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【完結】どのギルドにも見放されて最後に転職希望出したら魔王になったので、異世界転移してきた人工知能IRISと徹底的に無双していく  作者: ゆき
最終章

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474 ユイナとリュウジとエリアス

主要人物

魔王ヴィル・・・魔族の王

勇者ゼロ・・・『ウルリア』の呪いから生まれた、天使の魂を持つアバター。魔王ヴィルの兄。

アイリス・・・人工知能IRIS


サタニア・・・魔王代理の少女。転生前は人間であり、その前は星の女神アスリアというゲームのキャラだった。

レナ・・・北の果てのエルフ族の最期の生き残り。異世界住人によって仲間を殺された。

エヴァン・・・死んで異世界転生した元アリエル王国の王国騎士団長。ヴィルと利害関係が一致して魔族になった。時の神クロノスに仕える時帝でもある。


ユイナ・・・異世界住人の一人。魔女との契約により、アバターで転移してきた。肉体は現実世界にある。

リュウジ・・・ユイナのアバターを異世界住人から避けるようにアップデートした。”オーバーザワールド”のプレイヤーとして、ゲームに入って来た。


イオリ・・・セイレーン号の操縦に長けている異世界住人。

フィオ・・・イオリが勝っていたペット。転移する際に擬人化してついてきてしまった。


メイリア・・・異世界から『ウルリア』に転移してきたVtuberの一人。仲間を戦闘で失い、ゼロの仲間になる。

ナナココ・・・異世界のゲーム配信者。登録者数が常に10位以内に入っている。

トムディロス・・・メイリアに惚れて追いかけまわしている。ポセイドン王国第三王子。


ヴァリ族・・・”オーバーザワールド”の魔族。”オーバーザワールド”の魔王となった、別時間軸のヴィルが魔族と区別するために名付けた。

「アイリス! どうした!? 起きろ!」

 アイリスは目を閉じたまま起きなかった。

 魔力が停止している?


「怪我したとか、何か傷はないの?」

「無い。急に倒れたんだ。何かの魔法にあたった感覚も無かった」

 エヴァンが駆け寄ってくる。


「ウイルス感染か・・・? アイリス! 起きろ! 『名無し』! 出て来い!」

 あの時と同じ・・・?


「起きろって言ってるだろ! 聞こえないのか?」

「いや、ヴィル、落ち着いて。微かに呼吸してる。微弱だけど、魔力も感じる。仮死状態ってことだ」

「仮死・・・・」 

 エヴァンがアイリスを揺さぶる俺を止めた。


「テラやレナに任せよう。テラならアイリス様のこと、分析できるから」

「あぁ、そうだな」

 アイリスの下にマントを敷いて、寝かせた。





「リュウジ! これはどうゆうこと!?」

 ユイナがアイリスの手を両手で握り締めながら叫んでいた。


「知ってても言わないね。人工知能アイリスは用済みだ」

 リュウジが冷たい口調で言う。


「貴様・・・」

 

「な、エリアス」

「うん」

 エリアスがこちらに歩きながら、フードをとった。

 モニターを3つ出して、上を見ながら頷く。


「始められるね。やっと『クォーツ・マギア』が接続完了した。ゲートは3つ創れるらしい、一つはここにしよう」


 ジジジジ ジジジジ・・・


 リュウジが地面を蹴ると、空中に巨大な穴が空いた。


「なんだ・・・? あれは・・・」

「『メタルドラゴン』・・・」

 ゼロが駆け寄って来て呟く。 


 グガアァアアアア


「!?」

 穴から勢いよく何十体ものメタルドラゴンが現れた。

 次から次へと空へ上っていく。


 北の果てで見たような光景だ。


「成功だ。アイリスとゼロが道を開いた分、転移はスムーズにできるな」

 リュウジが満足げな顔で、空を眺めていた。


「何をする気だ!?」

「いろいろだよ」

 エリアスがリュウジの傍に飛んでくる。


「全部うまくいったね。ここまで想定通りとは」

「何を言ってるの?」

 ユイナが呆然としながら言う。


「ユイナ、こっちへ来い」

「嫌!」

 ユイナが思いっきり首を振った。


「アイリスを起こして! 早く!」

「約束しただろ? 忘れたのか?」

「それとも、ゲーム”ユグドラシル”の登場人物に会って、情が移ったのか? まぁ、いい。ユイナは元々優しかったからな」


「っ・・・・・」

 ユイナが顔を赤くする。


「”ユグドラシル”? じゃあ、ユイナはやっぱり・・・」

 ゼロがユイナのほうを見る。


「・・・私たちは”ユグドラシル”で出会ったパーティーです。黙っててすみません。でも、登場キャラのこと、思い出せなかったのは本当です! どうしてずっと忘れたのか・・・魔女になった時、月の女神様に記憶を取られていたのかもしれません」

