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【完結】どのギルドにも見放されて最後に転職希望出したら魔王になったので、異世界転移してきた人工知能IRISと徹底的に無双していく  作者: ゆき
最終章

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546/594

453 IF Root④

アイリスの過去退行から外れたヴィルはマーリンを名乗るヴィヴィアンと行動し、”オーバーザワールド”の魔王、または『日蝕の王』を名乗り統率していた。

ヴィルは『日蝕の王』の拠点、アルテミス王国に乗り込んでいく。


主要人物

魔王ヴィル・・・魔族の王

勇者ゼロ・・・『ウルリア』の呪いから生まれた、天使の魂を持つアバター。魔王ヴィルの兄。

アイリス・・・人工知能IRIS


サタニア・・・魔王代理の少女。転生前は人間であり、その前は星の女神アスリアというゲームのキャラだった。

レナ・・・北の果てのエルフ族の最期の生き残り。異世界住人によって仲間を殺された。

エヴァン・・・死んで異世界転生した元アリエル王国の王国騎士団長。ヴィルと利害関係が一致して魔族になった。時の神クロノスに仕える時帝でもある。


ユイナ・・・異世界住人の一人。魔女との契約により、アバターで転移してきた。肉体は現実世界にある。

リュウジ・・・ユイナのアバターを異世界住人から避けるようにアップデートした。”オーバーザワールド”のプレイヤーとして、ゲームに入って来た。


イオリ・・・セイレーン号の操縦に長けている異世界住人。

フィオ・・・イオリが勝っていたペット。転移する際に擬人化してついてきてしまった。


メイリア・・・異世界から『ウルリア』に転移してきたVtuberの一人。仲間を戦闘で失い、ゼロの仲間になる。

ナナココ・・・異世界のゲーム配信者。登録者数が常に10位以内に入っている。

トムディロス・・・メイリアに惚れて追いかけまわしている。ポセイドン王国第三王子。

ガラディア王子・・・ポセイドン王国第一王子。陸軍のトップ。


ヴァリ族・・・”オーバーザワールド”の魔族。”オーバーザワールド”の魔王となった、別時間軸のヴィルが魔族と区別するために名付けた。

『あれが我がヴァリ族の王と王妃か・・・』

『圧倒的な力だ。これなら我らの時代が来そうだな』


 聖堂に入ると、人に近い体を持つヴァリ族たちが集まっていた。

 100体くらいだろうか。


「アルテミス王国にはこの聖堂に入りきらないくらいの民がいた」

「ここに居ない奴らは獣化して、外で暴れまわってるんだろうね。アイリスの情報によると、今日までの間に、闇落ちした国が2つ増えたそうだ」

 リュウジが自分の前に出したモニターを見ながら言う。


「・・・・・・・・」

 ガラディア王子が苦虫を嚙みつぶしたような顔をする。


 聖堂の奥の祭壇の前の大きな椅子に、奴が座っていた。

 俺と似たような漆黒のマントを羽織っている。

 ステンドグラスの光が差し込み、純白のドレスを着たシエルが現れると、ヴァリ族が歓声を上げていた。


 レナのステルス魔法が効いている間に、ヴァリ族の間を縫って近づいていく。



「ヴィル、待って」

 エヴァンが声を小さくして、上のほうを指さす。

 2階の手すりの近くにヴィヴィアンがいた。


 俺たちにはまだ気づいていないようだ。

 視線は真っすぐ『日蝕の王』のほうを向いている。


「ヴィヴィアンがそこで黙っているとは思えない。罠じゃない?」

「だろうな、とりあえずここに戦力を固めるのは危険だ。エヴァンは右側、レナは左側に分かれてくれ」

「了解です」

 レナがすっとヴァリ族の間をすり抜けて、左側に掃けていった。

 ヴィヴィアンのほうを気にしながら、壁際に立つ。


 ヴァリ族の中でレナの気配に気づいた者はいなかった。


「ヴィルも気をつけて。ここは時止めが使えなさそうだ」

「あぁ、ヴァリ族が暴れだしたら頼む」


「任せて。俺も日ごろの憂さ晴らししたいからさ」

 『日蝕の王』とシエルの居る祭壇のほうを見ながら会話していた。


「俺は?」

「リュウジは適当に隠れててくれ。戦闘要員じゃないからな」

「はいはい。じゃ、ちゃんと記録しておくよ。あ、ステルス切れても同等の魔法を付与する魔法石を持ってるから気にしないで」

 リュウジが両手を上げながら言った。


「ガラディア王子はついてくるんだろ?」

「あぁ、『日蝕の王』の前にいるのがシェリアだ」


 五古星らしき者たちが、ヴァリ族を監視していた。

 あの時殺し損ねたジャミラもいるようだ。


 ヴァリ族に紛れながら、息をひそめて近づく。





「退屈だ」

 『日蝕の王』が頬杖をついたまま、指を向けた。


 ― 毒薔薇のチェーン


「!?」

 

