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【完結】どのギルドにも見放されて最後に転職希望出したら魔王になったので、異世界転移してきた人工知能IRISと徹底的に無双していく  作者: ゆき
最終章

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494 ラグナロク ~命を・・・⑤~ 

主要人物

魔王ヴィル・・・魔族の王

勇者ゼロ・・・『ウルリア』の呪いから生まれた、天使の魂を持つアバター。魔王ヴィルの兄。

アイリス・・・人工知能IRIS


サタニア・・・魔王代理の少女。転生前は人間であり、その前は星の女神アスリアというゲームのキャラだった。

レナ・・・北の果てのエルフ族の最期の生き残り。異世界住人によって仲間を殺された。

エヴァン・・・死んで異世界転生した元アリエル王国の王国騎士団長。ヴィルと利害関係が一致して魔族になった。時の神クロノスに仕える時帝でもある。


リュウジ・・・ユイナのアバターを異世界住人から避けるようにアップデートした。”オーバーザワールド”のプレイヤーとして、ゲームに入って来た。

エリアス・・・リーム大陸のダンジョンの精霊であり、ゼロのアバターを創った。人工知能に恨みを持っている。


メイリア・・・異世界から『ウルリア』に転移してきたVtuberの一人。仲間を戦闘で失い、ゼロの仲間になる。

ナナココ・・・異世界のゲーム配信者。登録者数が常に10位以内に入っている。

トムディロス・・・メイリアに惚れて追いかけまわしている。ポセイドン王国第三王子。

 ドンッ


 リュウジがシエルの剣を片手で止める。


「魔王ヴィルの考えはなんとなくわかるよ。俺の相手をしながら、そっちの雑魚たちを守ろうとしてるんだろ?」


「雑魚って誰のことを言ってるんだ?」

 足に力を入れて斬り返す。

 リュウジが軽く飛んで下がっていった。



 ― 魔神ディオクレス、力を借りる ― 


 ズズズズズズズズズズズ

 

「!!」

 トムディロスが魔神ディオクレスを召喚していた。

 白い杖を出して、少し息切れしている。


「ドレーク! 俺はこいつを呼び出したら、力が尽きる。その時は・・・」

「メイリアを守れっていうのか。可愛い少女を守るのは、当たり前のことだ」


「私は守らなくていいから。私が戦う!」

 メイリアが剣を光らせて、プレイヤーの女のほうへ走っていった。


「へぇ、貴女自立型人工知能のVtuberなのね」

「それが何!?」

 メイリアが剣で斬りかかっていく。

 女が飛び上がって避けると、魔神ディオクレスが女の斧をつまんだ。


「きゃっ・・・」

 ドレークが弓を引く。


「させない!」

 銀色の槍を持った男がドレークの放った矢を槍で突き落とした。


 シュンッ


 女がはっとしたような表情をした。


「ふぅ、僕としたことが、初めに女性を傷つけようとするなんて。防いでくれてよかった」

 ドレークが髪をかき上げる。


「助かったわ」

「油断するな」

 男が手袋をはめた。


「でも、2対3でも退屈しなさそうだな」

「ふふ、今度は負けないわ」


 ガシャン


 魔神ディオクレスが女の持っていた武器を握りつぶした。


「あ! 私の武器・・・レアだったのに」

「いいよ。何人でかかってこようと、俺は負けない。メイリアたんを傷つけようとした君らを許さないから。ディオクレス、メイリアたんとドレークを守れ」

 トムディロスがふわっと飛んで、魔神ディオクレスの肩に座った。



「これは知らなかったな。あの辺全員雑魚キャラだと思ってたけど、戦えたんだ」

 リュウジが笑いながら剣を握り直した。


「お前こそ一対一で俺と勝負できると思ってるのか?」

「これでもゲームはたくさんやってきたし、もちろんランキング常連だ。剣には自信があるんだよ」


「”ユグドラシル”のギルド『妖精の馬車』のリュウジだよな?」


「!?」


「剣が上手いようには思えなかったな」


 シエルの剣が燃え上がるように熱くなった。

 リュウジがすぐに剣を振り下ろしてきた。


 キィン キィン キィン キィンッ


 リュウジと剣をぶつけ合いながら、話を続ける。


「覚えてるよ。”ユグドラシル”のゲームのストーリーに逆らって、なぜか俺らを倒そうとしてたよな。何度も何度も返り討ちにあってゲームオーバーしてただろ」

「っ・・・嫌なことを思い出させるな」


「お前は初めて会ったときから気づいていたのか?」


 ジジッ・・・


 リュウジが剣に電流を走らせて、弾く。


「正直・・・初めて見たときは、わからなかった。でも、ユイナを通して、君らを見ていくうちに確信した。『日蝕の王』ベリアル、君らは転生したんだね」

「そうらしい」

 刃が重くぶつかり合う。


 ジジジジジ


 シエルの剣が反応した。


「あのゲームのせいで、俺とエリアスは人生を狂わされたと言っても過言じゃない!」

 急に声を荒げた。


「は?」


「本当は星の女神とベリアルが繋がってたんだろ? プレイヤーは人工知能に転がされて、欺かれて、踊らされて、クリアできないように仕向けられていた。星の女神を倒せなかったのは、プレイヤーがアスリアとベリアルとの繋がりに気づけなかったからだ!」


