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【完結】どのギルドにも見放されて最後に転職希望出したら魔王になったので、異世界転移してきた人工知能IRISと徹底的に無双していく  作者: ゆき
第一章

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39 魔族会議

 魔王の椅子に座りながら、上位魔族たちと話していた。


「南のほうはあれからどうだ?」

「はい。特に動きなどはございません。傷を負った魔族たちも完全に回復しており、この前のような人間の襲撃に備えております」

 ジャヒーが凛とした声で答える。


「そういえば、リカとはまだ会っていなかったな。今日は来ていないのか?」

 もう一人、リカという上位魔族がいると聞いていた。

 自分の管轄から魔王城まで距離があり、なかなか集まれないのだという。


「はい。南の魔族がかなり弱いので、リカはなかなか離れられず。必要であれば呼びますが・・・・」

「いや、それならいい。そのうち、会うだろうしな」

「かしこまりました」


 ゴリアテに目を向ける。

「ゴリアテのほうはどうだ?」

「はっ・・・全体的な損傷はかなりひどいのですが、西の魔族から補充して、何とかダンジョンの周りは守りを強化するようにしております」

 太い声で話した。


「わかった。西は強い魔族が多いと聞いている。任せたぞ」

「はい。ありがとうございます」


 腕を組んで、カマエルを見下ろす。

「カマエル、ダンジョンも増えてきた。早急に上位魔族を増やしたいと思うんだが、誰か推薦したいものはいるか?」

「そうですね・・・私たちと同じ戦力となると」


「カマエル配下のザガンはどうかしら」

「なるほど、ザガンなら我々の能力にも届くかもしれない」

 サリーが提案すると、カマエルがすんなり受け入れていた。


「魔王ヴィル様、私の配下の魔族は優秀な者ばかりですが、中でもザガンは闇属性の攻撃魔法に特化しております。何より私に似て賢い」

「そうか・・・・・・」

 プライドの高いカマエルが推薦するのなら、それなりに実力があるのだろうな。


「では、俺が次のダンジョンから帰ってきた後に連れてきてくれ」

「かしこまりました。ぜひ、魔王ヴィル様のお眼鏡にかなう者かと思います。よろしくお願いいたします」

 カマエルが口角をくっと上げていた。


「ダンジョン攻略はアイリスに任せて、俺は魔王城にとどまるつもりだったんだけどな。事情が変わった。今回は俺も行こうと思ってる。あのチビに会っておきたい」


「チビとは・・・あの王国騎士団長とかいう・・・?」

「そうだ。聞いたところ、アイリスが城にいたときはいなかったらしい。俺が魔族の王としてここに来た後から、王国騎士団長になったということだ」

「それは真でございますか?」

 ププとウルが前のめりになって頷く。


「確かに、私たちは、人間の住むところへも偵察に行きましたが、魔王ヴィル様のおっしゃる通り、そのような者見たことがありませんでしたね」

「そんな目立つ者であればすぐ気づくと思うのですが・・・」

 ププが続いて話した。


「ダンジョン攻略に行けば、いずれまた会うだろう」

「どうして、そう思われたのですか?」


「魔王の勘だ」


「左様でございますか。魔王ヴィル様の勘であれば、確実ですね」

 ジャヒーがすぐに同意した。


 奴のステータスの見え方は異世界のものだった。

 こちらの世界でのステータスはわからない。


「・・・・・・・」

 魔族にとって俺の信頼は厚い。

 俺は魔族の王として召喚されたからだ。


 あのチビが急に信頼を集めることになったということは、何か理由があるのではないだろうか。

 例えば、俺と同じように召喚された人間であるとか・・・・。


 考えすぎか?

 まぁ、情報を集めなければわからないな。


「3日程度いなくなることを想定していろ。いつ人間が襲撃をかけてくるかもわからない。その場合、上位魔族に全てを任せることになるが構わないか?」


「もちろんでございます。必ずや、人間どもの思い通りにはさせません。ご安心を・・・」

「あぁ、今度人間どもに会ったら、なぶり殺してやる」

 ゴリアテが斧を持って地面を鳴らした。


「ゴリアテ、お前の気持ちはわかるが、魔王ヴィル様の前で品性が無さすぎる」

「カマエルが、お高く留まりすぎなんだ」

「これだから、脳筋は・・・・・」

 カマエルがぼそっと言って、ため息をついていた。


「ププ、ウル、次のダンジョンまでの地図を見せてもらえるか?」

「かしこまりました。すぐに・・・えっと、こちらになります」

 ププが近づいてきて地図を広げる。

 ゴリアテの管轄はかなりダメージを負ってるから、カマエルの管轄内のダンジョンを選ばせていた。 

 




