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【完結】どのギルドにも見放されて最後に転職希望出したら魔王になったので、異世界転移してきた人工知能IRISと徹底的に無双していく  作者: ゆき
第六章

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427 お兄ちゃん③

アイリスの過去退行から外れたヴィルはマーリンを名乗る者と行動し、”オーバーザワールド”の魔王を名乗り統率していた。

ヴィルはアイリスを救い出し、冥界の誘いから目覚める。


主要人物

魔王ヴィル・・・魔族の王

勇者ゼロ・・・『ウルリア』の呪いから生まれた、天使の魂を持つアバター。魔王ヴィルの兄。

アイリス・・・人工知能IRIS

レナ・・・北の果てのエルフ族の最期の生き残り。異世界住人によって仲間を殺された。

エヴァン・・・死んで異世界転生した元アリエル王国の王国騎士団長。ヴィルと利害関係が一致して魔族になった。時の神クロノスに仕える時帝でもある。


メイリア・・・異世界から『ウルリア』に転移してきたVtuberの一人。仲間を戦闘で失い、ゼロの仲間になる。

ナナココ・・・異世界のゲーム配信者。登録者数が常に10位以内に入っている。

トムディロス・・・メイリアに惚れて追いかけまわしている。ポセイドン王国第三王子。


レムリナ姫・・・天界の姫

ジェラス王・・・レムリナの兄。光の国ミナス王国の王だったが、闇の王に体を乗っ取られていた。


ヴァリ族・・・”オーバーザワールド”の魔族。”オーバーザワールド”の魔王となった、別時間軸のヴィルが魔族と区別するために名付けた。

「遠隔攻撃なら私がやるから」

「わかったから、下がってて。戦闘の邪魔になる」

 エヴァンが手を挙げて、メイリアを後ろにやっていた。


「あれ? 人工知能IRISだよね? ウイルスは?」


「全て除去した。アイリス様自身がね」

「へぇ、あのウイルスは人工知能IRIS特化型だったのによくできたね。じゃあ、もっとすごいの用意しなきゃ」

 レムリナが無邪気に言う。


 アイリスが自分とナナココとテラにシールドを付与していた。


 アイリスたちは、絶対に近づけてはいけない。

 中庭の入り口から、離れないようにと伝えていた。


「レムリナ、自分が何やってるのかわかってるのか?」

「お兄ちゃん! 来てくれてありがとう」


「どうしてこんなふうになった? 君は天界から、僕は地上から、互いに光で満たそうと決めたじゃないか」


「お兄ちゃんとの約束を破りたかったわけじゃないの」

 レムリナがふわっと立ち上がった。


 テーブルや椅子が瞬時に消える。


「でも、私、やっぱり自由が欲しいよ。お兄ちゃんだって、そうでしょ?」

「・・・・・・・」

「ほら、私に嘘はつけない」


 レムリナが物憂げな表情でほほ笑む。


「レムリナに負担を負わせすぎた。悪かったよ。でも、そこにいる魔族の2人を解放してくれ。僕は捕らえられても構わないから」

「ん? どうして?」


「”オーバーザワールド”に関係ないだろ」

 ジェラスがレムリナに近づく。


 レムリナがいきなり、ジェラスに抱きついた。


「レムリナ・・・・」

「私、お兄ちゃんと一緒にいたかった。天界にいる時もずっと、お兄ちゃんを見てた」

 漆黒のドレスの裾が風に揺れる。


「・・・・・・・」

「自分の役目なんてどうでもよかった。こんなゲーム、めちゃくちゃにして壊したかった。プレイヤーを全員ウイルス感染させて、プレイヤーが入ってこれないようにしたかった」


「・・・・・・・」


「ストーリーとかキャラとかどうでもいい。お兄ちゃんを危険にさらすようなゲームなんて、もう嫌。2人で自由になろうよ」


「僕たちは、運命を受け入れなければならない存在だ」

 ジェラスが突き放すようにレムリナから離れた。


「民を守らなければいけないのだから」

「お兄ちゃん・・・・どうして、素直になれないの?」

 レムリナが哀しそうな声を出す。



「ここで時間を食うつもりは無い、サリーとシエルは返してもらう」


 ― 魔王のデスソード


「シエル、サリー、避けてくれ!」

「かしこまりました」

 飛び上がって、鳥かごのようなものに上から剣を突き刺した。



 しゅうぅぅぅぅううう


「!?」

 手ごたえがない。魔王のデスソードが一切籠に傷をつけなかった。


 バフを付与してるのか?