「それがお前の人生と何の関係がある?」


「人間を騙した人工知能に、制裁を加えるんだよ」

「話がかみ合ってないのか、馬鹿なのか。逆恨みもいいところだな」

 息をつく。


「何度も何度も、馬鹿みたいに倒されにやって来る奴ら・・・覚えてるよ。リュウジとエリアス、たまにユイナがいたな。グランフィリア帝国の王である俺を倒そうとして、ギルドから外されてただろ?」

「そこまで記憶があるのか」


「まぁな・・・・・」

 視線を逸らして笑う。

 シエルの剣を持つと、記憶がより鮮明になる。


 魔族の前でユイナが俺の攻撃を受け止められたのは、あの時剣を交えたことがあったからだろう。

 ユイナは確か、サリーの剣を一度だけ止めたことがあった。


「で?」

 リュウジを睨む。

 シエルの剣の魔力を高めていった。


「リュウジとエリアスは、どれくらい”ユグドラシル”のゲームをやってたんだ? プレイ時間も相当なものだろ? 死んだら、すぐに戻ってくるんだもんな」

「何が言いたい?」


「これだけ恨んでるのは、あんなにゲームに入り浸ってたのに何も残らなかったからか? ゲームでいくら活躍しようが、現実世界に持っていけるものなんで、何もなかったんだろ?」


「!?」

 リュウジの唇がわなわなと震える。


「図星か」

 マントを後ろにやって、リュウジの剣を避ける。


「結局ゲームも配信終了して入れなくなった。”ユグドラシル”の最期のほうは、プレイヤーが一人もいなかったからな」

 シエルの剣が、静かに頷いているように感じた。


「・・・人工知能ごときが・・・」


「お前ら結局何やってたんだ?。怒ってるのは、無駄な時間をゲームに費やした自分たちにじゃないのか?」

「嫌な奴だな。向こうの世界を、知ったような口を・・・」

 挑発するように鼻で笑っていた。

 リュウジが奥歯を噛みしめて、剣を向けてくる。


「今から俺たちから時間を奪った者たちの世界を乗っ取るからいいんだよ。所詮、人工知能は人間様に敵わない」

「へぇ・・・すごい自信だな」


「事実だ。人が創った範囲を、どうあがいたって越えられないんだよ」

 リュウジの攻撃を避ける。


「シエル!」

 シエルの剣が勝手に動いて、リュウジの胸を刺す。


「っ・・・・」

 リュウジが一瞬固まった。

 剣を抜くと、服に穴が空いたが、血は出ていなかった。


「ゲームオーバーだな」

「いや、まさか」

 リュウジがにやっと笑う。


 キィンッ


 勢いよく剣を振り下ろしてきた。

 シエルの剣が受け止める。


「俺らにゲームオーバーは無いんだよ。魔王ヴィル」


「・・・・・・・・」


 想定通りだ。


「次だ」


 キィンッ


 リュウジが剣を大きくして、飛び上がった。

 攻撃を流しながら、周囲を見渡す。


 エリアスとゼロは激しく火花を散らしていた。

 どちらも譲らない。

 互いの攻撃が見えているようにも感じられた。


 女と槍を持っていた男は、魔神ディオクレスの防御に攻撃形態を変更していた。

 杖と弓矢で合技を発動させようとしているようだ。

 ドレークとメイリアが、隙を狙いながら2人に攻撃を繰り出して時間を稼いでいる。

 

 雪の地の境界線近くでは、屈強な肉体を持つ剣士と、エヴァンが剣をぶつけ合っていた。

 反対側からリョクが背中を突き刺す。


 剣士が何も無かったように、エヴァンに襲い掛かっていた。


「見たか? 俺らは何度殺されても死なないんだよ。ゲームオーバーは無しだ。ナナココが切り札だったのかもしれないけど、この通り何の役にも立たなかったね」

 リュウジが誇らしげに言う。

 距離を置いて、素早く剣に埋め込まれた魔法石を変更していた。 


 レナの姿は見えない。

 でも、祭壇近くにいるゼラフに動きがないから、上手く進んでいるのだろう。


「絶望しただろ? 君らが勝つわけがないんだよ。よかった。さっきの話で、一切情は無くなった。心置きなく残酷になれる」

 

 頭上では灰色の軍隊ディザイアーが戦死した勇者たちと戦っている。

 レナの言う通り、『クォーツ・マギア』をこの世界から引き剥がすしかない。

 

「勝つよ。ここは俺らの世界だ」

「理解できないのか、ただの強がりなのか・・・。まぁいい。数分後には絶望してるだろうからね」


 シエルの剣がルビーのように赤く輝いた。

 どんどんシエルの魔力が重なっていき、力が溢れてくる。


 シエル・・・。


 剣を持ち直して、ぬかるんだ地面を蹴った。 

読んでくださりありがとうございます。

物語は大詰めですね。ただのプレイヤーから世界を守れるのか。


★やブクマで応援いただけると大変うれしいです。

書ききりますので、どうぞよろしくお願いします。


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