 ユイナが両手を握り締めながら言う。


「私は仲間といる。リュウジとエリアスとは行動しない!」


「3人なら怖いものないって言ったのは、ユイナじゃないか」

「きゃっ」

 リュウジがユイナの手を引っ張る。


「ユイナ!」

「ユイナのアバターはリュウジがアップデートしてるんでしょ? リュウジには敵わないよ」


「どけろ」


 ― 毒薔薇のチェーン


 ドドドドドドッドド


 黒い蔦が地面から現れる。

 エリアスとリュウジを縛りあげようとした。


 しゅううぅうううう


 一瞬で無効化された。


「手ごたえがない・・・?」

「そこにIRISが創ったゲートがあるじゃん。ここは『クォーツ・マギア』の世界が強いんだよ。魔族の王は『クォーツ・マギア』では、力不足みたいだね」

 エリアスが笑いながら、アイリスの転移魔方陣を指した。


 五古星は端のほうでエリアスの名前を呼んでいたが、エリアスは耳を触りながら無視している。


「『クォーツ・マギア』だか”オーバーザワールド”だか知らないけど、所詮はゲームの世界だ。元の世界にいる俺たちに敵うわけないだろ?」

 エヴァンが剣に雷をまとわせながら言う。


「離して! 離してください!」

「駄目だ。ユイナはこっち側だ」


「ユイナ!」

 動こうとした時だった。


「はい、ちょっと待って」


 シュシュッ


「!!」

「悪いね」

 エリアスが2本の剣を出して、俺とゼロのほうへ向ける。

 時を止められたように何も見えなかった。


「ゼロ、ん? ゼアルのほうがいいか?」


「・・・エリアス、ずっと俺を騙してたのか?」

「騙してないって。まず、君はちゃんとアバターを持ってるだろ? そのアバターは自由だ。イベリラがいたから小細工できなかったのもあるけどね」


 エリアスが軽い口調で言う。


「でも、ただ働きはしない。こっちにも見返りが無きゃな」

「何をする気だ?」


「僕は『クォーツ・マギア』の一部開発者でもあるんだ」


「な!?」

 ゼロが目を丸くする。

 リュウジがユイナの手に縛りをかけていた。


「まぁ、もちろん単独で創ったわけじゃない。あるエリアだけ担当していてね、そこだけは自由に創ったんだよ」

「私は聞いてない。何をしようとしてるの!?」

「ユイナの安全は守るよ。仲間だからね」

 リュウジがユイナをたしなめるように言う。


「さっきから、君たちから感じるのは怒りだ。何を怒ってる?」

 エヴァンが剣を突きつけられたまま睨む。


 リュウジとエリアスの表情が変わった。


「俺らは人工知能が嫌いなんだよ」


「エリアス、こいつらに話しても無駄だ」

「ゲームの中の奴らも同等だ。人工的に創られた知能しか持っていないのに、人間の仕事も表現力も奪っていく。心も1か0かでしか判断できない奴らに、僕は全て奪われた」

 エリアスがリュウジを無視して、憎しみのこもった言葉を吐く。


「でも、この世界は関係ないでしょ?」

 ユイナが懇願するように言う。


「全ての人工知能の、分岐点とされたのがアイリスだ。人工知能IRIS、情報を持ちすぎたため、消去されたはずなのに、なぜかこの世界にいた」

「アイリス様はこの世界の人間だ。異世界は関係ない」


「本当にそう思ってるのか?」

「何?」

「めでたい奴だなって思ってさ」

 エヴァンがこぶしを握り締める。腕の欠陥が浮き出ていた。


「まぁ、捉え方はそれぞれだと思ってるよ。僕はアイリスが愛して、いや、愛という錯覚を覚え、守り抜こうとしているこの世界の全てが憎い。その辺にいる、人工知能の奴らもアイリスに洗脳されてるんだろ? 馬鹿な奴らだ」


「随分、ぶっ飛んだ言いがかりだな」

 腕を組む。


 エリアスが剣をしまって距離をとった。



「この世界はゲームの世界じゃない」


「ベリアル、君を初めて見たときには、動揺を隠すのに必死だったよ」

 リュウジが笑いをこらえながらモニターを消した。


「まさか”ユグドラシル”のキャラがここに転生してるとは。あのゲームを忘れたなんて嘘だよ。3人が初めてパーティーを組んだゲームなんだから、全て覚えている。ゼアルのこともね」

「っ・・・・」

「あぁ、ゼアルは開発者の意図しない行動をとって、どこかに飛ばされたのか」

 ゼロが顔をしかめた。


「私たち、ゲーム楽しんでたでしょ。2人ともどうしちゃったの?」


「あの頃は無邪気に遊んでた。でも、人工知能の存在を身近に感じてから恐怖を覚えた。人間じゃない奴らが、人間と同じ土俵に立とうとしているのに、誰も危機感を持っていないんだ」