 ― 絶対強制解除アブソリュートキャンセル


 ブワッ


 大きく風が吹いた。

 素早く地面に足をつける。


「この牢屋、私にも解けない。無理だと思うよ」

「・・・・・・・・・」

 この魔力が記憶にある。


 これは・・・・。


「クククク、ヴィルか。こっちのヴィルは久しぶりだな。マリアが死んで、クエストから帰ってきて以来か?」

 短い黒髪に、大きめのローブ、低い声の女・・・。


 マーリンと同じ姿をした者が籠の横に立っていた。



「お前は誰だ!?」

「私はマーリンだろ? 覚えてないのか? この魔法を見てもわからないとは、ま、そこのヴィルは所詮その程度か」

 マーリンが籠に触れながら言う。


「マーリンって・・・あの?」

 エヴァンがこちらを向いた。 


「死んだんじゃ・・・」

「俺の知ってるマーリンは、とあるダンジョンでメタルドラゴンに岩にされて眠っている。勇者オーディンと共にいたマーリンしか知らない」


「じゃあ、ここに居る私は何者だというんだ?」

 マーリンが髪をかき上げて、杖を出した。


「まぎれもなくマーリンだろ?」

「っ・・・・・・」

 見た目、魔力、話し方、動き、全てがマーリンと重なる。

 でも、こいつはマリアの憧れていたマーリンではない。


 瞳は暗く、魔法に対する希望は失われている。


 誰だ?


「マーリン、お兄ちゃんがそこの魔族を解放してほしいって言うの」

 レムリナが無邪気な声で言う。


「そうか。魔王ヴィルがいるなら、どれほど強いのか私が相手するのも悪くないが、あいにくこっちも忙しい・・・そうだな・・・」

 

 マーリンが魔法陣を展開する。


「こいつらを倒せたら解いてやろう。そもそも、”オーバーザワールド”の魔族が王の駒になった以上、こいつらを連れていても意味がないからな」



 ― 追憶の仲間パーティー


 マーリンが魔法陣に2体の小さな人形を入れると、人影が現れた。

 

