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【完結】どのギルドにも見放されて最後に転職希望出したら魔王になったので、異世界転移してきた人工知能IRISと徹底的に無双していく  作者: ゆき
最終章

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548/594

455 IF Root⑥

アイリスの過去退行から外れたヴィルはマーリンを名乗るヴィヴィアンと行動し、”オーバーザワールド”の魔王、または『日蝕の王』を名乗り統率していた。

ヴィルは『日蝕の王』の拠点、アルテミス王国に乗り込んでいく。


主要人物

魔王ヴィル・・・魔族の王

勇者ゼロ・・・『ウルリア』の呪いから生まれた、天使の魂を持つアバター。魔王ヴィルの兄。

アイリス・・・人工知能IRIS


サタニア・・・魔王代理の少女。転生前は人間であり、その前は星の女神アスリアというゲームのキャラだった。

レナ・・・北の果てのエルフ族の最期の生き残り。異世界住人によって仲間を殺された。

エヴァン・・・死んで異世界転生した元アリエル王国の王国騎士団長。ヴィルと利害関係が一致して魔族になった。時の神クロノスに仕える時帝でもある。


ユイナ・・・異世界住人の一人。魔女との契約により、アバターで転移してきた。肉体は現実世界にある。

リュウジ・・・ユイナのアバターを異世界住人から避けるようにアップデートした。”オーバーザワールド”のプレイヤーとして、ゲームに入って来た。


イオリ・・・セイレーン号の操縦に長けている異世界住人。

フィオ・・・イオリが勝っていたペット。転移する際に擬人化してついてきてしまった。


メイリア・・・異世界から『ウルリア』に転移してきたVtuberの一人。仲間を戦闘で失い、ゼロの仲間になる。

ナナココ・・・異世界のゲーム配信者。登録者数が常に10位以内に入っている。

トムディロス・・・メイリアに惚れて追いかけまわしている。ポセイドン王国第三王子。

ガラディア王子・・・ポセイドン王国第一王子。陸軍のトップ。


ヴァリ族・・・”オーバーザワールド”の魔族。”オーバーザワールド”の魔王となった、別時間軸のヴィルが魔族と区別するために名付けた。

 剣の魔力を変化させながら、シエルの大剣の攻撃を受け流していく。


 キィン キィン キィンッ


「ほらな、シエル。あいつはお前の愛するヴィルじゃないだろ?」

「よくだらだら話してる暇があるな」

「お前の剣の魔力は見えている。俺も持っているものだからな」


 シュンッ

 

 大剣を避けると、空を斬る音がした。

 シエルの声は聞こえないが、魔力は確実にシエルのものだ。


 『日蝕の王』にされるがまま、攻撃を繰り出してきていた。

 

 地面を蹴って、飛び上がった。

 『日蝕の王』が勢いよく距離を詰めてくる。


 ガンッ


 剣と剣が空中で火花を散らす。


 ― 絶対魔法強制解除アブソリュートキャンセル ―


 隙を見て、剣を軽く離した。

 剣はシエルに戻らない。


「シエルも戻りたくないらしいな。俺と戦いたいようだ」

「勝手なことを、よくもぬけぬけと」



 ― 闇炎龍 ―


 ゴゴオオオオオ


 レナが大きな魔法陣を描いて、黒い龍を出現させる。


「こんなもの!」

「そうはさせないよ」

 ヴィヴィアンが張ろうとした結界を、エヴァンが剣で弾いていた。


 向こうは問題なさそうだな。

 あいつらは気づいていないのかもしれないが、レナが圧倒的だ。


「もう疲れたのか? 仲間はヴィヴィアンで手いっぱいだ」

 『闇の王』がはしゃぐように大剣を振り下ろす。

 

 カンッ 

 