 ぎゃぁああああ


 『日蝕の王』が突然指を向けて、正面にいたヴァリ族3体を縛り上げた。


『どうして・・・『日蝕の王』様・・・』

「ん? 今、お前俺に何か言ったか?」

 『日蝕の王』が笑いながら言う。


『何も申しておりません!』

『この神聖な儀式に呼んでいただけて光栄だと』

 緑の皮膚を持つヴァリ族が震えながら蔦を掴んでいた。


「まだ人間だった頃の記憶を残し、人間に戻りたいと思ってるな?」

『まさか!』

『そんなことはありえません・・・私たちはヴァリ族、この世界に闇をもたらすものに・・・・』


「死ね」


『!!!!』

 『日蝕の王』が話の途中で、3体のヴァリ族を締め上げて殺した。

 悲鳴を上げる間もなく、光の粒になって消えていった。


 集まっていたヴァリ族に緊張感が走る。


「使えない奴は容赦なく殺す。どんな場所だろうとな。そうだな・・・ヴァリ族として団結するには、まだ命が足りないな。俺に反抗しようとする奴は他にも・・・」

「『日蝕の王』、無駄な殺生は戦力を損なうだけ」


「?」

 シエルが『日蝕の王』の前に立つ。


「儀式の場じゃなかったの? 私はこんなの求めない」

「ククク、確かにな」

 『日蝕の王』が立ち上がって、シエルの頬を撫でる。

 ツインテールに純白のリボンをつけていた。


「シエルは昔から争いを好まなかった。属性を持たない、俺の妃だ」

「昔のことなんか、どうでもいい!」

 聖堂に響き渡るような声だった。


「私はこんな服なんか・・・そもそも結婚するなんて決めてない!」


「そう言うな。俺の魔力は馴染んだか?」

「っ・・・・・・・・」

「十分なようだな」

 シエルが『日蝕の王』の手首を掴んで自分から離す。


「止めて」

「クク、楽しそうにしてたくせに」



 ― 魔王のデスソード


 地面を蹴って飛び上がった。

 『日蝕の王』目掛けて勢いよく振り下ろす。

 

  キィンッ


 火花が散った。



「魔王ヴィル様!」

「間抜けな魔王か」

 『日蝕の王』が俺と全く同じ剣を出して、攻撃を受け止めた。


「シエルを取り戻しに来た」


「ん? んなこと本気でできると思ってるのか?」

 『日蝕の王』が笑みを浮かべる。


 ― リシュ・リディア ―


 ― 金剛のシールド

 

『ここまで来るとは・・・』

 シェリアの攻撃を、ガラディア王子が黄金の盾を展開して弾いた。


「目を覚ましてくれ、シェリア」

「こんなところまで来るなんて、鬱陶しい奴ね!」


「・・・・・・・・」

 ジャミラがうつろな目でこちらを見ていた。



『魔王一行が現れた!?』

『どこだ!? どこにいる?』


「ここだよ」

 レナが氷のブリーズソードを回しながら飛んだ。


 ― 氷の剣華 ―


 宙を舞うようにして無数の氷を放つ。

 襲い掛かって来たヴァリ族を一掃しているのが目に入った。

 向こうは問題なさそうだな。


「よそ見している場合か?」 

 『日蝕の王』が剣に黒い炎をまとって、攻撃してきた。


 キィン キィン キィン キィンッ


 ザザッ


 祭壇に飾ってあった花が散る。


 俺と同じ行動、同じ力、同じ体格を持つ奴だ。

 どのタイミングで攻撃するか、お互い読めていた。


 だが、『日蝕の王』にはどこか余裕がある。

 何を考えているのか・・・。


-----------------------------


『彼女を倒すには武器が必要です。相手は星の女神、武器は天体なのです。今までの武器では相手になりません』

『ベリアル様、私なら問題ありません』

『私も・・・・』

 青年と女たちの声が聞こえた。


『・・・・ここは理不尽で憎き世界だ』


 IRISは消えた。XXXも消えた。

 ピースは揃っている。


 どうあっても、俺に残酷になることを求めるのか?


--------------------------------


「!」

「どうした? 負け戦だとわかったか?」

 奴を攻撃していると、いらぬ雑音が入ってくる。


「・・・お前はループから外れて、何をしてたんだ?」

 剣を押して、軽く後ろに飛んだ。

 『日蝕の王』がマントを後ろにやって体勢を整える。


「ギルドに入ってぬくぬくしてたのか?」

「クク、ギルドにはいたが、やることは多かったからなぁ」

 剣を持ち直す。


「お前が間抜けに何度も死んで、何度も蘇る様子を、マーリンの結界から眺めていた。いや、ヴィヴィアンか。まぁ、どちらでもいい」

「マリアの墓には行ったか・・・?」


「マリア・・・そんな子いたか。懐かしい響きだな」

 

 カンッ


 互いの魔王のデスソードが激しくぶつかった。


「その程度か?」

「彼女は弱かったから死んだんだよ。弱かったから、理想論ばかり並べていた。あそこで死んでよかったよ。生きていける人間じゃなかった」


「マリアを侮辱するな!」

「侮辱じゃない。事実だろう?」

 悪気の無い声で言う。


「・・・・・」

 闇の魔力が内側からとぐろを巻くようにして湧き上がってきた。

 『日蝕の王』が笑いながら俺の攻撃をかわす。


 怒りに身を任せるほど、魔力は高ぶり、剣の軌道はずれていった。


「ヴィルはこの世界に俺一人で十分だ」

「この状態で、なぜお前が俺に勝てると思ってるのかわからない。お前は自分が俺より弱いことが受け入れられないのか?」

 ふわっと飛んで、シエルの横に並んだ。

 シエルが不安そうな表情を向ける。


「どこまでも落ちこぼれで、何度も死んで、人工知能IRISに頼らなきゃ生きることさえできなかった、お前とは違う」


「虚無な奴が・・・」


「は?」

 『日蝕の王』がぴたりと固まる。



「いつの世界線を引き摺ってるんだよ。誰かが決めた設定を引き継いで、いつまでも抜けられなかったのはお前のほうだろ?」


「知ったような口を・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 魔力を高めながら、睨み合う。

 


 パリンッ ガシャンッ


 ザアアァァァァァ


 ヴァリ族との戦闘で、天井のステンドグラスが落ちてくる音が響いていた。

読んでくださりありがとうございます。

ヴィル対ヴィルの戦いです! どっちが強いかなぁ。


ブクマや★で応援していただけると大変うれしいです。

また是非見に来てください! 次回は来週アップしたいと思います。



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