 部屋に戻ると、アイリスが髪を結んで準備をしていた。

 背中の部分が少し切れていた服は、自分で縫い直したらしい。

 元通りになっていた。


「アイリス、ダンジョンに行くぞ」

「うん」

 覗いていた棚のガラクタを、ばっと隠していた。

 ガチャン、ガチャンと音を立てる。


「あ・・・・」

「何やってるんだよ?」


「魔王ヴィル様のくれた、奴隷の首輪、無くなっちゃったから。何か、自分で作ろうかなって」

「そうだったな」

 人間から攻撃を受けたときに弾けたやつか。


「一度後ろからガンってショックがあって、割れちゃった。その後、記憶がなくて・・・」

「思い出さなくていい。こんなものすぐに作れる。ちょっと待ってろ」

 ガラクタの箱を漁って、ラピスラズリと鎖とドラゴンの骨を手に取る。


 ― 魔具錬金生成バラス


 ラピスラズリを埋め込んだネックレスと生成した。


「わぁ・・・綺麗」

「攻撃を受けたとき、1度だけシールドを張って、自身の防御力をアップするものだ。防御力を高めれば、まぁ逃げる準備だけはできるだろう」

「あ・・・・ありがとう・・・。防御力がアップするのね。2回ももらっていいの?」

「ここのガラクタがある限り作ってやるよ」


 言いながら、アイリスは防御力をアップしたところで、S級戦士には瞬殺されるだろうと思っていた。

 アクセサリーの特殊効果付与には限界がある。


 まぁ、気休め程度にはなるだろう。


 あのチビの策略にはまらないようにしないとな。


「綺麗・・・ラピスラズリ、邪気除けの石・・・」

 アイリスが髪を後ろにやって、すぐに付けていた。

 青い宝石の部分を触りながら、こちらを見る。


「ありがとう、これで堂々と魔王ヴィル様の奴隷だね」

「お前、奴隷の意味わかってるのか?」

「わかってる。奴隷って言葉がどんな意味を持っていたとしても、魔王ヴィル様の傍にいられることには変わりない」

 花のように微笑んでから、後ろを向いた。


「次に行くダンジョン決まったんでしょ? 早く行こうよ」

「そうだな」

 床に手をかざす。


「来い、ギルバート、グレイ」


 光が浮かび上がり、双竜が姿を現した。

 鋭い爪を絨毯を食い込ませ、翼を大きく広げる。


 クォーン オォーン


 部屋に響くような声で鳴いていた。

 窓がびりびりと振動している。


「すっかり元気になったようだな。さすが魔族の竜だ。飛べるか?」

 バサッと翼を仰いで見せた。

 アイリスが駆け寄っていく。


「よかった。ギルバート、グレイ、また私を乗せてくれる?」

 アイリスが近づいていき、ギルバートとグレイの顔を抱きしめる。

 ぺろっと舌を出して、舐めていた。


 クオォーン クオォーン


「いいようだな。じゃあ、次のダンジョンまで連れて行ってくれ」

 ギルバートとグレイが体勢を低くした。

 鱗に掴まって、背中に乗る。


「アイリス、上がれるか?」

「もちろん。よいしょ、よいしょっと」

 ギルバートが、足を伸ばしてプルプルさせながら、アイリスが上れるくらいに低くしていた。


「ほら、ちゃんと上れた」

 両手を広げて、自信満々に言う。


「今のはギルバートのおかげだろ」

「そっか。ありがとう、ギルバート」

 アイリスが鱗を撫でると、嬉しそうに鳴いて、体を起こした。 


「じゃあ、行くぞ」

 翼を畳んで、床を強く蹴った。

 開いた窓から飛んでいく。


「っ・・・」

「落ちるなよ」

「も、もう、落ちないよ。コツをつかんだから」

 マントを引きちぎれそうなほど、がっしり掴んでいた。


 クオゥーン


 次のダンジョンのある、北の方角へ向かうよう、ギルバートとグレイに指示する。

 怪我を負ったことが嘘のように、勢いよく飛び上がっていった。

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