 魔王のデスソードで止めた。


「どうやったら疲れてるように見えるんだ?」

「ちらちらそっちを見て、仲間を呼びたくて仕方ないんだろ? どうせ持久力勝負ならお前は負ける。何しろこっちにはシエルがいるからな」

 シエルの剣の刃は研ぎすまされたように美しかった。

 魔王のデスソードの魔力すら影響を受けない。



「くっ・・・・邪魔だ!」

 ヴィヴィアンが叫んだ。

 瞬時に移動して、真っすぐレナの横に回る。


 パァン パァンパァンッ


『うっ・・・』

『ぎゃっ』 

 レナが指先でヴィヴィアンの攻撃を全て弾き飛ばして、近くにいたヴァリ族に当てていた。


「こんな攻撃でよくマーリンを名乗りましたね」

「貴様・・・・」

「怒りに身を任せても、魔法は荒くなるだけですよ」


「っ・・・・」

 レナが自慢げに言いながら闇炎龍に魔力を与えていた。


 ヴィヴィアンが顔を真っ赤にして、両手を広げる。


 ― 氷双龍召喚 ―


 誇らしげに、2体の氷の龍を召喚していた。


「さぁ、この双龍を見ても同じことを言えるかな?」

「・・・・・・」

 レナがため息をつく。


「余裕です」

 剣を構える。



 

 突然、『日蝕の王』が大剣を掲げた。


「皆の者、俺と五古星がいる限り、こっちは無敵だ。諦めるな。闇落ちしたときの絶望を思い出せ」


 グアアアァァァァァ


 人の形をしていた者たちが、獣に姿を変えて、レナに襲い掛かる。

 レナがくると回って、避けていた。

 逆さになりながら詠唱をして、ヴィヴィアンの出した龍の動きを封じる。

 

 エヴァンが詠唱無しで雷を起こして、ヴァリ族を消していった。


「どこから出てきてるんだ? ヴァリ族は」

「さっき、大分消したんですけどね」

 エヴァンが消えたヴァリ族の先を見ながら言う。

 ヴァリ族はどこからともなく、湧き出てきていた。


 これを試してみるには絶好のチャンスだな。

 左腕を突き出す。頭に浮かぶ言葉を唱えていった。


「ん?」


 ― XXXXXX XXXX 

 エインヘリャル(戦死した勇者)、気高き力を貸せ ―


 ドオオォオオオ


『!?』

 聖堂の全ての窓が風で開いた。

 

 サアアァァァァァァ


『危ない。焼けるぞ!!』

 聖なる光が差し込んだ。

 ヴァリ族が慌てて闇属性のシールドを張っている。


『なんだ? この力は・・・』

「この力を得たところは見ていないようだな」


『!?』

 

 シュウゥウウウウ


「オーディンはこの力をもう一人の息子、ゼロに渡すつもりだったんだろうけどな・・・ありがたく俺が持っておいてやった」

 

