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【完結】どのギルドにも見放されて最後に転職希望出したら魔王になったので、異世界転移してきた人工知能IRISと徹底的に無双していく  作者: ゆき
第六章

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EP Griomoire⑧

月の女神の神殿にて・・・。

 悪魔のアイリスが月の女神の神殿の台座に座っていた。

 神殿の周りを流れる水の音が響いている。


「アイリス、命拾いしたみたいだね」

「随分嬉しそうね、ロドス」


「アイリスがあんなに弱ったのは初めて見たからさ」

「つくづく、嫌みな奴ね」


 ロドスが帽子のつばを持ち上げた。

 にやっと笑うと、悪魔のアイリスが嫌そうな顔をする。


「はは、そんな顔しないでくれ。君の分の悪魔としての仕事もこなしてたんだから」

「そうそう。勇者が違反をしたとか、魔女が裏切ったとか、えっとこの前は、誰を殺したんだったかな? くだらないことが起こるたびに駆り出されるんだもんな。引きこもりになるよ、俺。まぁ、人間の最期の表情を見れるのは悪くないけど、クククク」

 ルトが猫背のまま笑う。


「相変わらず不気味な奴だな。ルト、風呂に入れって月の女神から言われただろ? いつから入ってないの?」

 ロドスが鼻を袖で抑えながら言う。


「ふふふ、俺、悪魔だし、このほうがやりやすい。人間が怖がるし」


 ルトは猫背でぼさぼさの髪を持つ男の悪魔だった。

 暗い目をしていて、ゆらゆらしながら歩いていた。


 バッシャーン


「おわっ」

 マナが神殿に着くなり、ルトの頭から水をぶっかけた。


「身体の汚れは、心の汚れでしょ。ちゃんと、月の女神さまに会う前に綺麗にしておかないと」

「そうかぁ。久しぶりに水を浴びたなぁ、」


 ルトが指を動かすと、濡れていた髪や服が乾いた。


「こんな感じでいいかな?」

「大分マシじゃない?」


「はぁ・・・で、悪魔が招集かかるのは久しぶりだね」

『悪魔さま』

 マナが黒い妖精を肩にとめる。


「ワルプルギスの夜で魔女は集まったし、勇者は選抜された。これ以上何かあると思う?」

「さぁ、俺にはわからないよ」


「ルトとロドスはなんとなく検討ついてるでしょ? 本当、悪魔って探りあいばかり。はっきりと言えばいいのに」

 悪魔のアイリスが呆れたように言うと、ロドスとルトが笑っていた。


「ん?」


「だって、僕たち悪魔だしね」

 マナだけは意味が伝わっていないようだった。


 サアアァァァァァア


 風が吹く。

 月明かりが差し込むと、すっと女神が現れた。


「ふぅ・・・よく集まってくれたな」


 月の女神が祭壇に火を灯した。

 悪魔たちが素早く月の女神の前に集まる。


「アイリス、色々あったようだが大丈夫か?」

「問題ありません。修復しましたので、聖女アイリスも私も正常に動いています」

「そうか。よかったよ」


「・・・・・」

 ロドスが悪魔のアイリスを横目に見て、息をついた。

 

「私たちが集められた理由は何でしょうか?」

「あぁ・・・運命の歯車は元に戻ったが、ずれが生じている」

 月の女神が透き通るような青い魔力をまとっていた。


「私たち、神々の力はこのままでは弱くなる。月の魔力が薄れるということは、魔女も、悪魔であるお前らの力も弱まってくるだろう」


「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「それは、私たちも感じ取っておりました」


 しばらく沈黙した後、アイリスが口を開いた。


「ルナシアが勇者ゼロに殺されたときから、悪魔としての仕事が滞るようになりました。代わりの悪魔も現れない・・・」

「あぁ、そうだ」


「見つからないのですよね? 月の女神様」

「お見通しか。さすがアイリスだ」

 月の女神が長い瞬きをする。


「終末の日、ラグナロクが始まろとしている」


「!!」

 ロドスとルトと悪魔のアイリスの間に緊張感が走る。


「ラグナロク?」

 マナが首をかしげた。


「って何でしょうか?」

「マナはこの中では最近選ばれた新人だったもんね。ラグナロクは、天変地異のようなもの。神々に訪れる危機だよ」

 ルトがぼそぼそと話す。


「ヴァルプルギスの夜で、勇者を選出するのは、ラグナロクのためだ。でも、月の女神様、今回はスパンが短いですね?」

 ロドスが口をはさんだ。


「確か前のラグナロクは20年前くらいだったかと」

「あぁ、ラグナロクはいつ起こるかわからないからな。100年以上起こらないこともあれば、10年単位で起こる場合もある」

 手をかざして、神殿の中央に光の玉を浮かせた。


「またアレが起こるのか・・・」

 ロドスが険しい顔をする。


「前回はアリエル王国の勇者オーディンが、魔女と共に止めたんだよね? アイリスは覚えてるだろ? その前は、数百年前、勇者ゼラフだったかな?」

「・・・・・・・」

「ん? アイリスは覚えてると思うんだけどなぁ。俺よりも古い悪魔だし」


 ルトが悪魔のアイリスに話しかけると、視線を逸らして無視していた。


「今回選出された勇者がラグナロクを止められるかわからない。各勇者に力は与えたが、使いこなせるのか。私に忠誠を誓っているのか。異世界の色も濃くなり、私にも未来が見えないのだ」


 中央の光の玉を見つめながら言う。


「・・・アイリス」


「なんでしょうか?」

「異世界の力を併せ持つお前に、話しておかなければいけないことがある」


 悪魔のアイリスが一歩前に出る。

 月の女神が目を細めて、アイリスの髪を撫でた。


「お前は・・・・・」

「・・・・・・・・・」


 ピンクの髪がふわっとなびく。

 ロドスとマナが何か言おうとして、口をつぐんだ。


 覚悟を決めたように、月の女神の話を聞いていた。

現在、月の女神に仕える悪魔は4人います。

悪魔のアイリスが任されたのは・・・。


★やブクマで応援いただけると大変うれしいです。

また是非見に来てください。次からは新章の予定です。

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