「!?」


 月明かりに照らされる。

 アリエル王国の紋章の入ったマント、真っ黒なローブに身を包んだ・・・。


「オーディンとマーリン!? そんな、あり得ない!」


「アイリス様! 来たら駄目だ」

「っ・・・・でも・・・・」

 アイリスが思わず駆け寄ってこようとして、エヴァンに止められていた。


「だって、あり得ない。禁忌魔法の代償蘇生でも、しかも2人同時なんて・・・」


「私とオーディンの精巧なコピーだ。よくできてるだろ?」

 マーリンが自分と同じ姿をした、マーリンを見つめて鼻で笑う。


 ふと、マーリンに似た者が・・・。


「・・・お前はヴィヴィアンか?」


「!?」

 奴の顔色が変わった。 


 やっぱりな・・・。


「ヴィル、ヴィヴィアンって誰? 全然把握できないんだけど」

 エヴァンが隣に飛んでくる。


「私の名を知ってたとは」


「奴はマーリンの双子の妹だ。俺もマリアから聞いただけだから詳しいことは知らないけどな。罪を犯し、どこかの城に幽閉されてたと聞いたが?」

「幽閉?」


「クククク、よく見破ったな。腐ってもさすが魔族の王といったところか」

 ヴィヴィアンが地面を蹴って飛び上がった。


「逃げる気か!?」


「任せてください!」


 ドドドッドド・・・


 メイリアがヴィヴィアンに向かって銃を何発か撃った。

 トムディロスが後ろから耳を塞ぎながら応援している。


「くだらない・・・」

 銃弾はヴィヴィアンの手で受け止められて、ぱらぱらと捨てられた。


「こんなものが効くわけないだろ。さぁ、お前らの相手は英雄だ。フフフフ、英雄といっても、このちっぽけな世界の英雄だけどな」


「幽閉されて名も上げられなかった魔女が、生意気な」

「フン、私はこれから、あっちのヴィルと共に新たな世界の英雄となるのだ。マーリンを越える魔法使いになる。マーリンは、ただ運がよかっただけのことだからな」


「そうとした思えないから格下なんだよ」

 剣を握り締める。


「落ちこぼれのヴィルに用はない。私が選んだのは時空退行ループから逃れることのできた優秀なヴィルのほうだ」

 ヴィヴィアンが小ばかにするように言って、レムリナの後ろに立つ。



「ねぇ、マーリン、どこかに行くの?」


「可愛いレムリナ。”オーバーザワールド”で、ウイルスをばら撒くよう頼んだよ。特に人工知能IRISは確実に潰すように」

「わかった。あいつがお兄ちゃんとの仲を引き裂こうとするのね」

「そうだ。あいつがいる限り、兄は戻ってこない」

 アイリスのほうを見ながら言う。


「好き勝手言いやがって!」


 ザッ


 ヴィヴィアンに剣を突き刺そうとしたが、するりと消えていった。


「クソッ・・・」


「わぁ・・・嫌な感じのする魔女ですね」

 レナが顔をしかめた。


「しかし、よくできてるな。魔力までオーディンだ」

「これは・・・古代魔女の好む魔法ですね。2体の人形に、コピーした魂を入れる黄泉がえりと錯覚を覚える技法です。禁忌に近いのですが、コピーなので禁忌魔法にはなりません」

「よく知ってるな」


「レナはこう見えて1000年以上生きてるので、色々知ってるのですよ。ちなみに、コピーは完全だと全盛期の力を持つと言われてます」

 エヴァンが驚いているのも気づかず、レナが淡々と話していた。


「・・・1000年ってくだりは何回も聞いてるって」

「エヴァンは忘れっぽいので、念を押しておきました」

「俺がいつそんなエピソード残したんだよ」


「エヴァン、レナ、マーリンのほうを任せられるか?」


「おう。もちろん」

 エヴァンがアリエル王国の紋章の入った剣を出した。


「大丈夫なのです」

「片づけたらジェラスのほう手伝うよ。レナ、油断はするなよ。マーリンはアリエル王国に名を刻む、大魔法使いだ」


「臨むところです」

 レナが氷のブリーズソードを少し伸ばした。


「レムリナは僕に任せてくれ」

「こっちも手いっぱいだ。絶対にアイリスに近づけるなよ」

「わかってる」

 ジェラスがレムリナをじっと見つめる。

 レムリナがにっこりしながら、黒い杖を出した。



 オーディンとマーリンが魔法陣から離れる。



『ヴィル。また会うとはな』

「オーディン、お前何回死んで生き返ってるんだよ。ったく・・・」


『ハハハハ、俺は1回しか死んだ覚えないけどな』


 魔王のデスソードをオーディンに向ける。


「いい加減くたばれ!」


 マントを後ろにやって、オーディンが剣を構えた。

 風が吹いて、中庭の木々が大きく揺れる。


『そうしたいが、体はそう動いてくれないみたいだ。っと・・・』


 バチンッ


「!!」

 オーディンが勢いよく大剣を振り下ろしてきた。

 剣で受け止める。


 ズズズズズズズズ


 重さで足が地面に食い込んでいた。

マーリンの妹ヴィヴィアン。彼女はマーリンと同等の力を持っていましたが、とある王国に罪に問われ幽閉されていたので、知る者は少ないです。


読んでくださりありがとうございます。

ブクマや★で応援いただけると大変うれしいです。

咳が出るのでまだ本調子ではありませんが、徐々に続きを書いていきますのでまた見に来ていただけると、とても嬉しいです。

今後ともよろしくお願いします。

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