 ザザッ


『なんだ? こいつらは・・・死の匂いがする』

「歴代の勇者だ」

 13人の戦死した勇者たちが、祭壇を取り囲んだ。


 中にはオーディンと、本に書いてあったような数百年前の装備を身にまとった者たちが立っていた。

 五古星と呼ばれた者たちが、攻撃を止めて『日蝕の王』の周りを取り囲んだ。

 ヴァリ族はエヴァンの雷を抑え込んで、こちらを向く。


「ぐっ・・・・」

 ガラディア王子が足を負傷して、その場に座り込んでいた。

 服には血が染みついている。


 オーディンが前に出た。


『まさか今呼ばれるとはな。ヴィル、いいのか? ラグナロクじゃないんだろ?』


「ラグナロクが来る前に、どんな力か試したいだろ。この力は俺のものだ。いつ、どう使おうが勝手だろ」


『ったく、相変わらずクソガキだな。お前にこの力を託したこと、心底後悔してるよ。俺の時は、先代の勇者に敬意を払ってこの力を使ったんだけどな』

 オーディンが腕を組んで息をつく。



「落ちこぼれのヴィル、何をした?」

『ん? こっちもヴィルか?』

 オーディンが『日蝕の王』を見ながら言う。


「一応な」

『初対面って感じはしないな。ヴィルとヴィルか』

 笑い飛ばしていた。


「オーディン・・・本物の・・・魂を感じる・・・まさか?」

 『日蝕の王』がオーディンを見て驚いていた。

 大剣を降ろす。


『そういえば俺たちが選んだのはオーディンの息子、魔王ヴィルだったな』

『懐かしい緊張感だ。世界の危機が訪れようとしているとは』


『我らが呼ばれるのも久しい。全力で勇者の役割を果たそう』

 勇者の亡霊たちが、次々に話す。

 2000年も前の書物に載っていた勇者も立っていた。


『ふわぁ、俺は天国でごろごろしてたほうがいいんだけどな』

『ゼラフは勇者としての自覚が足りない!』

 ゼラフが近くの爺さんに喝を入れられていた。


『はいはい。やることはちゃんとやっていくよ。怒るなって、おっさん』

『全く、最近の勇者は・・・』

 髭の生やしたごつい腕を持つ男が鼻息を撒いていた。


「ゼラフ・・・なのですか?」


『レナ?』

 レナが目を丸くして、一人の少年に近づいていく。


 どこかエヴァンに似ているように見えた。


『久しぶり。元気だった? ん、仲間もいるのか。相変わらず魔力は衰えないように見えるな。さすが、いまだに緋色のレナって呼ばれてるのか?』

 ゼラフが気軽な感じで言う。


「・・・・・・・・」

『いやいや、待てって』

 レナが両手で杖を持ったまま、大粒の涙を流していた。


『そんなに恋しがるなって。エルフ族のみんなは、みんな天界にいて、徐々に転生も始まってる。あまり、心配しなくていい』

「・・・・・・・・」

『俺はレナのほうが心配だ』

 ゼラフが言葉の出ないレナの頭をぽんと叩く。


「君が勇者ゼラフなのか?」


『ん? 君は・・・あぁ・・・なるほどね・・・』

「・・・・?」

 ゼラフがエヴァンの顔を見て、勝手に納得していた。

 エヴァンが怪訝な顔をする。


「・・・・・・・・」

 レナがゼラフに背を向けたまま向いたまま固まっていた。

 闇炎龍がレナの後ろで睨みを利かせている。


「戦死した勇者ってことは、君は・・・」


『へぇ、俺と瓜二つだな。俺ら勇者の契約し、ワルプルギスの夜と戦った者は基本的に生まれ変われないんだ。だから・・・』


 ザッ


『戯れもそこまでだ。ヴィル、我らエインヘリャル(戦死した勇者)に命令しろ。俺たちだってただで来たわけではない』

 オーディンが言うと、勇者たちが一斉に俺のほうを見る。


「この世界は”オーバーザワールド”と接続した。ここにいる魔族・・・いや、ヴァリ族と、『日蝕の王』を名乗るこいつを殺せ」


「了解した」


 ズズズ・・・・


 聖堂を流れていた魔力の質が一瞬で変わる。


「・・・・・・・」

『レナ、この闇炎龍貰っていくよ。俺の言うことなら聞くだろ。あと仲間が怪我してるよ。ちゃんと回復してあげて』

 ゼラフがレナの出した闇炎龍に触れると、すっとゼラフの後ろに移った。

 レナがはっとして涙を流したままガラディア王子の前に膝をつく。


「大丈夫か?」

「・・・レナが回復します」 

「あ、あぁ・・・すまない」

 人差し指と中指を動かして回復魔法の光りを出していた。

 ゆっくりとガラディア王子の傷を癒していく。



「所詮は亡霊だ。恐れることはない」

 『日蝕の王』がヴァリ族を鼓舞した。


「そうよ。『日蝕の王』が負けるはずないわ!」

「私たちを救ってくださったのだから」


 五古星と呼ばれた者たちが歴代の勇者たちに攻撃を仕掛けていく。

 歴代の勇者たちがそれぞれの武器を出していた。

読んでくださりありがとうございます。

温めていたエインヘリャル(戦死した勇者)の力をついに使いました。


ブクマや★で応援いただけると大変励みになります。

是非また見に来てください。次話はできれば週末に上げたいです。

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