやくマーロー殿とコーエン殿が自警団の隊長を伴って戻ってきた。あの後、マーロー殿は街まで連れてきた男の事情聴取に立ち会い、コーエン殿は自警団と共に襲撃された場所に向かったという。幸いと言うべきか、木に縛り付けた男たちは獣に襲われる事なく無事自警団に回収された。よかったわ、みんな無事で。もしかしたら口封じのために殺される可能性もあったから。彼らは今、自警団の詰め所で先に連れて帰った男と一緒に事情聴取を受けているという。


 最初に連れ帰った男の事情聴取から、彼らは過去に違法な事をして冒険者から追放された連中で、今は犯罪者ギルドから違法な依頼を受けて生計を立てていることがわかった。自警団も前から彼らを追っていて、一度に六人も捕まえた事で随分と感謝されてしまったのだとか。


 彼らは隣町の犯罪者ギルドから、ここ数日の間にこの街道を通る貴族の馬車を襲えとの依頼があり、報酬がよかったために受けたのだという。誰との指定がなかったが多くの貴族はそれなりに武装していて襲う事が出来なかった。そこにちょうど私達が通りがかり、護衛が少ないために襲ったのだという。


 依頼主は今のところわからず、自警団によると犯罪ギルドに依頼するのは基本的に匿名で、依頼者に辿り着くのは容易ではないらしい。隣町の自警団と共に犯罪ギルドに乗り込む予定だと言われたけれど、旅の途中の私たちがその結果を知るのは難しいように思えた。


「残念ながら依頼者はわからないままです。申し訳ございません」

「ううん、マーロー殿が謝る必要はないわ。それに依頼されて襲ってきたのが分かっただけでもいいわ。どう対処すべきか、これで方向性が決まるもの」

「確かにそうですが…」


 マーロー殿が苦々しい思いを隠そうとしなかったのは、これからの旅が一層危険なものになるとはっきりしたから。みんな同じ意見のようで表情が険しくなった。もしかしたらこれからは寝ている間も警戒を怠れないかもしれない。護衛の数が最低限以下の今、それは非常に困難であることと同意語だった。


「辺境伯様のお屋敷は、あと何日かかるかしら?」

「そうですね……今のスピードでしたら四日、急げば……二日で行けない事はありませんが……」


 休憩をとらずに夜通し走ることも出来なくはないけれど、夜は危険が増すし馬への負担も大き過ぎる。これからは山道が続くだけにさすがにそれは現実的ではなかった。


「あの……領主様の元に向かわれるのでしたら連絡して迎えに来て頂いては? 何でしたら我々が辺境伯様の元に早馬をやりましょう」


 自警団の隊長にそう言われて、私たちは互いに顔を見合わせてしまった。迎えに来て頂くなど全く考えていなかったからだ。




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