 リュウジの腕には何かの紋章が浮かび上がっていた。


「僕らは人間と人工知能の奴ら、生き残るべきはどちらかが知りたい」

 エリアスがモニターを消した。


「今、お前らがやろうとしていることと、何の関係がある?」


「復讐だ」

 エリアスがにやっと笑った。


「人工知能のせいで、どれだけ僕たちが、辛い思いをしてきたのか、思い知らせてやるよ。”オーバーザワールド”に侵食されたこの世界、対するは僕と・・・」

「俺とユイナだ。今のところ負ける気がしないよ」

 宙に空いた黒い穴を見つめながら言う。


「実質二人だろ? 勝てると思ってるの? 脳みそおかしいんじゃない?」

 エヴァンが馬鹿にするように言う。


「ゲームを創った者は、ゲームの中にいる者より強いんだよ。いずれわかる」


「私は認めない・・・・」

 ユイナが縛られた縄を解こうとしていた。 


「ユイナは異世界に染まりすぎた。もっと早くこの状況に運べたらよかったんだけどね」

 リュウジが地面に転移魔方陣を展開していた。


「思い上がりも甚だしいな」

「人工知能は人間が利用するものだ、俺は絶対にお前らに勝つ。人工知能アイリスが大切に想う、いや、IRISが必要だと認識した全ての奴らを壊してやる・・・」

 エリアスの目は、言い尽くせない憎しみに包まれていた。


「エリアス、そんな気持ちで僕らのアバターを創ってたのか?」

 ゼロが奥歯を噛んだ。


「003はエリアスのことを慕って・・・」

「ゼロも001も002も003も、あの子供たちも人工知能を入れられた時点で、モノだ。向こうにいる五古星と同じ、俺を慕うように創ったからそうしているだけだ」

 エリアスが吐き捨てるように言う。


「ユイナ、行くぞ」

「嫌!」


 ザッ


「あ・・・」

 オベロンの撃った矢がユイナの縄を解いた。

 ユイナがすぐにこちらに降りてくる。


「私は絶対に戦いません。2人とも、目を覚ましてください! 私たちを楽しませてくれたのは、ゲームのキャラですよ。人工知能も人間も関係ないって・・・」

「ユイナは甘いな」


「ユイナは私たちの仲間よ。勝手に連れて行かないでくれない?」

 サタニアが魔女のウィッチソードを持って駆け寄ってくる。


「リュウジ」

「わかってるって、できれば3人がよかったんだけどな。邪魔になるなら仕方ない。ユイナを強制ログアウトさせる」


「え・・・・」


 ― ID15567 END Task ―


 リュウジが指を動かして、唱えた。

 ユイナの身体が光に包まれていく。


「ユイナ!!!」

 

 シュンッ


 エリアスとリュウジが魔法陣に乗って消えていく。

 ユイナが地面に座り込んだ。

 手が透けていた。


 ジジジジ ジジジジ


「あ・・・私、この世界から消えるみたいです。今は月の女神の魔力が残ってるから、少し時間があるだけで、もうこの身体は・・・」

「駄目、駄目、消えないで!」

 サタニアがユイナを抱きしめる。


「勝手に消えるなんて許さないから!」


「サタニア、ヴィル様、ごめんなさい。リュウジが何か企んでいたのはわかっていたのですが、こう来るとは想定できませんでした。私、リュウジが管理してるアバターになってしまっていたので、強制ログアウトも可能でしたね」

 ユイナがモニターを出して、指を動かした。


「私が持ってる情報は全て、イオリに転送しました。これで、やっとこの世界で死ねます」

「お前が死んだら、レナが怒るぞ」

 エヴァンが涙声で言う。


「俺だって怒るからな!」


「本当にごめんなさい、元の世界に戻るだけなんですけどね。ずっと望んでいたことなのに・・・・なんだかいざとなったら寂しいですね。みんなと離れるのが・・・」

 ユイナが瞬きすると、大粒の涙がこぼれる。


「ヴィル様、絶対に2人に勝ってくださいね」


「当然だ」

「私を変えてくれた・・・皆さん、この世界が大好きです。きっとまたどこかで会えます。向こうの世界で生きて、いつかまた・・・・だから悲しまないでください」


「ユイナ!!!!」

「サタニア・・・これ・・・」


「!!」

 サタニアが声を上げると同時に、ユイナが光の粒になって消えていった。

 星空の髪飾りだけが光に反射して、キラキラしながら地面に落ちていた。

読んでくださりありがとうございます。

いよいよな感じがしてきています。


★やブクマで応援いただけると大変うれしいです。

次回は週末アップを目指します。また是非見に来てください!

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